婚約もどき

神奈川雪枝

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私は構わない

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「はぁー。」

溜息ばかり 。

優しいところ、
好きだけど、嫌い 。

笑顔も好きなのに、
私じゃない女の子に向けられると、イラつく。

(心、狭すぎだよね 。)

何て、
最近はずっと、自己嫌悪 。


「 島田君 。」

「何、どーかした?」


驚いている彼と、
嬉しそうに恥しそうな彼女。
( 何、彼女居る男に手出してんの ?)

「 ちょっ……///」

「 私、島田君のこと好きなんだ。
 島田君の彼女、私じゃ駄目?」

その子はとっても女の子らしくて、
頭良くて、運動できて明るくて 。
(ちょっとぶりっこっていうのが無ければ、完璧な子で 。 ←)


私の心は、突然に崩れた 。
(何かもう、タイミングが良いっていうか無理だった 。)

がらっ 。
扉が開いてしまって、
驚いた顔で私のことを見つめる、彼と彼女 。
(私なんかよりも、お似合いじゃねぇ?)

視界が一気に曇って、
体が震えた 。

(かっこ悪いなぁ 。)

「 やだぁ、見られちゃった?」



「 ゴメン 。
 俺には、彼女が居るから 。」

そういいながら、
彼は、私のところに来てくれた 。

「えっ、どうして島田くん?
 私は島田くんのこと誰よりも好きだよ。」

「 うん、気持ちは嬉しいよ 。
 けど、俺は彼女のことが好きなんだ。」

私は思わず、彼に抱きついた 。
(彼はちゃんと私のことを思ってくれていたんだ 。)

「 意味分かんない 。
 島田君って、女見る目ないんだね 。」

彼女はそう、涙声になりながら言うと帰っていった。


「 ごめんね 。」

「 いいよ、別に 。」

夕焼けに照らされた教室、
まだ早いけど、
いつか永遠の愛を貴方と誓いたいな 。

婚約もどきでも構わない 。

私たちは、
そのとき確かに想いあっている、
これが何よりの絆 。

唇を重ねて、

また、笑い合おう ?
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