発熱するなんて思わないじゃんか

神奈川雪枝

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なんで今日なの?

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風邪気味だなぁーとは思ってた。

うん、思ってたんだけどさー。



まさか、発熱するなんて思わないじゃんか。



しかも、

せっかくのデートの日にだよ?

(久しぶりなのにな、会うの。)



つか、

彼の誕生日なんですよっ。

(誕生日祝いたかったな。)





朝起きた時に体が重すぎて、

体温計を何とか探して、

熱を図った。



数字を見て、

もう笑うしか出来なかった。



(昨日、仕事めちゃくちゃ頑張ったのにな。)



会社に電話入れて。

太郎には、メールを送った。

(ごめん、今日会えなくなっちゃった。)



メールを送信したら、

体が弱ってるせいか、

何故だか涙が流れて来た。















ピンポーン。



ピンポーン。



(え?!)



がちゃがちゃ。



「 雪枝ー?」



太郎の声が聞こえた。



「 居る?」



目の前に人影。

ぼんやり映る。



「 なに、風邪?」



「 太郎?」



「おう。」



「おめでとう。」



「は?」



「今日、誕生日じゃん。」



「 そーやけど。」



「ケーキ、食べる?」



話していく内に目が覚めてきて、

勢いよく起き上がろうとした私を太郎は慌てて支えた。



「 ケーキって、お前なぁ。」



「 ん?」





「 人の誕生日祝う前に、自分の体調まずどーにかしろや。」



太郎の真っ直ぐな目。

ぎゅって抱きついた。



「 なにー?」



「んー、会いたかった。」



「なんや、淋しかったんか?笑」



「 淋しいよ。」



なんでかな?

思ってる事すらすら言えちゃう。

甘えたい気分。



「 ごめんな。」



「大丈夫。」



んーって唇に唇を重ねた。

意識が朦朧とする中、

私はとりあえずちゅーしてた。



「 太郎すき 。」















目が覚めたら真っ暗だった。

枕元にある携帯を開いてみると、もう十二時だった。

(私、寝ちゃったんだ。)



手になんか感触があってみてみると、

太郎の手だって。

(ずっと、居てくれたんだ。)



太郎の髪を撫でながら、

寝顔を見つめてた。

(可愛い。)





ゆっくり寝たら、

熱は多分下がったはず。

(太郎に風邪うつらないといいけど。←)





「 誕生日おめでとう。」

(1日遅くなるけど、御祝いするからね。)
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