he gave me an icy look.

神奈川雪枝

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真っ直ぐ見ないで。

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「あぁ、イクイクー。」

友達の彼氏としてる時が一番興奮する。
罪悪感?
背徳感?

そんなものなんてない。

ばれちゃうんじゃないか、
って思いながらする
セックスが好きなだけ。

「ゆかり、今度いつ会える?」

さえこの彼氏の健太はズボンをはきながら、
私に問う。

「いつだろ?(笑)」

「は?」

「さえこと今度いつ会うの?」

「 あぁ。」

「なに?」

「俺、さえこと別れてゆかりと付き合いたい。」

「は?」

「だめかな?」

「なんで?」

「さえこ、こんなにしてくれないし。
 ゆかりと俺、相性ばっちりじゃん(笑)」

「ごめん、むり。帰る。」

「ちょ、待って、ゆかり。」

興味ない。
さえこの彼氏の健太じゃなきゃ、意味ない。

私には友達がいない。
そりゃそうだ。
人のものと勝手にするんだから。

「はぁー。」

公園でジュースを飲む。

「澤口?」

「ん?」

「やっぱり、澤口優花里だ。」

「誰?」

「俺だよ、同じ高校だった滝本。」

「滝本?」

「一緒の図書委員だったじゃん!」

「図書委員?」

「おまえっ!」

「あぁ、真面目の滝本くん?」

「どんな覚え方だよ。」

「大学デビューしたの?
 髪の毛茶色いから気づかなかったよ。」


「そうそう。って違くねぇーか。
 校則ねぇからな、染めてみた。
 どう?」


「興味ない。」


「お前はそういうやつだよな。苦笑」


高校生の時は図書委員とかいって、

図書委員担当の若い新婚の男教師とよく準備室で、
してたっけ。
楽しかったな。


制服ですると興奮するとかいって、

基本着衣のままで、

ずこずこはめられてたっけ?


「澤口はなにしてんの?
 休憩?」


「そうだよ。」


「俺、これからコンビニのバイト!」

「頑張るね。」

「だろ?
 毎日働いてるよ。」

「えらいね。」

(私は毎日誰かしらとやってるけど。)

「じゃぁな、そこのコンビニだからよかったら買い物にきて。(笑)」

「いかないよぉっ。」っていうより早く、
彼は駆け出していた。

滝本か。
真面目そう。
彼女、いるのかな。

刺激が足りない、
毎日に。

ばれてもばれなくてもいい。
ばれたら彼女からにらまれたり、
平手打ちされたりするだけ。

ちょっとしたこと。

第一、私の誘惑なんかにのってくる男が悪いと思う。
そんなのどっちみち長続きしない。

私は、図書委員担当の新婚教師、
谷川先生のことが本気で好きだった。

人の物は盗っちゃいけません。なんて、
言われなくても知ってる。

好きになったのが、
もう指輪はめてただけなのに。

簡単だった。

放課後、
準備室にいる先生に
抱きついて、
手を誘導すればあとは、もうなるようになった。

谷川先生がそんなロリコンだとは思わなかったけど、
それでも好きだった。

私たちは隙を見つけては、
準備室で交わった。

卒業の時に、
さすがにこれからはホテル?とかって思ったら、
卒業おめでとうって準備室で最後にめちゃくちゃ泣きながら抱かれて、
それで終わった。

制服姿じゃない君と会う想像ができないって、
泣いてた。

ひどいなぁって思った。

なんかもうどうでもよくなった。

それから大学で
恋愛で浮足立ってる平和そうな感じがちょっとむかついて、
彼女いるやつに声かけたら、
簡単にやれた。

なんか彼女になっても浮気されるぐらいなら、
本命じゃなくて、
浮気相手でいいなって思った。

健太はやっぱりさえこと別れてなくて、
また会った。

「なぁっゆかりっ。」

「なっにっ?」

「俺さ、本当に、お前の事っ。」

「うるさっ。」

こんな誰にでもつっこむやつ、
誰が彼氏にするかってんだ。

めんどくさい。
谷川先生がこんなに私に執着してくれればよかったのに。

なんで、健太なの?
いらない。

いらないっ。

夜、ふらふらコンビニに行ったら、
そこには滝本がいた。

「あれ、澤口じゃん。
 きてくれたの?(笑)」

「ばか。忘れてたんだよ、あんたがここいること。」


「あ、俺もうそろそろ休憩だから一緒にジュースのも?」


「はぁ?」


「おごるよ。」と、
滝本は私の手に持ってたジュースをもってレジに走っていった。


公園で、

また二人きり。


「澤口はさぁ、
 何専攻してんの?」


「教えない。」


「高校生のときと、かわんないな。(笑)」

「どこが?」

「不愛想なとこ。
 図書委員さぼりそうなのに、
 ちゃんと当番してたよね。」

(それは、谷川先生とやるためだよ、ばーか。)

「俺、意外だったんだよ。
 澤口絶対さぼりそうだったのにさ。
 俺と澤口だけ、当番全うしてたんだよ?(笑)」

嬉しそうに笑う滝本。
本当のことを知ったらこいつはどんな顔をみせるんだろう?

「あ、俺そろそろ戻らないと。
 ありがとうね、来てくれて。」

「あんたに会いに来た訳じゃないし。」

「ん。」

ばいばいって手を振って、走っていく。
滝本は、私のことを何もしらない。

大学の食堂で、
さえこに怒られた。

「あんたね、人の彼氏に手出してんじゃないわよっ!」

「出してないよ。」

「嘘つかないでっ!!」

「健太からだったよ。」

「やめてよ、人の彼氏名前で呼ぶの!!!」

さえこのあまりの剣幕に、
食堂で注目されてしまった。

「さ、澤口!」

「 滝本?」

「あんた誰よ?!こいつの彼氏?
 この女ね、人の彼氏って知っといて浮気したのよ?!」

「え、そうなの?」

「関係ない。」

「関係あるよ、俺、澤口のこと、いいなって思ってるもん。」

「は?」

「人の話の邪魔しないでくれる?!」

「いこ、澤口。」

滝本は私の手を引っ張る。
(何言ってんだ、こいつ。)

あんたが図書館で当番頑張ってる時だって、
私は準備室で谷川先生とひそひそやってたんだよ?

「ねぇ、ほんとなの?」

いつもの公園。

「人の彼氏と浮気、してたの?」

「だからなに。」

「だめじゃん。」

「なんで?あんたに迷惑かけてないじゃん。」

「本当、変わらないな、澤口。」

「は?」

「俺、知ってたよ。
 準備室のこと。」

「え?」

「あれ、澤口だったんでしょ?」

「なんで?」

「谷川先生に用があって準備室近づいたんだ。
 カーテンしてたけど、隙間があって、見えたよ。」

「さいあくっ。」

「その時から、気になってた。」

「きもっ。」

「なんで、澤口泣いてんのかなって。」

「はぁ?」

「泣いてたよ、澤口は毎日。」

ぎゅって抱きしめられた。

「最近も泣いてたでしょ?」

「ないてないし。」

「嘘ばっか。」

「やめてっ。」

「自分の事、大事にしろよ。」

「うるさいなっ。」

「俺ずっと、澤口のことす……(言わないでっ!)

顔をあげて滝本の口をふさいだ。

「さ、澤口っ。」

「うるさいっ。」

舌をねじりこむ。

「ちょ、俺は。」

ほら、静かになる。
男なんてふさいじゃえばあとは静かになる生き物なのよ。

「ん。」

「俺のこと、見て。」

「な、なに?」

(そうじゃない。)

「ちゃんと、俺を見て!澤口!」

(言葉じゃない。)

「滝本ぉ。」と下半身を触っても、
滝本は、まっすぐに私を見ていた。

(やめて、やめて。
 そんなにまじまじ見られたら、ばれちゃう。
 私が弱いのばれちゃう。)

「澤口っ!」

滝本は下半身をまさぐる私の手を掴むと、
まだまっすぐに私を見ていた。

なんて黒い瞳をしているんだろう。
「似合わない。」

「なにが?」

「茶髪。」

「澤口、ちゃらついてるの好きかと思って。」

「滝本は、真面目なのところがいい所だよ。」

「ありがとう。」

彼の瞳孔は私を捕らえて離さない。

そんなまっすぐな瞳で、
準備室のことも見ていたのかと思ったら、
汗が流れた。
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みんなの感想(1件)

ハル
2020.05.25 ハル

セックスに刹那的日々を送るゆかり、彼女の心と身体をほんとに満たしてくれる男を求める、やるせなく切ない、想いが伝わってきました

2020.05.25 神奈川雪枝

感想ありがとうございます😊
滝本の思いが伝わるといいですけどね💦

解除

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