出会った頃のように

神奈川雪枝

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(太郎の家に来るん、めっちゃ久しぶりやな。)

太郎をベッドに寝かす。

お揃いのマグカップも、
歯ブラシもある。

私専用のブランケットもある。

太郎の家で沢山過ごして、
沢山笑ったのに。

(何で私、太郎の事疎ましく思ってもうたんやろか。)

「雪枝。」

「太郎、ほんまごめん。」

太郎がこんなに酔うなんて珍しい。
いつもお酒が強くて、
一緒に飲んでも私だけ顔真っ赤で、
太郎は飄々としてるのに。

太郎の寝顔を見つめる。

(ああ、私、
太郎の事大好きやった。)なんて、
今更気づく。

仲良くなりすぎて、
ドキドキしなくなって。

太郎の事、大好きなのに。

二郎先輩と浮気してもうた。


ほんま、ごめんなさい。

涙が流れた。


こんな私の事、
太郎は何度も会おう会おうって誘ってくれて。


告白してくれたのも、
太郎からだったね。

先に好きになったのは、
私からなのに。



「雪枝、俺たち付き合わへん?」

「え?」

「俺は雪枝の事好きやねん。」

「急に?!」

「雪枝も、俺の事好きやと思った!」

好きって恥ずかしくて、
中々言えなくて。

付き合って半年くらいたった時に、
太郎が昼寝してる時に、
太郎の髪の毛を撫でながら、
めちゃくちゃ小声で、
「太郎、好きやで?」って言ったら、
太郎の目がぱちって開いて、
「今、なんていうたん?」っていうから、
「きっ、聞こえてたん?!起きてたん?!」って軽くパニックになった私の事を
太郎は抱きしめて、
「やっと、聞けたぁ。」って嬉しそうに笑うから、私は心の中で、
(言えんくて、ごめんな。)って思ったんやった。



太郎の手を握る。



「雪枝!」

太郎の声が聞こえる。

「雪枝!」

肩がユラユラ揺れる。

目を開けると、
太郎が起きていた。

「何でおんの?」

「え?それは、昨日……。」

「はよ帰って。」

太郎はやはり怒っていた。
(許すわけないやんな。)

「ご、ごめん、すぐ帰る。」、
慌てて立ち上がる。

寝起きで立ち上がるとフラッと揺れた。

太郎は、
私の手を掴んだ。

「な、なに?」

「反省、した?」

「うん、ほんまごめん。」

「今回だけやからな!」

「え?」

「次は絶対、許さへんよ?」

「許してくれるん?!」


「当たり前や、
俺は雪枝の事が好きなんやから。」と、
太郎が私を抱きしめた。

太郎に抱きしめられるの、
いつぶり?

懐かしくて、
落ち着く。

涙が溢れた。

「ほんまに、ごめん!」


仲直りした私と太郎は、
一緒に朝ごはんを食べた。

「雪枝、二郎のことやけど。」

「2人って知り合いなんやな?」

「もう、会わんといてや。」

「う、うん。ほんま、ごめんな。」

「連絡も控えてくれると、
嬉しいんやけど!」

「そうやな、距離置くわ!」


帰り際、
太郎が私にキスをした。

「来月、記念日やで?
忘れてるやろ?」

「ほんまやな、付き合って4年?」

また、連絡するって太郎が笑顔で手を振る。

太郎の笑顔、久しぶりに見たな。



帰路に着く。
携帯を開くと、二郎先輩から何件も着信が入っていた。

昨日の夜、
二郎先輩、寝てもうたから、
私の部屋においてきてんよな。

まだ、おるんかな?

太郎になんか言えなくて。
言えば良かったかな。
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