彼から香る

神奈川雪枝

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お疲れ様

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「 ばーかっ 。」

帰り道、
サッカーボールを蹴る事に夢中になっている彼の背中にそう呟いた 。

それでも彼は私の方に振り返ってくれなくて 。
(そりゃぁそうか、かなり小さい声でぼそって言ったしね 。)

分かんないかな、こーいうのって女心的に気付いて欲しいもんなんだよ。
この何気ない伝わらない位の小声でも届いてくれると嬉しいんだよ。


「ねぇー。」

「ん?」


「 サッカーボールと私、どっちが好き ?」


彼は私のことをまじまじと見つめてきた。
(ちょ、今の冗談として聞いてよ><)


「 なにそれ ?」


(……私の方がなにそれ?って聞きたい、色んな意味で 。)


「 ばかっ。」


サッカーボールと私自身比べちゃう位、私淋しかったのよ。
あぁ~なんで視界滲んでんだろ 。


「さっきから馬鹿、ばかって俺なんかした?」

(さっきからって !聞こえてんなら反応してよ、馬鹿っ。←3回目)


こんな時にあれだけど、向き合えてる事が嬉しくて。←
今まで我慢してた淋しかった気持ちが何か溢れてきて 。

「うっ 。うっ 。」

って嗚咽し始めた私を彼は 。







        抱きしめらた、彼から香るのは練習終わりの汗の匂い。
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