寂しくて悲しいわ

神奈川雪枝

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待てない

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「 私、死ぬ 。」

そういったら貴方はどうする?

頭可笑しくなったと思って、私から離れていくの?
それとも、詰まらない冗談だと思って笑うの?


本当に、死んじゃいそうだよ 。







「 もしもし?」
「太郎?」
「おん。」
「どうしたの?」

「 声、聞きたなった 。」

「何それ~ってか今真夜中なんですけど 。」
「ごめん。」

真夜中の電話。
いつも貴方は気まぐれ。
期待しないほうがいいってことに、とっくの昔気がついた。


私は何度貴方を思って枕を濡らしたことでしょう?

  何度貴方を待って受話器を見つめていたことでしょう?

本当は素直になれないだけで、すっごく好きなのに……。







ピンポーン。

「 はーい。」

扉を開ければ貴方じゃない。

「 二郎ちゃんか 。」
「何、太郎ちゃんかと思ってたん?」
「そんなわけないじゃん、太郎は仕事大変だもん。」

彼を部屋に招けば、偽りの愛情。

「 ご飯は食べてきたの?」
「おん。」

視線を感じる。
彼の合図。

「 寝室、行く?」
「おん。」

彼は、ズルイ。
いつも私に誘わせる。
言葉にしないだけで、私を誘う。
私は、耐えられなくなって言葉で彼を誘う。
彼は、太郎の友達だ。
私は、太郎の彼女だ……。
こんな関係になったのは、彼の忙しさから。

突然やってきた二郎。
でも、太郎は出張だった。
私は、そのとき初めて彼を部屋に入れた。
最初はお話してるだけだったのに……。

「 淋しい。」

酔った勢いでそう言っていた。
彼は優しいから。

その日から、関係は始まった。


「 んっ 。」

寝室に入るなり、いきなりキスを強いられる。
軽いキスなんかじゃなくて、深い深いキス。

やっと離れたと思ったら、すぐに押し倒される。

「何や久しぶりやな 。」
「そうだね。」

目が合って、再びキスをする。
キスの余韻に浸ることなく、彼は私の服を脱がせていく……。

「 今日は、なかないんや?」

彼は、私を見つめる。


「 今日は、太郎のことを思って二郎ちゃんとヤルわけじゃないから 。」

「じゃぁいつも、俺に抱かれながら太郎ちゃんのこと思ってたいうこと?」
「無意識に思っちゃうんだもん。」
「重症やなぁ。」

彼は、荒々しく愛撫を始めた。

貴方を心に閉じ込めて、貴方じゃない人に抱かれて、私は恐怖を感じた。

貴方が愛しく思えた。


痛々しい行為。
彼は、寝ていた。

ナミダは流れない。
ただ、喪失感。


電話が鳴った。

「 もしもし?」
「  太郎?」
「おん。」
「どうしたの?」

「 なんや淋しなって……。」

「子供だねぇ 。」
「寝てたん?」
「 ううん、起きてた。」
「えらい夜更かしやなぁ~。
 あっ、それとも早起き?」
「 夜更かしの方かな?
 何か眠れなくて……。」
「何、不眠症?」
「 違うよ。」
「じゃぁ、何やねん。」

「 私も淋しくって……。」

「 そうか 。」
「うん、ごめんね。」
「何で謝んねん。」
「よくわかんないけど……。」





今日は、たくさん話した。
たくさん、彼に気持ちを伝えた。



「 明後日は帰れるから 。」



嬉しい知らせ。


となりで眠っている彼を見る。
( ごめんなさい 。)


明後日。
私は、愛しい人と口付けを交わす。
偽りなんじゃない愛を。
痛々しい行為なんかじゃなく、愛のある優しい行為を。

早く早く。
私に会いに来て?







淋 し く て 、 悲 し い わ 。

  (早くしないと死んじゃうよ。) 
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