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3歳の僕
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しおりを挟む父様からのお話に回らない頭のまま、思いつくままに、疑問を口にする。
「あの、僕、まだ3歳で…」
「そうだね。」
「それに、入学試験も受けてなくて…」
「試験は特例で、レティの意思が確認できた数日後に試験官が来るよ。
他の生徒とは入試内容も方針も異なるものだそうだが、それが合格値に達していれば入学できるそうだよ。
まあ、レティならそれでも何の問題もなく、合格値に達すると思っているが。」
「それでも僕、必須科目の剣術の授業も、魔術の実地の授業も受けられません…
それに、マナー講義で必須のダンスも、まだ踊れる体格ではありませんし…」
そう、大きな問題はそこだと思う。
仮に入学試験で合格点を出して実技以外の授業は他の生徒と一緒に受け、前世の記憶と勉強量で一緒に学んでいっても問題なくついていけたとしよう。
それでも、それでは補えないこの幼児体型!
体の大きさは標準の3歳児より小さいし、体力もいつも兄様達や父様、母様に抱えられての移動。
僕が自分で歩く距離なんて、本当にたかが知れてる。
そんな僕に体力なんて、ある訳ない。
そしてこれからも、つく気がしない!
ダンスもパートナーと対峙してもきっと相手の膝程の身長だ。
当然ホールドも組めないし、踊るなんて夢のまた夢。
剣術なんてもっと遥か彼方の夢だ!
それに、あともうひとつ。
魔力の行使。
この世界には魔法と魔術があって、同じ結果を齎すのにもその過程や理屈に違いがあるんだけど…まあ、詳細は今は省くとして。
そのどちらも、動力として体内の魔力を使う。
この世界の魔力には、『火』、『水』、『土』、『風』、『光』、『闇』、『時』、あと誰でも使える生活魔法等が該当する『無属性』の8種類の質があるんだけど、その人の魔力の質は、目の色に現れる。
赤ければ火、青なら水、茶色なら土、緑なら風、金色なら光、闇なら紫、時なら黒。
ほとんどの人が1つの質しか持ってなくて、この中のどれか単色の色。
そしてその色が濃く、鮮やかな程魔力の質も高く強い。
質は年齢と共に強くなり、魔力量もそれに伴って大きくなっていく。
そしてだいたいの人は、成人する頃に質と魔力量の成長も止まる。
たまにおじいちゃんになってもまだ少しずつ成長してるって人もいるらしいけど、それはとても稀なケース。
因みにこの世界の成人は、どの国も15歳だ。
前世の感覚から考えると大分早いよね!
そうそう、質の強さと魔力量は比例してなくて、質が凄く高いけど、魔力量はちょっとしかないって人もいるんだ。
そういう人は、高度な魔法が使えるけど使えて1回か、若しくは使うと魔力の枯渇で最悪死んでしまう。
逆に質は低いけど、魔力量が多いって人は簡単な魔法しか使えないけど1日に連続で何回も使う事ができる。
魔力量は見えないけど、質は目を見れば分かるから、瞳の色が濃くて綺麗な人は、それだけで強いと認識されがちだ。
魔力量を測るには測定魔具を使わないとだから仕方ないんだけどね。
それを念頭に置いて思い出して欲しい。
カディラリオ兄様は真っ赤なルビーのように濃く輝く瞳。
つまり、火の質の、とても強い力を持っている。
ミスティラリ兄様はアメジストのような紫の瞳。
闇の質の、結構強い力。
パスティリード第1王子は黄金の如く煌めく金の瞳。
質は光で、王子の質もとても強い。
みんな、さすが人気のあるメイン攻略対象達だよね!
僕とは根本から違うもの!
そうそう、あと自分の持ってる質以外の質の魔法は、基本使う事ができない。
例外としては、魔道具等、別の媒体を使っての行使。
魔道具なんかの媒体を使う時は、体内の質を使いたい質に変化させる魔力回路や、他の媒体なら変換術式が含まれたものなんかを使った時にだけ、違う質のものが使えるんだ。
因みに、魔道具を使っての魔力行使は、魔術の括りだから、自分の質と違う質のものを行使出来ないのは、魔法だけ、ということになる。
あとは、魔法とも魔術とも違うんだけど、自分とは別の質の精霊って意志を持った魔力の塊に直接お願いして、自分の魔力を動力源にして精霊の質の魔法を使ってもらうってやり方かな。
でもこれは本当に例外中の例外。滅多にないケースだけど。
だいぶ話が逸れたけど、何が問題だって言いたいかと言うと、
魔力の質も量も成長と共に大きく強くなる。
つまり、3歳の僕には、魔法も魔術も、物によっては魔道具さえも行使する魔力が、現在ほとんどないってこと。
人は産まれる前から、僅かにだけど魔力を持って産まれるから決して0ではないけれど、成長を促せる程も、試す程も、ましてや人と競える程のものも、僕はまだ持ち合わせていない。
…モブの僕が、成長したからってこれから手にできるのかって言うのはこの際まだ考えないようにするとして。
つまり、例え試験に合格できても、他の生徒と同じように授業を受ける事はどう考えても不可能だって事。
それなのに、学園に入学なんて…無理なんじゃないの?
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