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4歳の僕 ♢学園編♢
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しおりを挟む兄様達との練習をした翌朝、見慣れた僕でも瞬時に赤面してしまうような蕩けた笑顔で、兄様2人に起こされた。
起こされ方も、いつも以上に甘い気がする。
目が覚めて少し経った今もまだ、2人からの挨拶のキスが終わらない。
それだけ昨日は頑張ったと評価して貰えたのかな?
兄様達からのキスは嬉しいし気持ちいいし、どれだけされても嫌じゃないけど。
ルーが人数分の洗面用の水を持ってきてくれて、それぞれに顔を洗うと、先に拭き終わった兄様達が、僕の顔も拭いてくれる。
いつもはここで、着替えにそれぞれの部屋に戻って行って、僕の着替えはルーがしてくれるんだけど、今日は着替えさせるのも兄様達がやると譲らなかった。
ルーは困った顔してた。
僕の着替えが終わると、兄様達は凄い早さで自分達の着替えを終わらせてきた。
着るものが制服って決まってても、使用人達に任せたにしてはさすがに早すぎる。
自分で手早く着替えたのかな。
今日、何かそんなに急ぐような事あったっけ?
着替えた3人で朝食の時間を告げられるまで、僕の部屋で寛いでいると、使用人に連れられたリディが部屋に入って来た。
部屋に入ってすぐに僕の腕の中に飛び込んでくる。
夜離れているからか、朝はとびきり甘えたなんだよね。
リディが入ってきた瞬間、兄様達の空気が笑顔なのに冷たくなった気がする。
これはリディが来てから毎朝の事なんだけど…
兄様達、もしかして爬虫類系苦手なのかも。
リディは竜だから爬虫類ではないけれど…鱗だもんね。
いつも僕の側にいてくれるから、必然的にリディとも近い距離になるし、苦手なのに預かることにして申し訳なかったな…。
それでも口には出さないから、僕の意志を尊重してくれてるんだと思うし、そういう優しい所がやっぱり好きだなって思う。
兄様達といると、新しい好きと、好きの再確認で、毎日好きが増えていって、この頃は少し苦しくなる。
これ以上好きになったら、主人公と出会った時辛くなるのに…
ううん、もう既に手遅れな気がする。
ゲームでの兄様達との出会いの時期はもう過ぎてるんだけど、僕の見てない所で実は出会ってしまっているんだろうか…
そう考えついたら、胸がキリキリと痛んだ。
♢♢♢
「レティ君、どうしました?
眠れませんか?」
いつも通り学園に登校して、午前の授業を受けて、今はお昼寝の時間。
場所は保健室。
僕のお昼寝の場所を提供してくれている。
優しく声を掛けてきたのはここの保健医で、キミセカ学園編の攻略対象者の1人。
ユージュアル先生。
白髪に水色の瞳、切れ長で少し吊り上がった目元の、一見神経質そうにも見えるキツめな印象の美形だ。
美人、って単語が似合う感じの顔立ちで、僕と同じで髪も目も淡い色味のはずなのに、明らかに僕とは違って存在感のある人。
先生を見る度に、僕がモブなのは色味の問題だけじゃないんだなって再確認する。
いや、色味のぼやっと感も原因のひとつだとは思うけど。
この先生、ゲームの設定ではツンデレ枠で、学校では物言いや雰囲気がキツいと有名で、ゲームでも主人公に最初は結構キツく当たってた印象が強い。
でも、デレてからの好感度の上がり具合が半端なくて、定期的に会う度に急上昇するから、プレイヤーの中では攻略が最も簡単なチョロキャラ(チョロいキャラ)で通ってた。
今思えば失礼な話だけど。
でも実際に会ってみると、僕は先生にキツくされた事がない。
どちらかと言うと最初からデレモードスタートだった気がするっていうか…
だから最初にお昼寝の件で挨拶に来た時、キツく言われるの覚悟で来てたのに、あまりに優しく接してくれるから、あれ?設定記憶違いしてたかな?って思ったんだよね。
何回思い返しても、ツンデレ枠だったはずだし、他の生徒からの評判はやっぱりキツい保健医って印象らしいから、記憶違いではないみたいなんだけど…
僕が子供だからかな?
ツンデレのデレが大きいキャラだったし、設定には載ってなかったけど子供好きなのかも。
「すみません、少し考え事をしてしまってて。
目を瞑ってれば、すぐに眠れると思います。」
「そうですか?
うん、熱なんかはないみたいですね。
よく眠れるように、ホットミルクを作ってきましょう。
少し待っていてくださいね。」
僕の額に手を当てて熱を測ったあと、そう言って保健室奥に備え付けてある小さな簡要の魔導コンロで牛乳を小鍋に入れ火にかけ始めた。
出来上がったものをカップに入れ、僕の好きな蜂蜜入りにして、ベッド横の椅子に座っているルーに手渡してくれる。
ルーは1口先に毒味をして、僕の上体をそっと起こし、さり気なく風の魔法でミルクを適温に冷ましながら僕の口に運んでくれる。
うん、いつもながら芸が細すぎて凄いよ、ルー。
ユージュアル先生も確か伯爵位の家の人だから、ルーが毎回毒味をするのにも何も言わない。
貴族…特に高位貴族の口にするものを、従者が毒味するのは常識だからね。
蜂蜜の甘みもちょうど良くて、全部美味しく頂いた。
先生とルーにお礼を伝えて、再度横になり、ゆっくりと目を閉じる。
僕のお昼寝の間、リディは学園長先生の所だ。
週に1度、黒帝様が来られる時は、この時間にリディと会っているみたい。
僕もリディを迎えに行った時に何度かお会いしてる。
黒帝様にこんなに頻繁に会うことの出来る人間なんて滅多にいないと、学園長さんも恐縮していた。
それくらい、お姿を拝見するのも難しい方なんだって。
だからゲームにも出てこなかったのかな?
そういえば、ユージュアル先生はきっともう主人公に会ってるよね?
この保健室によく来てるんだろうか。
僕は登校日は、ほぼ毎日この時間に来てるけど…
そういえば1度もそれらしい人には会っていない。
この世界の本物の主人公は、一体どんな人なんだろうか。
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