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5歳の僕 ♢学園編 2♢
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しおりを挟むこの世界での成人は15歳。
ディー兄様の誕生日は7月。
誕生日を迎えて成人すれば、ディー兄様も結婚できるようになる。
高位貴族は幼い頃から婚約者が決まっている事も多いけど、うちはまだ誰にも婚約者がいない。
候補すら上がってるのを聞いた事がないから、父様が全て断ってるんだろうと思う。
最近は成人間近なディー兄様への縁談やお見合い話の持ち込みや、お茶会、夜会への招待状が日に日に増えているみたい。
兄様達は家柄も、容姿もとても優れていて、学園での成績も全てにおいて常にトップクラス。
将来性も申し分ないし、第1王子の覚えもめでたい。
この上ない優良物件だろう。
うちと縁を持ちたい貴族は多いから、幼い頃からそういった話は多かったと思うけど、最近の勢いはうちの優秀な使用人達がため息をつく程だ。
(もちろん僕達の前ではつかないので、たまたま僕がため息混じりにそんな話をしているのを聞いただけなんだけど。)
今までは主人公と出会って恋するんだと思ってたから、そんな話も気にならなかったけど(受けないって分かってたからね)
最近は、主人公とまだ出会えてないからもしかして兄様達を攻略しに来てないのかもって思うようになって。
だってこんなに兄様達と一緒にいるのに1度も一緒にいる所に遭遇しないって、例え出会いイベントは発生してたとしても、主人公の攻略対象は兄様達じゃないのかな、なんて自分の都合のいいように思えてしまって。
でも考えるようになってからは、今まで気にならなかった数々の縁談の話なんかも気になるようになってきた。
結局、主人公と結ばれなかったとしても、もういつ婚約者ができてもおかしくない時期だし。
特にディー兄様は嫡子で次期公爵だ。
今まではゲームの流れ的にも普通だと思っていた婚約者のいない今の状況も、高位貴族の跡継ぎ問題なんかを考えると、候補すらいないのは本当に稀なケースだと思う。
もし、僕が知らないだけで候補なら沢山いるよーとかだったら…
それはそれで、普通の事なんだけどなんか凄く凹む…
そんな風に益体も無い事を考えていたのが悪かったのか。
僕はついに出会ってしまった。
この世界の主人公に。
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