私には、姉が言っている乙女ゲームが理解できない。

irai

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妹にはめられたイヤーカフ。

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週末ミシェルとダニエルは、叔父の元へと向かって行った。



思わず、そわそわしてしまう……。



チェイス王子たちに緊張しているのではないけど、父がどう話すのか予想できないからだ。



そうこうしているとアーティがやってきた。



「旦那様、そろそろご到着されるようです。」



「来たか……。では、出迎えるとしよう。」



父は呼んでいた書類を置いて立ち上がった。



玄関で出迎える為に、向かって行く。







馬車から降りて来た王子たちとドナルド。



「アストレア公爵、お忙しいのにお時間を作って頂き感謝します。」



挨拶をする姿は、やはり綺麗で彼らは王族なんだと実感する。



ロベルト・グラント。

ミシェルとダニエルの同級生で彼もまた攻略対象。

基本的に兄を尊敬し、どちらかと言えばブラコンだ……。



攻略する時も、本当は兄が目的だと疑うほどに困った性格をしていた。

優秀で真面目な性格だが、チェイス王子ほどの厳しさはなく無邪気な面があるキャラクター。



「こちらこそ、よく来てくれましたね。さぁ、こちらへどうぞ。」



とにかく、レニーの今後の為にも今はこの話しがどう進むか見守らなくては……。



庭には、お茶会のような準備が整っていた。



ロゼたちに朝指示を出しながら、父は”交渉には、絶対美味しい飲み物と食べ物が必要だ。そうすれば、ほとんどは上手くいく”と笑っていた。



地図で確認したが、グラントリアは他の国の比ではない程大きな国だ。



この国の商業や外交を担う父の言葉ということもあり、今後覚えておくことにした。







チェイス王子王子が、少しそわそわしている。



「どうかしたかな?」



父が彼に声をかけた。



「いえ、レニー嬢は同席しないのでしょうか?」



あっ、レニーを探していたのね。

父はアーティの方を見て、合図を送った。

多分、レニーを探しに行かせたのだ。



「すまないね。部屋にいるように言ったんだが……。あの子は、言いつけを守るのが苦手なんだ。」



確かに、部屋にはチッチもレニーもいなかった。

あの子の事だから、書庫か庭のどこかにいるとは思うけど……。



「そうですか……。チョコレートが好きだと聞いたので、よろしければ。」



きっとドナルドに聞いたのね。



父は、感謝を言ってロゼに渡した。

ロゼは、他のメイドたちにこの場を任せてチョコレートを持って屋敷に向かった。

もしかして、レニーをチョコレートでおびき出すのかしら……。



「じゃあ、早速本題に入ろうか。何を聞きたいですか?」



父の顔つきが変わった。

チェイス王子たちが緊張しているのが伝わってくる。



「…アストレア公爵は、庭園の入口をご存知なのですか?」



「えぇ、知っています。私たちも行ったことはありますが、何も現れることはありませんでした。」



父も誰かとあの場所を訪れたんだ。



「レニー嬢の前に現れた神獣について、何か知っておられますか?」



落ちつた口調で父に質問したのは、ドナルドだった。



「実際に見てはいないから、憶測でしかないが……。私たちが知っている神獣とは、桁が違うでしょうね。」



古い本に記されていて、誰も入ったモノを知らないとなると、確かにそうなのかもしれない。



でも、そんな神獣がなぜレニーの前に姿を現したんだろう……。

それに、父はなぜチェイス王子たちにそんな重要なことを話したんだろうか。



他の神獣と同じレベルだと言っておけば、まだ丸く収まりそうなのに……。



「ですが、再び入口が開き神獣が姿を現す保証もありません。信じ難いですが、ただのまぐれ……という可能性も否定できないでしょう。」



探っているんだわ。

父は、目の前の3人の表情を観察しながら話す言葉を選んでいる。







「旦那様、レニーお嬢さまを書庫の棚の上で発見しました。」



ロゼがレニーを連れて戻ってきた。ロゼの手には、やはりチョコレートが……。



レニーは、チッチを抱っこしたままチェイス王子たちに挨拶をした。



重たかった空気が、レニーが来たことで一気にほころんだ。



ロゼに耳打ちされたレニーは、「チェイス王子さま、チョコレートをありがとうございます。」とたどたどしく感謝を言った。



「いや、喜んでもらえたみたいで何よりだ……。」



チェイス王子の肩が小刻みに揺れている。

チッチをかたくなに離さないレニーが面白いのか……。

それとも、チョコレートにくぎ付けになっている目線が面白いのか。



「今日も、仲良しみたいだね。」



ドナルドがレニーとチッチを見て微笑む。



「はいっ!」



満面の笑顔で答えるレニーを見て、ロベルトは少し驚いているようだった。

確かに、お茶会などで見る令嬢とはかけ離れているだろう。



その後は、父が席を外し私たちも神獣の話しはしなかった。







チェイス王子たちも気さくに会話をしてくれたし、ロベルト王子は少しネコが苦手のようだった。



それに気づいたレニーは、ロベルト王子にチッチを近づけて驚かせて遊んでいたがロゼに怒られてしまったようだ。



「べつにっ……怖いわけじゃない。」



「あぁ、そのようだな。」



強がるロベルト王子を見て、チェイス王子も笑っていた。

きっと、レニーがヒロインとしては上々な滑り出しだとは思うけど、どうしても神獣のことは気になってしまう。



そうこうしているうちに、日が沈みかけチェイス王子たちは帰ることになった。



見送りには、父も出てきた。



「今日は、ありがとうございました。」



チェイス王子たちが父に挨拶をした。



「いえ、こちらこそ。無駄足にならなかったと良いですが……。」



父に言われて私とレニーは、挨拶を済ませ家の中へと入った。



何を話しているのだろうか……。







気になっていると、戻ってきた父が私とレニーを呼んだ。



「良い子たちのようで、安心したよ。マリー、これを。」



そういうと、父は本を渡してきた。

もしかして、この本も読まないといけないのだろうか……。



「ふふっ、本ではないよ。まぁ、本と言えば本だがそれは辞書だ。」



これが、辞書?



中を開くと、何も書かれてはいなかった。



「それは、とても貴重なモノで本に魔法がかけられているんだよ。知りたい言葉を思い浮かべて手をかざしてごらん。」



そう言われた私は、本を置いて手をかざした。

何か知りたいこと……。



パラパラとページが動き、”神獣”に関する情報が浮かび上がった。



レニーは、興味深々でもう1回やってと私にねだった。



「ふふっ、すごいだろう。手こずっているようだから、使うと良い。もちろん、そこには載っていないモノもあるがね。」



アナスタシアの日記が進んでいないことに気づかれていたんだろう。



「ありがとうございます。」



いいんだよと微笑む父は、レニーに側へ来るように言った。



レニーが父の側に行くと、彼はレニーの髪の毛を耳にかけて何かをはめた。



なんだろう……?



痛くないかと聞かれたレニーは、大丈夫だと笑っていた。



「レニー、そのイヤーカフは絶対に外しちゃいけないよ。」



このタイミングでレニーにプレゼント?

不思議に思った私は、レニーを部屋に送り彼女の耳を見た。







シルバーアクセサリーだろうか?

何かの模様が入っていて、綺麗だけど……絶対に外しちゃいけないってどういうこと?。



「お姉さま、レニー似合ってる?」



レニーは、イヤーカフが気に入ったようだ。



「えぇ、とっても可愛いわ。」



何かの理由があるだろうが、とにかくレニーが喜んでいるから良いかな。



私は、とりあえずアナスタシアの日記を読破しなくちゃ。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





外の景色をぼうっと眺めていると、アレクセイが部屋にやってきた。



「レニーに、イヤーカフを付けたよ。」



「そう……。痛くなかったかしら。」



イヤーカフは、私が頼んで用意したモノだった。



「気が咎めるかい?」



「えぇ、あの子を守る為だとしても……。何も知らないレニーに、勝手にアレを付けたんだから。」



あのイヤーカフには、魔力を抑える為の魔法があしらわれている。



少し前から、レニーに魔力があることには気づいていた……。

無意識に魔力を使っていて、まだ強くはないだろうと安心していたのだ。



「時期が来れば、外せば良い。全て話したら、あの子もきっと理解してくれるさ。」



子供たちは、優しく良い子に育っている。多少のクセはあるけれど……。

だからこそ、我慢を強いるみたいで心苦しい。



「それよりも……。」



アレクセイが私の手を取った。



「どうしたの?」



「…久しぶりに会ってどうだった?」



こういう時にアレクセイが怪しげに笑った。



「どうって、何も変わらなかったわよ。」



もしかして、やきもちだろうか……。



「やきもち?」



「さぁ、どうだろうね。」



私が笑うと、少しアレクセイは不貞腐れた。



「私にはあなただけよ。」



たまには反撃してみようと思ったけど、満足げに笑ったアレクセイを見てハメられたと確信した。



「わざと、すねたフリをしたのね。」



「いいや、ただの嫉妬だよ。」



この人には、本当に敵わない……。

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