神使キツネの魂結び~死んじゃって生き返った私、お狐お兄さんに完璧お世話されちゃってていいんですか!?~

山口じゅり(感想募集中)

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第一話 私、狐に轢かれました。

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今日もアルバイトが遅くなっちゃった、と思いながら、私は夜道を急いでいた。
もう21時を過ぎていて、田んぼの田舎道には私以外誰もいない。しんとした空気と、転々と向こうまで続く白い街頭の光を頼りに、くたびれた体で家路を急ぐ。

ふと、ずっと先の道の向こうから、一瞬だけ、白い光がちかっと瞬いたような気がした。
車かな?と私は目を凝らす、その瞬間。

どおん!という衝撃と共に、私の体は吹っ飛んでいたのであった。


◇◇◇


目を覚ますと、私は家のベッドにおさまっていた。

(あれ、昨日はいつのまに帰って来たっけ……?)

昨日どうやって帰って来たっけ。さっぱり記憶がない。いつの間に寝ていたんだろ?

ちらりと見やった時計は4時を指している。朝弱いのに、珍しく早起きだね私。道理で、カーテンのかかる窓の外は薄明るい。昨日はバイトから帰って……それでどうしたっけ……なんてことを布団の中で考えていると、掛布団の上から声がした。

「あ! 気がついたの?」

目の前に動物がいた。
犬だ。

黒い犬が、私のかけ布団の上にちょこんとのって、私を見ている。そういやお腹あたりがちょっと重い…とかそういうことじゃないな、今、明らかにこやつがしゃべったように思えたんだが、犬……?いや、ちょっと違うような……?いやそうじゃない、なんで?動物が??うちの布団の上に???

混乱のうちに目と目が合う。見詰め合う私たち。

「あの、大丈夫かな?」

その動物は私の目を見ながら、今度こそはっきりと発言した。見間違いじゃない。私を心配している感じでそう言った。

「……え」

目を覚ましたら動物がいるし何か喋ってるとはこれいかに。私はべらぼうに驚いて起き上がろうとしたけれど、なんか体が物凄く重いし痛い。全然起き上がれる気がしない。

「あ~あ~、大丈夫、起き上がらなくていいよ。体はまだしんどいと思うからね」

動物に気遣われた……となんとなく敗北感を感じつつ、私はいうとおりにそのまま黙った。

「ごめんね、実は君のこと、僕が轢いちゃって」

「……え、轢いた?」

「そう、轢いたの」

理解が追いつかないまま、私は犬の言う言葉を繰り返した。

「僕の方で手当もしたんだけど、ずっと気絶したままだったから、すっごく心配したんだ。
一応、神様に仕える身、 僕のお仕えする神様の名に恥じぬよう、仁義を尽くして、お詫び致します。
とりあえずは、君の体が回復するまで、僕が君の身の回りのお手伝いはするし、賠償金もちゃんと用意するからね、本当にごめんね。
とにかく、今後のことは心配しなくていいから。今はゆっくり休んで」

言うだけ言うと、その動物は、すとんとベッドから降りる。

「ねぇ君、おなかとかすいてる?」

「い、いいえ……」

そっかあ、とその犬はうなづいた。

「じゃあ、多分もうちょっと寝ていた方がいいかな、ほら、君もうちょっと寝てなさい」

黒い鼻づらを布団の上にちょこんと載せて、耳をパシッと動かすと、犬は私の目をじっと見た。

とたんに私は眠くなる。犬…?なんで犬がうちに…なぜしゃべる…?

などの疑問と混乱の中、私はそのまま眠ってしまったのであった。

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