反逆の姫君と異界の住人

yuushi

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ロード フロム ウイル

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やりたいこと:特になし

やりたくないこと:無数

中学生の卒業アルバムに書いた

高校生に上がり時間はゲームでつぶしたただ過ぎていく日々 熱中してたと言えば聞こえはいいがふと振り返ると何も残らない

“ユウゴは、将来何になりたい?”

“どうしたんだよ、キラ”

“いやなんとなくね、もうすぐ進路決めないと”

3年の桜が散り始めたころだったかな。

なんて答えたんだっけ、、、

“キラはどうしたんだ、大学?この間スカウトされた事務所にでも行くのか“

いつもの土手を歩く 夕暮れ

“オウになりたい”

“オウって?王様のこと?マジ?”

少し前を歩くキラは振り返りもせず

“マジだって言ったらおかしいかな”

“いいじゃない、どうせ、本物のメイドが雇えるからとかだからだろ”

不意に立ち止まり拳を沈みゆく夕日に突き上げる

“そうだ、メイさまに忠誠を”

キラが好きなアニメのワンシーンだ。

横にならび

“そうだ、メイさまに忠誠を”と拳を突き上げる

結局、冗談交じりに何になりたい分でもなく何を目指すこともなかった。ただ、自分の心地の良い世界に浸ってただけなのか

 目を開けると、木漏れ日が差し込む蝕れた木天井が広がっていた。

 

そんな長屋から集落を抜け、まばらな田園の間を通るあぜ道

似つかわない、金髪が二人

“もうよいではありませんか、どこの物とも知らない奴を頼らずとも”

手足が長いせいだろうか身振りに幅がある

“ユウゴのことか?奴はインデックスの使者なのだ、必ず助けてくれる。“

“ジーク・ピリオド 親衛隊の名にかけても王家を復興させてみせます。
たしかに、あの時の動きはミリオンナイトにも引けは取らないかもしれないですが、戦いはシアイ。私のように鍛錬を重ねた者でないと、覚悟が足りてません“

 速足であるくリサの後ろを大股で従うジーク

“だが、ジーク”

“なんでしょうリサさま、やはり私の言うことを聞きいれて、、、”

“大魔法を一発撃ったらお終いの忘却の、、、と回復魔法が少し使えるプリエステル(僧侶)の小娘二人でできるいい案があったら続けてほしい“

“うっ”

速足のリサ、その場に立ち止まり取り残されるジーク

田んぼで牛蛙があざ笑うかのように静寂に鳴き声を響かせた

 離れ行く少女の背を追い掛けるように大股で駆け出す



追いつき、一刻ほど無言で歩く。

 低い山間に差し掛かり夕暮れ時

道は木々に囲まれ細く続く

抜けた先には低い鳥居が幾重にも重なり続くジークは少し屈みながら付いていく。

風が笹を揺らし、音を奏でる

数はいくつあるだろうか、百はくだらない
導くように虫の羽音が清んだ大気を揺らす
抜けるころには行燈に火がいつの間にか焚れていた。

円形の広場には先ほどとはうって変って身の丈の5倍はあろうかという漆黒の鳥居が鎮座しており、祓いの札がなびくその麓にはメイド姿の黒髪の双子が並び、声を揃え

“”お待ちしておりました、クラフト家王女リサさま、トーチャ男爵がお待ちです“”

和音が重なり、鳥居の奥からの声だと聞き間違えてしまうかと思うほど澄んだ空間には響いた
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