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しおりを挟む魔術の観察どころではなくなったティータイムを経て、ティアルティナは昼食の時間帯になり、そのままロナルドと摂ることになった。
「じゃあ、引き続きティアルティナ姫は魔術を存分に見てくれていいからね」
自分は自分でティアルティナに触れているから、ということになった。
ティアルティナとロナルドの為に用意された昼食は、瞬く間に平らげられてゆく。
ロナルドは女性の姿になってもよく食べた。優雅に、でも素早く口に運び、咀嚼し、嚥下する。それの繰り返しだ。
食事を楽しんでいるのだろうなといことは、彼の満足気な表情を見れば理解する。
「どうしたの、ティアルティナ姫?」
気持ちいいくらいに早い速度でお皿を綺麗にしてゆく様を見守っていると、ロナルドに不思議そうな顔をされた。
「美味しそうに食べているな、と思って」
「美味しいよ。それに、お腹が空くからね」
「......それって、魔力の消費の所為で?」
「うん、そう。展開している魔術を維持するのに、消費する魔力が膨大なんだ。それを補うのに、大量の食事が一番容易い方法だから」
ティアルティナはロナルドの回答に目を輝かせた。大好きな魔術の事となると我を忘れがちになるティアルティナだが、案の定、今回もロナルドがもたらす新情報に前のめりになって耳を澄ます。
「やっぱり、魔力の消費は膨大なのね?それってどれくらいなのかわかる?」
「だいたいの目安でいいなら、わかるかな?」
「それでもいいわ!」
ティアルティナはすぐさま了承する。少しでも詳しく識りたい。
「攻撃系の大魔術を常に放つような感覚かな?」
「常に......?それは、大丈夫なの?」
ティアルティナは並外れた魔力を消費する魔術に驚愕し、そしてそれを敢えて展開し続けるロナルドの身体を危ぶむ。
大魔術とはその名の通り、普通の魔術とは異なる分類からそう名付けられている。多量の魔力と魔素が組み合わさり、絶大な力を生み出す。攻撃系であったり、守護系や魔術師が望むものによって変わるが、規模が違う。その為、魔術師が失う魔力も多い。
魔力は生命力とは別だが、全てを失うのは死を意味する。また魔力は個人差があり、多い者、少ない者がいる。そして内蔵される魔力によって扱える魔術が違うのだ。
そのなかでも攻撃系の魔術は、魔力の消費が激しい。更にロナルドの感覚では大魔術というのだから、ティアルティナが驚くのも無理はなかった。ロナルドがお腹を好かせて沢山の料理を食べる理由も納得する。
「大魔術かぁ......それは大変だね?でも、それを維持し続けるなんて......」
普通なら有り得ない。やろうと思う事もないだろう。いや、できるだけの魔力が常人にはないだろう。
全てが規格外なロナルドだから可能としているだけで。
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