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故郷 過去編
ケース0 ある木こりの場合
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俺の名前はボーク。
ドンガ村一の木こりの男だ。
まあドンガ村の家はほとんど建て終わったから、木こりを続けているのは俺の家しかないっていうのもあるがな。
それだって木が全く必要なくなった訳じゃないから、時々木を切り出せば俺は生活出来るくらいには稼ぎがある。
そんな俺も20歳を超えて嫁を貰う時期となっていた。
そんな俺が村で目をつけている女が居る。
俺の近所に住む女でまだ独り身だ。
だがこの村で一番の美人だと俺は思っている。
家も近所で顔もたまには合わせる間柄だ。全くの繋がりが無い訳じゃない。
*
その日、俺は珍しく木を切り出しに森に入っていた。
入っていたとは言ったが、そう森の奥には入っていないぞ? 時々野生の獣の声が聞こえてくる森の奥なんかに進んで入りたいとは思わないからな。
木々の隙間から俺の家が見える辺りで見つけた手頃な木を、担いできた斧で切り倒す作業を始める。
昼前から初めて、夕方の日が落ちる前にようやく切り倒すことが出来た。
倒れた木を運ぶのは明日にしようと家路を急ぐ。暗くなってきた森は少しおっかないからな。
そうして森を抜けて家にたどり着いた頃、俺の近所の家が騒がしいことに気づいた。
あの美人の住む家だ。
俺は何かあったのかと家の前に斧を置いてそちらに向かった。
「――結婚してくれ!」
「はい! 喜んで!」
そこには昔村に居た男と美人が抱き合っている姿があった。
それを村人が囲んで祝福している。
……ナンナンダ? 何故お前がそこに居る? ソレは俺の役だろう!?
俺は怒鳴り散らしたい気持ちでいっぱいだったが、周りの村人が居る状態でそれも言えず、そのまま俺は村人の輪から外れて家に帰ることにしたのだった。
ドンガ村一の木こりの男だ。
まあドンガ村の家はほとんど建て終わったから、木こりを続けているのは俺の家しかないっていうのもあるがな。
それだって木が全く必要なくなった訳じゃないから、時々木を切り出せば俺は生活出来るくらいには稼ぎがある。
そんな俺も20歳を超えて嫁を貰う時期となっていた。
そんな俺が村で目をつけている女が居る。
俺の近所に住む女でまだ独り身だ。
だがこの村で一番の美人だと俺は思っている。
家も近所で顔もたまには合わせる間柄だ。全くの繋がりが無い訳じゃない。
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その日、俺は珍しく木を切り出しに森に入っていた。
入っていたとは言ったが、そう森の奥には入っていないぞ? 時々野生の獣の声が聞こえてくる森の奥なんかに進んで入りたいとは思わないからな。
木々の隙間から俺の家が見える辺りで見つけた手頃な木を、担いできた斧で切り倒す作業を始める。
昼前から初めて、夕方の日が落ちる前にようやく切り倒すことが出来た。
倒れた木を運ぶのは明日にしようと家路を急ぐ。暗くなってきた森は少しおっかないからな。
そうして森を抜けて家にたどり着いた頃、俺の近所の家が騒がしいことに気づいた。
あの美人の住む家だ。
俺は何かあったのかと家の前に斧を置いてそちらに向かった。
「――結婚してくれ!」
「はい! 喜んで!」
そこには昔村に居た男と美人が抱き合っている姿があった。
それを村人が囲んで祝福している。
……ナンナンダ? 何故お前がそこに居る? ソレは俺の役だろう!?
俺は怒鳴り散らしたい気持ちでいっぱいだったが、周りの村人が居る状態でそれも言えず、そのまま俺は村人の輪から外れて家に帰ることにしたのだった。
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