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第一章
第10話 東将オルティス=ハインシュ
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翌日からゼムベルトは公務に追われるようになり、僕の元に来なくなった。
……いや、がっかりはしていないよ?
むしろ心の平穏が保たれてすごくホッとしている。
イプティーは「申し訳ありません」と言ってくれるけれど、むしろこっちにとっては、今の状況の方が都合が良い。
栄養のある食事を頂き、温かい寝床で十分な睡眠を取ったおかげで、だんだん体力も回復してきて、魔力も戻りつつあった。
ただ、ジュノーム=ティムハルト自身、そこまでの魔力があるわけじゃない。いや、潜在的な魔力はまだまだあるみたいだけど、自由に使いこなせる魔力はせいぜい中級魔法が使える程度。
魔王としての記憶が蘇る前は、初級魔法すら使えていなかったからな……ま、誰も魔法なんか教えてくれなかったし、学校すら行かせてもらえなかったからね。
僕に読み書きを教えてくれたのは奴隷の爺さんだった。
その爺さんも僕が十二の時に病気で死んでしまったから、それ以降は読み捨てられた本や新聞を読むことで知識を蓄えていた。
上級魔法である大炎華を放つことができたのは、潜在的な魔力が感情の高ぶりによって一時的に目覚めたのだろうな。
早いところ此処を出たい所だが、独り立ちするには、やはり上級魔法ぐらいは極めておきたい。
体力も絶望的なくらいないに等しいから、身体も鍛えておかないとな。
幸い帝城敷地内には魔力を引き出す修行に適した場所がある。樹齢二千年を超える大樹。自然の力を存分に蓄えた植物が生み出す澄んだ空気は、体内の魔力を活性化させる。
大樹の根元に腰を下ろし、足を組み、体内の魔力が湧き出てくるのを意識し、魔力を高めることに集中する。口で言うのは簡単だが、体内の魔力を意識することすら、常人には難しいことなのだ。
うん……泉が湧くようにこんこんと魔力が湧き出てくるのを感じる。
清浄な空気を体内に取り入れると、胸の中心がそこはかとなく温かく感じる。
魔力が高まっているのだ。
「光の雨」
僕が唱えた瞬間。
光の粒が雨のように降り注ぐ。この光は多くの負傷した味方を癒やす効果がある。
僕自身は怪我をしているわけじゃないけれど、この光の雨を浴びたら身体の調子が良くなるから唱えてみた。
魔王だった時は、同じ呪文を唱えた時、血の雨が降り注いだけどね。魔族にとっては血の雨が癒やしだったわけ。
「これほどの光の雨を降り注がせるとは……流石ですね」
そう言って拍手をする人物がいた。
僕は集中を解き、声がする方へ顔を向け、はっと息を飲む。
白銀色のサラサラの髪、前髪は顔半分を覆っている状態。切れ長の二重の目も白銀色。耳は尖っていて、肌は艶やかな褐色で白銀色の髪の色を際立たせていた。身に包む衣装は軍服に外套は恐らくこの国の軍人のものだろう。
僕は息を飲む。
またもや知っている顔がそこにいたのだ。
相変わらず、美しい男だな。
僕もモテていたけれど、この男も相当モテていた。
魔界中の娘たちが彼に夢中になっていた……最も本人は恋愛にはとんと疎かったけどね。二百年近く一緒にいたけれど、こいつの浮いた話は一度も聞いたことがなかった。
その人物は僕の前に跪き、恭しい口調で言った。
「お久しゅうございます。魔王様」
「お前は……オルティスか」
「はい、貴方の元に仕えさせていただいたオルティスでございます」
魔王だった時、僕の配下に四人の将軍がいた。
魔界の北部を治める北将バシュドラーン
魔界の南部を治める南将メルザ
魔界の西部を治める西将シキ
そして今、目の前にいるのが魔界の東部を治めていた東将オルティスだ。
四将軍の中では聡明で僕に忠実だった男。
オルティスは嬉しそうに目を細め、感嘆の息を漏らした。
「今世、勇者の生まれ変わりが生まれたと分かった時から、あなたもまた生まれ変わることは予想していましたが、あの時と変わらぬお姿を目の当たりにし、とても感動しております」
勇者の生まれ変わりが生まれた、ということは、やはりゼムベルトが?
いや、その前に色々気になることがあるので、僕はオルティスに尋ねた。
「その勇者の戦いでお前の安否のことは気になっていた」
「有り難き幸せ。ご覧の通りあの戦から生きながらえ、今に至っております」
「あの戦いの後から今まで生きてきたのか。お前、今年でいくつになる?」
「もう五百歳過ぎたころから、あまり数えなくなりました。多分、八百歳ぐらいなのではないかと」
魔族は短命な者もいれば、長く生きる者もいる。魔力の保有が多いほど長生きする傾向があるんだよね。僕も勇者に倒されてなかったら余裕で千年は生きていたかもしれない。
それはそうと、肝心なことを聞きそびれていた。僕は訝しげにオルティスに尋ねる。
「何故、お前は人間に仕えている? それはこの国の軍服だろう? しかも、この国の皇子はあの勇者と酷似した男じゃないか」
……いや、がっかりはしていないよ?
むしろ心の平穏が保たれてすごくホッとしている。
イプティーは「申し訳ありません」と言ってくれるけれど、むしろこっちにとっては、今の状況の方が都合が良い。
栄養のある食事を頂き、温かい寝床で十分な睡眠を取ったおかげで、だんだん体力も回復してきて、魔力も戻りつつあった。
ただ、ジュノーム=ティムハルト自身、そこまでの魔力があるわけじゃない。いや、潜在的な魔力はまだまだあるみたいだけど、自由に使いこなせる魔力はせいぜい中級魔法が使える程度。
魔王としての記憶が蘇る前は、初級魔法すら使えていなかったからな……ま、誰も魔法なんか教えてくれなかったし、学校すら行かせてもらえなかったからね。
僕に読み書きを教えてくれたのは奴隷の爺さんだった。
その爺さんも僕が十二の時に病気で死んでしまったから、それ以降は読み捨てられた本や新聞を読むことで知識を蓄えていた。
上級魔法である大炎華を放つことができたのは、潜在的な魔力が感情の高ぶりによって一時的に目覚めたのだろうな。
早いところ此処を出たい所だが、独り立ちするには、やはり上級魔法ぐらいは極めておきたい。
体力も絶望的なくらいないに等しいから、身体も鍛えておかないとな。
幸い帝城敷地内には魔力を引き出す修行に適した場所がある。樹齢二千年を超える大樹。自然の力を存分に蓄えた植物が生み出す澄んだ空気は、体内の魔力を活性化させる。
大樹の根元に腰を下ろし、足を組み、体内の魔力が湧き出てくるのを意識し、魔力を高めることに集中する。口で言うのは簡単だが、体内の魔力を意識することすら、常人には難しいことなのだ。
うん……泉が湧くようにこんこんと魔力が湧き出てくるのを感じる。
清浄な空気を体内に取り入れると、胸の中心がそこはかとなく温かく感じる。
魔力が高まっているのだ。
「光の雨」
僕が唱えた瞬間。
光の粒が雨のように降り注ぐ。この光は多くの負傷した味方を癒やす効果がある。
僕自身は怪我をしているわけじゃないけれど、この光の雨を浴びたら身体の調子が良くなるから唱えてみた。
魔王だった時は、同じ呪文を唱えた時、血の雨が降り注いだけどね。魔族にとっては血の雨が癒やしだったわけ。
「これほどの光の雨を降り注がせるとは……流石ですね」
そう言って拍手をする人物がいた。
僕は集中を解き、声がする方へ顔を向け、はっと息を飲む。
白銀色のサラサラの髪、前髪は顔半分を覆っている状態。切れ長の二重の目も白銀色。耳は尖っていて、肌は艶やかな褐色で白銀色の髪の色を際立たせていた。身に包む衣装は軍服に外套は恐らくこの国の軍人のものだろう。
僕は息を飲む。
またもや知っている顔がそこにいたのだ。
相変わらず、美しい男だな。
僕もモテていたけれど、この男も相当モテていた。
魔界中の娘たちが彼に夢中になっていた……最も本人は恋愛にはとんと疎かったけどね。二百年近く一緒にいたけれど、こいつの浮いた話は一度も聞いたことがなかった。
その人物は僕の前に跪き、恭しい口調で言った。
「お久しゅうございます。魔王様」
「お前は……オルティスか」
「はい、貴方の元に仕えさせていただいたオルティスでございます」
魔王だった時、僕の配下に四人の将軍がいた。
魔界の北部を治める北将バシュドラーン
魔界の南部を治める南将メルザ
魔界の西部を治める西将シキ
そして今、目の前にいるのが魔界の東部を治めていた東将オルティスだ。
四将軍の中では聡明で僕に忠実だった男。
オルティスは嬉しそうに目を細め、感嘆の息を漏らした。
「今世、勇者の生まれ変わりが生まれたと分かった時から、あなたもまた生まれ変わることは予想していましたが、あの時と変わらぬお姿を目の当たりにし、とても感動しております」
勇者の生まれ変わりが生まれた、ということは、やはりゼムベルトが?
いや、その前に色々気になることがあるので、僕はオルティスに尋ねた。
「その勇者の戦いでお前の安否のことは気になっていた」
「有り難き幸せ。ご覧の通りあの戦から生きながらえ、今に至っております」
「あの戦いの後から今まで生きてきたのか。お前、今年でいくつになる?」
「もう五百歳過ぎたころから、あまり数えなくなりました。多分、八百歳ぐらいなのではないかと」
魔族は短命な者もいれば、長く生きる者もいる。魔力の保有が多いほど長生きする傾向があるんだよね。僕も勇者に倒されてなかったら余裕で千年は生きていたかもしれない。
それはそうと、肝心なことを聞きそびれていた。僕は訝しげにオルティスに尋ねる。
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