12 / 76
第一章
第12話 欠けた記憶
しおりを挟む
「まさか僕の欠けた記憶の中に答えがあるというの?」
魔導師だった頃の記憶がまるでない僕に複雑な表情を浮かべるオルティス。
やや俯いて答えた。
「私の口からは何とも。ただイベルド様は私に告げました。自分はいつか生まれ変わるから、その時にはどうか助けて欲しいと。前世の記憶が思い出せるよう補助して欲しいとも言っていました」
「じゃあ、ゼムベルトはやはり」
「間違いなく勇者の生まれ変わりだと思います。赤子だった彼を私が取り上げた時、彼の身体の一部には勇者の証である痣を確認しましたから」
「身体の一部ってどこに?」
「……えーと、腰から下の」
「尻?」
「ええ……まぁ」
僕は思わず口を押さえ、爆笑したくなるのを堪えた。
勇者の証である痣が尻にあるって……勇者の力を発揮する時翼の形をした痣が光るのだけど、尻が光るってこと?
いや、笑うな、笑うな。笑っている場合じゃない。
ゼムベルトが勇者と確定した以上、ここに止まるわけにはいかないってことが分かったのだから。
いや……でも……尻に勇者の痣って。
前回入浴した時は尻までは見ていなかったからな。まぁ、あの時はそんな余裕もなかったしね。
あああ、可笑しいっっ。
笑い死にそうになるっっ。
「魔王様……そんなに地面を叩くほど笑わなくても」
「こ、これを笑わずにいられるか……!! もし機会があるのなら是非勇者の力を発揮して欲しい。痣が光るところを見て見たい」
「涙まで浮かべて……ゼムベルト殿下が聞いたら落ち込みますよ。結構気にしているみたいですから」
「き、気にしているのか!? あの勇者が……お、お前、僕を笑い殺す気か」
前世の記憶があるだけに、僕の中で勇者の痣が尻にあるというのは、ドツボにはまってしまった。
笑いすぎて肝心なことを聞き忘れるところだった。
僕は涙を拭いながらオルティスに尋ねた。
「ところで勇者は前世の記憶が蘇っているのか?」
「いえ……当時のことをお話させていただくことはあるのですが、今ひとつぴんときていないみたいですね」
「思い出したら不味いのでは無いか? 僕の前世が魔王と分かったら……」
「貴方自身はどうなのです? イベルド様に復讐したいとお思いですか?」
「僕は別に……」
「殺されたあなたがそう思っているくらいです。あの方も同じ気持ちだと思いますよ」
「いや、でも、妻に迎えるというのは流石に」
「かつて敵だった者同士が婚姻関係を結ぶことはよくあることです。あなたとゼムベルト殿下の結婚は、人族と魔族の和平の為にも有効なことだと思っています。魔王様、私はこの結婚、大いに賛同します」
ま、満面の笑みを浮かべて何を言っているんだ!? この裏切り者め。
このままでは本当に勇者と結婚してしまうことになるじゃないか。
一刻も早く魔力を取り戻して、この場から逃げないと!
だけど、失われた記憶についても少し気になるな。
「オルティス、この城には図書室はあるのか?」
「はい。地下の階に図書室がございますよ」
「僕と勇者のことが書かれた書物を読みたい。その後の勇者のことも気になるし」
「それは良いことですね。もしかしたら欠けている記憶も蘇るかもしれませんし」
「……だといいんだけどな」
「ただ、図書室の入室は皇帝陛下の許可がいりますので、少しの間時間をください」
僕は一つ息をつく。
本を読んだところで前世の全てを思い出せるとは思えないが、何か分かるかもしれないからな。
その時、賑やかな声が聞こえてきて僕はそちらへ顔を向けた。
何やら魔法士のローブを着た子供たちがこちらに駆け寄って来る。
「オルティスさまぁ、授業はまだですか?」
「待ちくたびれましたー」
「今日は光の魔法を教えてくれるんでしょう?」
驚いたことに人族だけではなく、魔族や妖精族の子供もいる。
アーネルシアでは人族の城に魔族や妖精族が出入りすることはない。
オルティスが妖精族の子供の肩を叩いて、僕に紹介する。
「将来宮廷に仕える魔法使いたちの卵です。この子は火の妖精族の子供です」
紅髪は炎のように輝き、猫のようなつり目は鮮やかな朱色。
年は十四、五歳くらいか。
水の妖精族イプティーは同じくらいの少年のような姿をしていたが、落ち着いた態度といい顔つきといい、この少年と比較するとやはり十五歳の姿をした大人なんだなってことがよく分かる。
「オルティス様、この人は?」
炎の少年は目をキラキラさせて僕の方を見る。
見知らぬ客人に、興味津々といった感じだな。
「この方は殿下のお客様だ。皆さんご挨拶を」
オルティスの言葉に子供たちはにこにこ笑いながら「「「こんにちは!」」」と声をそろえご挨拶をする。
少年は胸を張って、両手を腰にあてドヤ顔で自己紹介。
「俺はアドラ=ブリージュ!! 一応宮廷魔法士の見習いとして魔法を習っているけど、将来は炎の妖精族の王になるからよろしくな!!」
元気がいいな。さすが炎の妖精族だ。
すると他の子供たちも負けじとばかりに自己紹介を始める。人族や魔族の子供も可愛いな。
魔族と人族が戦争をし、他種族とも相容れなかった時代を知っている僕からすると、それは何とも言えないくらい不思議な光景だった。
「そうだ。ジュノーム様、良かったら子供たちに魔法を教えてみたらどうでしょう?」
「僕が?」
子供たちがいる手前、オルティスが僕のことを、魔王様じゃなく、ジュノーム様と呼ぶ違和感。そして思いも寄らぬ提案に僕は訝しげな表情を浮かべた。
魔導師だった頃の記憶がまるでない僕に複雑な表情を浮かべるオルティス。
やや俯いて答えた。
「私の口からは何とも。ただイベルド様は私に告げました。自分はいつか生まれ変わるから、その時にはどうか助けて欲しいと。前世の記憶が思い出せるよう補助して欲しいとも言っていました」
「じゃあ、ゼムベルトはやはり」
「間違いなく勇者の生まれ変わりだと思います。赤子だった彼を私が取り上げた時、彼の身体の一部には勇者の証である痣を確認しましたから」
「身体の一部ってどこに?」
「……えーと、腰から下の」
「尻?」
「ええ……まぁ」
僕は思わず口を押さえ、爆笑したくなるのを堪えた。
勇者の証である痣が尻にあるって……勇者の力を発揮する時翼の形をした痣が光るのだけど、尻が光るってこと?
いや、笑うな、笑うな。笑っている場合じゃない。
ゼムベルトが勇者と確定した以上、ここに止まるわけにはいかないってことが分かったのだから。
いや……でも……尻に勇者の痣って。
前回入浴した時は尻までは見ていなかったからな。まぁ、あの時はそんな余裕もなかったしね。
あああ、可笑しいっっ。
笑い死にそうになるっっ。
「魔王様……そんなに地面を叩くほど笑わなくても」
「こ、これを笑わずにいられるか……!! もし機会があるのなら是非勇者の力を発揮して欲しい。痣が光るところを見て見たい」
「涙まで浮かべて……ゼムベルト殿下が聞いたら落ち込みますよ。結構気にしているみたいですから」
「き、気にしているのか!? あの勇者が……お、お前、僕を笑い殺す気か」
前世の記憶があるだけに、僕の中で勇者の痣が尻にあるというのは、ドツボにはまってしまった。
笑いすぎて肝心なことを聞き忘れるところだった。
僕は涙を拭いながらオルティスに尋ねた。
「ところで勇者は前世の記憶が蘇っているのか?」
「いえ……当時のことをお話させていただくことはあるのですが、今ひとつぴんときていないみたいですね」
「思い出したら不味いのでは無いか? 僕の前世が魔王と分かったら……」
「貴方自身はどうなのです? イベルド様に復讐したいとお思いですか?」
「僕は別に……」
「殺されたあなたがそう思っているくらいです。あの方も同じ気持ちだと思いますよ」
「いや、でも、妻に迎えるというのは流石に」
「かつて敵だった者同士が婚姻関係を結ぶことはよくあることです。あなたとゼムベルト殿下の結婚は、人族と魔族の和平の為にも有効なことだと思っています。魔王様、私はこの結婚、大いに賛同します」
ま、満面の笑みを浮かべて何を言っているんだ!? この裏切り者め。
このままでは本当に勇者と結婚してしまうことになるじゃないか。
一刻も早く魔力を取り戻して、この場から逃げないと!
だけど、失われた記憶についても少し気になるな。
「オルティス、この城には図書室はあるのか?」
「はい。地下の階に図書室がございますよ」
「僕と勇者のことが書かれた書物を読みたい。その後の勇者のことも気になるし」
「それは良いことですね。もしかしたら欠けている記憶も蘇るかもしれませんし」
「……だといいんだけどな」
「ただ、図書室の入室は皇帝陛下の許可がいりますので、少しの間時間をください」
僕は一つ息をつく。
本を読んだところで前世の全てを思い出せるとは思えないが、何か分かるかもしれないからな。
その時、賑やかな声が聞こえてきて僕はそちらへ顔を向けた。
何やら魔法士のローブを着た子供たちがこちらに駆け寄って来る。
「オルティスさまぁ、授業はまだですか?」
「待ちくたびれましたー」
「今日は光の魔法を教えてくれるんでしょう?」
驚いたことに人族だけではなく、魔族や妖精族の子供もいる。
アーネルシアでは人族の城に魔族や妖精族が出入りすることはない。
オルティスが妖精族の子供の肩を叩いて、僕に紹介する。
「将来宮廷に仕える魔法使いたちの卵です。この子は火の妖精族の子供です」
紅髪は炎のように輝き、猫のようなつり目は鮮やかな朱色。
年は十四、五歳くらいか。
水の妖精族イプティーは同じくらいの少年のような姿をしていたが、落ち着いた態度といい顔つきといい、この少年と比較するとやはり十五歳の姿をした大人なんだなってことがよく分かる。
「オルティス様、この人は?」
炎の少年は目をキラキラさせて僕の方を見る。
見知らぬ客人に、興味津々といった感じだな。
「この方は殿下のお客様だ。皆さんご挨拶を」
オルティスの言葉に子供たちはにこにこ笑いながら「「「こんにちは!」」」と声をそろえご挨拶をする。
少年は胸を張って、両手を腰にあてドヤ顔で自己紹介。
「俺はアドラ=ブリージュ!! 一応宮廷魔法士の見習いとして魔法を習っているけど、将来は炎の妖精族の王になるからよろしくな!!」
元気がいいな。さすが炎の妖精族だ。
すると他の子供たちも負けじとばかりに自己紹介を始める。人族や魔族の子供も可愛いな。
魔族と人族が戦争をし、他種族とも相容れなかった時代を知っている僕からすると、それは何とも言えないくらい不思議な光景だった。
「そうだ。ジュノーム様、良かったら子供たちに魔法を教えてみたらどうでしょう?」
「僕が?」
子供たちがいる手前、オルティスが僕のことを、魔王様じゃなく、ジュノーム様と呼ぶ違和感。そして思いも寄らぬ提案に僕は訝しげな表情を浮かべた。
13
あなたにおすすめの小説
天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました
藤吉めぐみ
BL
高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。
ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。
そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。
冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで……
優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
記憶を失くしたはずの元夫が、どうか自分と結婚してくれと求婚してくるのですが。
鷲井戸リミカ
BL
メルヴィンは夫レスターと結婚し幸せの絶頂にいた。しかしレスターが勇者に選ばれ、魔王討伐の旅に出る。やがて勇者レスターが魔王を討ち取ったものの、メルヴィンは夫が自分と離婚し、聖女との再婚を望んでいると知らされる。
死を望まれたメルヴィンだったが、不思議な魔石の力により脱出に成功する。国境を越え、小さな町で暮らし始めたメルヴィン。ある日、ならず者に絡まれたメルヴィンを助けてくれたのは、元夫だった。なんと彼は記憶を失くしているらしい。
君を幸せにしたいと求婚され、メルヴィンの心は揺れる。しかし、メルヴィンは元夫がとある目的のために自分に近づいたのだと知り、慌てて逃げ出そうとするが……。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。けれど付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる