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第二章
第30話 氷城の中のプロポーズ ※
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「今度は違う角度から君を愛したい」
「ゼム……いいよ……ゼムが好きなように抱いて
ゼムベルトは一度自分のものを引き抜き、僕に四つん這いになるように言った。
僕は言われた通りにする。
正面の鏡氷に僕のお尻をじっと見詰めているゼムベルトの姿がうつっている。
後ろからのアングルを見られているのって恥ずかしい。
「本当にジュノは全部が美味しそうだ」
勇者が舌舐めずりをしている……清廉潔白なはずの勇者様は、今、獲物を目の当たりにした獣と同じ顔をしている。
その顔がやたらに色気があるのだから始末に負えない。
「いくよ? ジュノ」
「……ゼム……っ!」
ゼムベルトは僕の腰を持つと、今度はゆっくりと中にはいってきた。
あ……さっきよりも奥まできてるっっ……。
ゼムベルトの手が腰から僕のお尻に移動する。武骨な指の腹が僕の尻を愛しそうにさする。
「ぜ……ゼム……」
「ああ、今度はすぐに全部はいったね」
「そんなこといちいち言うな」
抗議するものの、四つん這いになって、ゼムベルトの雄を受け入れている僕の顔は完全に蕩けきっている。
屈辱的な格好をさせられている筈なのに、僕はそれを屈辱とは思わず、むしろ喜んで受け入れているのだ。
そんな自分の姿を鏡で見ていると不思議な気持ちになる。
ゼムベルトが腰を打ち付けてくると、先ほどよりも奥まった場所に刺激が与えられ、反射的に僕は甘声をあげる。
「あ……っっん……ッ……んッ……は」
本当にヤバい……この気持ち良さは。
ゼムベルトも同じ気持ちなのか思わず言葉にしていた。
「ジュノの中、最高に気持ちが良い」
「ゼム……」
「ますます君なしではいられなくなる」
「……っっ」
こんなに求められたことがかつてあっただろうか。
生まれ変わってから僕は“不要な子供”として扱われてきた。
魔王の時だって誰かと抱き合うなんて考えたこともなかったし。
ゼムベルトは耳元に唇を寄せてくる。
「ジュノ……中に出すよ?」
極甘の声で囁かれた。
溜め込んでいた勇者の精が僕の体内に放たれるんだ。
ただでさえ早い動悸がますます早まる。
ゼムベルトが僕の腰を掴んで一際強く腰を打ち付けてきた。
あ……来るっっっ。
最奥に熱い精が勢いよく放たれた。
同時に僕自身も絶頂を迎え、精を放っていた。
注がれた瞬間も。どくどくと熱茎が脈打つ感覚も全てが気持ち良すぎた。
僕は多分、ずっとこうなることを望んでいた。
記憶にはないけど、何となく分かるんだ。
僕はずっと勇者に抱かれたいと思っていた。抱かれてめちゃくちゃに犯されたいとさえ思っていたのだ。
犯されている……とは違うけど、勇者に抱かれるという願いが叶い、僕の全身は今歓喜に満ちあふれていた。
「ジュノ……改めて言う。どうか結婚して欲しい」
夜明け。
何度も求め合い、ようやく心と体が落ち着きを取り戻した頃、ゼムベルトは僕の身体を抱きしめプロポーズをしてきた。
僕は目を閉じる。
本当はすぐに頷きたい。前世が前世じゃなきゃとっくにゼムベルトの気持ちに頷いていたと思う。
だけど僕の前世は魔王、そして君は勇者だ。
君にとってかけがえのない仲間たちを殺した魔族たちの王なのだ。
それが分かっても君は僕を愛することができるのか?
愛から憎しみに変わることはないのか?
怖いけれど、問わないわけにはいかない。
僕はディープブルーの目を見詰め、ゼムベルトに問いかける。
「ゼム、僕が魔王の生まれ変わりだったとしても君は僕を愛せるの?」
「さっきも言っただろう? 君が何者でも愛せると」
何のためらいもなく、何の迷いもなくゼムベルト=アークライトは答えた。
今の彼には一点の曇りもない。
記憶がないからといえばそれまでだけど、魔王と例えても彼の決意に揺るぎがないことは凄く嬉しかった。
「ゼム、今すぐ君の気持ちに応えたいけど、僕はこの国のことを知らない。特に皇太子の妻ということは妃になるのだろう? だとすれば無知なまま結婚するわけにはいかない」
「そういうことは追々勉強すれば良い」
「何を暢気なことを。妃になった瞬間、僕は皇太子妃としての責務を果たさなければならなくなる」
「しっかりした妃になれそうだな、ジュノは」
「もう少し、この国のことを勉強して、皇太子妃としての責務を果たせるようになったらあなたの気持ちに応えたい」
魔王の前世のことはこの際置いておいて、現実的な理由を述べてみる。
勢いに飲まれて求婚を受け入れるわけにはいかないからね。
「ではまず婚約という形で受け入れてくれないか?」
「ゼム?」
「皇太子妃となる者は婚約をしてから妃教育を受けることになっている。その中で
この国のことも学ぶことになるだろう」
「……」
婚約か。
婚約をしたからといって、必ずしも結婚するとは限らない。
もしゼムベルトが勇者である前世の記憶を思い出して、僕から気持ちが離れてしまったら、婚約破棄も覚悟しなければならないだろう。
僕としては二度も助けてくれたゼムベルトに報いたい気持ちもあるし、もちろんそれだけじゃなくて、僕自身、純粋にゼムベルトと一緒に居たい気持ちもある。
今はその気持ちに素直に従ってみるのもいいんじゃないだろうか。
断ったところで、この男は絶対に諦めないだろう。
僕はゼムベルトの背中に手を回し、逞しい胸に額を当て、ゆっくり息をついてから答えた
「後悔しても、知らないからね」
「ジュノ……それじゃあ」
「ああ、婚約を受け入れる」
我ながら可愛くない受け答えだと思う。
僕で良ければ……とか言えたらいいのだけど、前世のプライドが思い切り邪魔をしてくる。
それでもゼムベルトはとても嬉しかったみたいで、僕をさらにきつく抱きしめてキスをした。
身体と身体が密着し、僕はギョッとする。
ゼムの雄がすっかり蘇ってしまっているのだ。夜通ししたというのに、まだそんな力が残っていたというのか?
く……勇者、恐るべき精力の持ち主だ。
深まるキス、そして触れてくる指先に僕の身体も敏感に反応する。
「ジュノ、もう一度愛したい」
そんな風に囁かれたら断れるわけがない。
僕は求められるがまま、朝からゼムベルトに抱かれるのであった。
「ゼム……いいよ……ゼムが好きなように抱いて
ゼムベルトは一度自分のものを引き抜き、僕に四つん這いになるように言った。
僕は言われた通りにする。
正面の鏡氷に僕のお尻をじっと見詰めているゼムベルトの姿がうつっている。
後ろからのアングルを見られているのって恥ずかしい。
「本当にジュノは全部が美味しそうだ」
勇者が舌舐めずりをしている……清廉潔白なはずの勇者様は、今、獲物を目の当たりにした獣と同じ顔をしている。
その顔がやたらに色気があるのだから始末に負えない。
「いくよ? ジュノ」
「……ゼム……っ!」
ゼムベルトは僕の腰を持つと、今度はゆっくりと中にはいってきた。
あ……さっきよりも奥まできてるっっ……。
ゼムベルトの手が腰から僕のお尻に移動する。武骨な指の腹が僕の尻を愛しそうにさする。
「ぜ……ゼム……」
「ああ、今度はすぐに全部はいったね」
「そんなこといちいち言うな」
抗議するものの、四つん這いになって、ゼムベルトの雄を受け入れている僕の顔は完全に蕩けきっている。
屈辱的な格好をさせられている筈なのに、僕はそれを屈辱とは思わず、むしろ喜んで受け入れているのだ。
そんな自分の姿を鏡で見ていると不思議な気持ちになる。
ゼムベルトが腰を打ち付けてくると、先ほどよりも奥まった場所に刺激が与えられ、反射的に僕は甘声をあげる。
「あ……っっん……ッ……んッ……は」
本当にヤバい……この気持ち良さは。
ゼムベルトも同じ気持ちなのか思わず言葉にしていた。
「ジュノの中、最高に気持ちが良い」
「ゼム……」
「ますます君なしではいられなくなる」
「……っっ」
こんなに求められたことがかつてあっただろうか。
生まれ変わってから僕は“不要な子供”として扱われてきた。
魔王の時だって誰かと抱き合うなんて考えたこともなかったし。
ゼムベルトは耳元に唇を寄せてくる。
「ジュノ……中に出すよ?」
極甘の声で囁かれた。
溜め込んでいた勇者の精が僕の体内に放たれるんだ。
ただでさえ早い動悸がますます早まる。
ゼムベルトが僕の腰を掴んで一際強く腰を打ち付けてきた。
あ……来るっっっ。
最奥に熱い精が勢いよく放たれた。
同時に僕自身も絶頂を迎え、精を放っていた。
注がれた瞬間も。どくどくと熱茎が脈打つ感覚も全てが気持ち良すぎた。
僕は多分、ずっとこうなることを望んでいた。
記憶にはないけど、何となく分かるんだ。
僕はずっと勇者に抱かれたいと思っていた。抱かれてめちゃくちゃに犯されたいとさえ思っていたのだ。
犯されている……とは違うけど、勇者に抱かれるという願いが叶い、僕の全身は今歓喜に満ちあふれていた。
「ジュノ……改めて言う。どうか結婚して欲しい」
夜明け。
何度も求め合い、ようやく心と体が落ち着きを取り戻した頃、ゼムベルトは僕の身体を抱きしめプロポーズをしてきた。
僕は目を閉じる。
本当はすぐに頷きたい。前世が前世じゃなきゃとっくにゼムベルトの気持ちに頷いていたと思う。
だけど僕の前世は魔王、そして君は勇者だ。
君にとってかけがえのない仲間たちを殺した魔族たちの王なのだ。
それが分かっても君は僕を愛することができるのか?
愛から憎しみに変わることはないのか?
怖いけれど、問わないわけにはいかない。
僕はディープブルーの目を見詰め、ゼムベルトに問いかける。
「ゼム、僕が魔王の生まれ変わりだったとしても君は僕を愛せるの?」
「さっきも言っただろう? 君が何者でも愛せると」
何のためらいもなく、何の迷いもなくゼムベルト=アークライトは答えた。
今の彼には一点の曇りもない。
記憶がないからといえばそれまでだけど、魔王と例えても彼の決意に揺るぎがないことは凄く嬉しかった。
「ゼム、今すぐ君の気持ちに応えたいけど、僕はこの国のことを知らない。特に皇太子の妻ということは妃になるのだろう? だとすれば無知なまま結婚するわけにはいかない」
「そういうことは追々勉強すれば良い」
「何を暢気なことを。妃になった瞬間、僕は皇太子妃としての責務を果たさなければならなくなる」
「しっかりした妃になれそうだな、ジュノは」
「もう少し、この国のことを勉強して、皇太子妃としての責務を果たせるようになったらあなたの気持ちに応えたい」
魔王の前世のことはこの際置いておいて、現実的な理由を述べてみる。
勢いに飲まれて求婚を受け入れるわけにはいかないからね。
「ではまず婚約という形で受け入れてくれないか?」
「ゼム?」
「皇太子妃となる者は婚約をしてから妃教育を受けることになっている。その中で
この国のことも学ぶことになるだろう」
「……」
婚約か。
婚約をしたからといって、必ずしも結婚するとは限らない。
もしゼムベルトが勇者である前世の記憶を思い出して、僕から気持ちが離れてしまったら、婚約破棄も覚悟しなければならないだろう。
僕としては二度も助けてくれたゼムベルトに報いたい気持ちもあるし、もちろんそれだけじゃなくて、僕自身、純粋にゼムベルトと一緒に居たい気持ちもある。
今はその気持ちに素直に従ってみるのもいいんじゃないだろうか。
断ったところで、この男は絶対に諦めないだろう。
僕はゼムベルトの背中に手を回し、逞しい胸に額を当て、ゆっくり息をついてから答えた
「後悔しても、知らないからね」
「ジュノ……それじゃあ」
「ああ、婚約を受け入れる」
我ながら可愛くない受け答えだと思う。
僕で良ければ……とか言えたらいいのだけど、前世のプライドが思い切り邪魔をしてくる。
それでもゼムベルトはとても嬉しかったみたいで、僕をさらにきつく抱きしめてキスをした。
身体と身体が密着し、僕はギョッとする。
ゼムの雄がすっかり蘇ってしまっているのだ。夜通ししたというのに、まだそんな力が残っていたというのか?
く……勇者、恐るべき精力の持ち主だ。
深まるキス、そして触れてくる指先に僕の身体も敏感に反応する。
「ジュノ、もう一度愛したい」
そんな風に囁かれたら断れるわけがない。
僕は求められるがまま、朝からゼムベルトに抱かれるのであった。
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