【完結】フェンリルと勇者と魔王と王子

turarin

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戦闘(魔王軍との遭遇)

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宿を出て、5人で魔王城へと向かう。

エドの胸中は複雑だった。泣いている妹を放っておけない。そんな気持だったのだが、寝かし付けるうちに不覚にも寝入ってしまった。朝、目覚めてからずっと、とんでもない罪悪感に苛まれている。

「俺、昨日の夜さ、昔うちで飼ってたゴールデンレトリバーのユキが夢に出てきてさ、めっちゃ可愛かったんだよ。俺のこと心配してあの世から来てくれたんだな、きっと。」
にこにこと語るアキラ。
「ゴールデンレトリバーって何だ?」
と、ウィル。
「犬よ。犬の種類よ。結構大きいの。優しい犬よ。」
「ふうん、そうなのか。優しいか…」
とアオ。

いつしか、山道となり、鬱蒼とした深い森の中を歩いていた。


「おい!気をつけろ!」
叫ぶエド。
「来たな…かなり荒っぽいやつらだ。」
とアオ。
「わかるのか?」
とウィル。
「ああ、魔王軍でも中核を占める幹部連中、まあ、魔人達が率いる部隊だ。ヤル気がびしびし伝わってくる。」
「瘴気もすごいわ。あいつらの身体じゅうからあふれてる!」

瘴気の発生原因は不明だが、魔物や魔獣は溜まった瘴気の中から産まれてくる。その中から、進化し、意思を持ったものが魔人、魔神、魔王となっていくらしい。産まれて間もないものは常に瘴気をまとい続ける。
瘴気に人間は弱い。吸い込むと肺は炭化するし、長くその中にいると、皮膚が黒ずみ始め、体内まで侵されると死に至る。

「浄化できるか?」
「もちろんよ。」
「聖なる神の名のもとに、我に力を与え給え!浄化!」

両手を思いっ切り前に出して叫ぶ。ミミの手のひらから眩しい光が放たれ、あたり一面をキラキラと覆い尽くす。
「き、効いたわ!どうよ!?」
どや顔のミミである。

「ねえ、ああやって、神のナンチャラとかさ、言わなきゃいけないの?長くない?」
「大丈夫なんだけどさ、そう習ったし、聖女っぽいでしょ?」
「ふうん…俺なら言えない。恥ずかしっ。よく言えるな。」
「ほっときなさいよ!」
今日は平常運転のアキラとミミである。

ウィルとアキラ、アキラを護るように傍らにアオ。ミミを庇うエド。全員背中合わせに立つ。

「囲まれたな。」
と、アキラ。
(まあ、心配するな。我らにとっては大した相手ではないぞ。余裕じゃ。)
とエクスカリバー。

「ほう、今年のヤツらの中には聖女とやらが居るようだな。毎回、飽きもせずよくやって来るものだ。」

「ふん、こ、今回は違うぞ。俺達は歴代最強だからな!そ、それに、俺達には、ゆ、勇者もいる!歴代最強だ!」
突如、大声で叫ぶウィルバート。

え?!顔を見合わせる、残りの4人。
何言ってんの、この人。緊張してるの?緊張の余り、相手を煽ってしまうウィルバート。大丈夫か?
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