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2.メイリンの企み
ある日、メイリンが1人で次の教室へ向かっていると、高位貴族らしい令嬢2人に話しかけられた。
「メイリン嬢、あなた、殿下と距離が近すぎるのでは無くて?婚約者のスカーレット様がいらっしゃるのよ。」
「?!」
「レオン様にもバイオレット様がマーク様にはオランジュ様がいらっしゃるのよ」
「?!」
「え?私、そんなつもりじゃ無くて……」
「いくら、聖女だからって、身の程はわきまえたほうがよろしくってよ。」
「………」
あまりの剣幕に、言い返す暇も無く、立ちすくんでいるうちに令嬢達は立去った。
「ああ、怖かった……でも、これって皇太子ルートじゃないの?」
自分で言って、ハッとした。え?皇太子ルートって?え?私ってヒロインなの?このお話、知ってる!私、スチュアート推しだから、絶対皇太子ルートクリア目指さなくちゃ。
これ以降、メイリンは物語の筋がき通りに動き始める。ヒロインはメイリン、悪役令嬢はスカーレットである。
スカーレットに嫉妬させ、自分を虐めさせる。そして、婚約破棄まで持っていくのだ。メイリンは早速行動を開始した。
食堂や廊下でスカーレットに足をかけられたふりをして転び、
「酷い!スカーレット様、私が殿下と仲がいいからって!」
と、嘘泣きを繰り返す。
教科書や、ノートが、なくなったり、破られたり、ゴミ箱で見つかる。
「スカーレット様が………」
涙目で周囲の令息や皇太子達に訴える。
皇太子達といる時も
「スカーレット様が睨んできます。怖い……」
と涙目でスチュアートの腕にすがる。ついでに胸も押しつける。
「スカーレットは睨んでないと思うが…」
「私にはわかります。私にだけ睨むんです……」
しくしくと泣くメイリン。
貴族の令嬢が、人前で声を出して泣くなどめったにあることではない。メイリンの行為は人目をひいた。令嬢達には呆れた目で、令息達には庇護欲と同情を込めた目で見られた。
元々、スカーレットは内気で、大人しい少女であったが、スチュアートとの婚約が決まってから、彼の隣に立つべく努力を重ねた。皇太子妃の地位を狙う令嬢や、その親たちからも度重なる嫌がらせや、時には暗殺まがいのことまでもされている。1つ乗り越えるたびに、彼女は泣きながら、心身共に強くなった。彼女は侮られない為に『氷姫』となったのだ。
嫌がらせや、暗殺まがいの事件は、心優しいスチュアートには伝えていない。彼が気に病むだろうと、彼女のたっての希望であった。
スカーレットの見た目のせいなのか、余りに繰り返されるメイリンの嘘泣きのせいなのか、噂が少しずつ本当のことのように広まりはじめる。
スカーレットはスチュアート達がメイリンの世話をすることも聞いていたし、当初は何も気にしていなかった。くだらない噂を信じる方がおかしいと思っていた。
ところが神出鬼没のメイリンが、あちこちで絡んできて、1人で泣いて、スカーレットを責めてくる。たいてい、オランジュ伯爵令嬢とバイオレット公爵令嬢も共に居ることが多かったが2人も、スカーレットも、呆れて言葉にもならず、相手にもせずにいた。
ある日、あまりにしつこいので、レオンの婚約者バイオレットが、
「あなた、いい加減になさいませ。男爵令嬢の分際で、スカーレット様に何をやってらっしゃるの?」
と、言うと、
「酷い、バイオレット様、私が元平民だからって!あなたは私がレオン様とも仲がいいからって怒ってるんだわ。スカーレット様とおんなじ…」
泣き叫ぶメイリン。大騒ぎになった。すかさず、近くにいた子爵令息が駆け寄り、メイリンを抱き寄せ、こちらを睨みながら連れて行った。貴族の令嬢が泣き叫ぶなんてありえない事なのに、令息達は 何とも思わないらしい。
そのままメイリンは泣きながら、皇太子達3人のところに行き、いじめられたと訴えるのである。スチュアートに抱きつかんばかりの姿に周囲の令嬢達は眉をひそめる。
その姿を呆れた様子で見る婚約者の令嬢達3人。誰もが自分達の婚約者は、あの愚かな娘を窘めるだろうと信じていた。
その後で、スカーレットは皇太子に、バイオレットはレオンに呼び出され、冒頭の事態となったのである。
「メイリン嬢、あなた、殿下と距離が近すぎるのでは無くて?婚約者のスカーレット様がいらっしゃるのよ。」
「?!」
「レオン様にもバイオレット様がマーク様にはオランジュ様がいらっしゃるのよ」
「?!」
「え?私、そんなつもりじゃ無くて……」
「いくら、聖女だからって、身の程はわきまえたほうがよろしくってよ。」
「………」
あまりの剣幕に、言い返す暇も無く、立ちすくんでいるうちに令嬢達は立去った。
「ああ、怖かった……でも、これって皇太子ルートじゃないの?」
自分で言って、ハッとした。え?皇太子ルートって?え?私ってヒロインなの?このお話、知ってる!私、スチュアート推しだから、絶対皇太子ルートクリア目指さなくちゃ。
これ以降、メイリンは物語の筋がき通りに動き始める。ヒロインはメイリン、悪役令嬢はスカーレットである。
スカーレットに嫉妬させ、自分を虐めさせる。そして、婚約破棄まで持っていくのだ。メイリンは早速行動を開始した。
食堂や廊下でスカーレットに足をかけられたふりをして転び、
「酷い!スカーレット様、私が殿下と仲がいいからって!」
と、嘘泣きを繰り返す。
教科書や、ノートが、なくなったり、破られたり、ゴミ箱で見つかる。
「スカーレット様が………」
涙目で周囲の令息や皇太子達に訴える。
皇太子達といる時も
「スカーレット様が睨んできます。怖い……」
と涙目でスチュアートの腕にすがる。ついでに胸も押しつける。
「スカーレットは睨んでないと思うが…」
「私にはわかります。私にだけ睨むんです……」
しくしくと泣くメイリン。
貴族の令嬢が、人前で声を出して泣くなどめったにあることではない。メイリンの行為は人目をひいた。令嬢達には呆れた目で、令息達には庇護欲と同情を込めた目で見られた。
元々、スカーレットは内気で、大人しい少女であったが、スチュアートとの婚約が決まってから、彼の隣に立つべく努力を重ねた。皇太子妃の地位を狙う令嬢や、その親たちからも度重なる嫌がらせや、時には暗殺まがいのことまでもされている。1つ乗り越えるたびに、彼女は泣きながら、心身共に強くなった。彼女は侮られない為に『氷姫』となったのだ。
嫌がらせや、暗殺まがいの事件は、心優しいスチュアートには伝えていない。彼が気に病むだろうと、彼女のたっての希望であった。
スカーレットの見た目のせいなのか、余りに繰り返されるメイリンの嘘泣きのせいなのか、噂が少しずつ本当のことのように広まりはじめる。
スカーレットはスチュアート達がメイリンの世話をすることも聞いていたし、当初は何も気にしていなかった。くだらない噂を信じる方がおかしいと思っていた。
ところが神出鬼没のメイリンが、あちこちで絡んできて、1人で泣いて、スカーレットを責めてくる。たいてい、オランジュ伯爵令嬢とバイオレット公爵令嬢も共に居ることが多かったが2人も、スカーレットも、呆れて言葉にもならず、相手にもせずにいた。
ある日、あまりにしつこいので、レオンの婚約者バイオレットが、
「あなた、いい加減になさいませ。男爵令嬢の分際で、スカーレット様に何をやってらっしゃるの?」
と、言うと、
「酷い、バイオレット様、私が元平民だからって!あなたは私がレオン様とも仲がいいからって怒ってるんだわ。スカーレット様とおんなじ…」
泣き叫ぶメイリン。大騒ぎになった。すかさず、近くにいた子爵令息が駆け寄り、メイリンを抱き寄せ、こちらを睨みながら連れて行った。貴族の令嬢が泣き叫ぶなんてありえない事なのに、令息達は 何とも思わないらしい。
そのままメイリンは泣きながら、皇太子達3人のところに行き、いじめられたと訴えるのである。スチュアートに抱きつかんばかりの姿に周囲の令嬢達は眉をひそめる。
その姿を呆れた様子で見る婚約者の令嬢達3人。誰もが自分達の婚約者は、あの愚かな娘を窘めるだろうと信じていた。
その後で、スカーレットは皇太子に、バイオレットはレオンに呼び出され、冒頭の事態となったのである。
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