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4.聖女の御技の効果
走り去るスカーレットに皆が声を掛ける。中にはあまりの不憫さに涙を滲ませている令嬢もいる。
「スカーレット嬢!」
彼女の姿はあっという間に教室から消えた。
このクソ婚約者は追いかけもしないのか。弁解の余地無しだな…無言の圧を孕んだ周囲の目が一斉に2人に向う…
「離してくれ!」
厳しい声で言うスチュアート…
「え?殿下?」
今までにない冷たい声に戸惑うメイリン。
1人の令息が憤って言う。
「殿下、不敬を承知で申し上げますが、婚約者を前にその態度は無いと思います。」
「ひどいですわ……あんまりです、殿下」
涙ぐむ令嬢達。
スチュアートはメイリンを振り払い、急いでスカーレットを追ったが追い付くことは出来なかった。
メイリンは焦った。
やばい、やばい、一体どういうこと。あのイメチェンも。殿下も怖いし…
なんとかしなくちゃ。
メイリンと距離を取りたいスチュアートだが、国王から護衛も頼まれている為に離れるわけには行かない。食堂にも側近2人とメイリンの4人で向かう。
レオンは昨日バイオレットに相当に叱られたらしく、1人距離を取ろうとしている。
その時、前方からスカーレット、バイオレット、オランジュの3人が歩いて来るのが見えた。
なにげなく、でも素早くメイリンはスカーレットに向かって足を速める。
スカーレットは自分に向かってくるメイリンを見て、不思議な感覚に囚われた。
夏の暑い日、土ぼこりの中、白と黒の模様のボールを蹴りながら走っていると、向こうからすごい勢いで、そのボールを取ろうとしてくる者がいる。絶対に取られてはいけない。かわす!
ボディフェイント。身体を右に行くふりをしながら、ぱっと左に動く。よし!かわせた…
するとちょっと離れたところにメイリンが転がっていた。
「スカーレット様、ひどいですぅ」
「いや、スカーレットには触れていないが…」
「え?でも、私に足をかけましたよね…」
「いや、そんなことはなかった。むしろぶつかりそうだったのだが、うまく避けたものだ…」
「メイリン様、大丈夫ですか?よく転ばれるのでご注意なさったほうがよろしくてよ。」
「…………………」
男女7人が集まっているところで転んだメイリン。これは人目をひいた。メイリンの自作自演が完全に暴露された。
メイリンは焦る。こんなはずじゃない。こんどはメイリンのペンケースが無くなった。
「スカーレット様、酷いです…」
また嘘泣きである。
もう、負けない。聖女様の御技があるから。
「メイリン様、いつもいつも、私に……何か証拠はございますの?殿下とあなたが仲良くなさるのは私、もうなんとも思っておりませんのよ…私があなたのペンケースを隠す理由もありませんのに……」
スカーレットも泣く。そして涙目で近くの令息を見上げる。
「どう思われます?」
「し、証拠がないのにスカーレット嬢のせいにするのはおかしいと俺も思う。」
頬を少し赤らめながらもじもじと言う令息。この令息は、奇しくも、以前メイリンを抱きかかえる様にして、スカーレット達に睨みをきかせた子爵令息である。
可愛く泣けば、こちらにつくのね。チョロいわ……え?チョロいって?スカーレットは思わず小首をかしげる。
「私もそう思いますわ。」
近くにいた令嬢達も味方してくれる。
黙りこむメイリン。周囲も徐々にメイリンの異常さに気づき始める。噂も全てメイリンが広めたのではないか…と。
「スカーレット嬢!」
彼女の姿はあっという間に教室から消えた。
このクソ婚約者は追いかけもしないのか。弁解の余地無しだな…無言の圧を孕んだ周囲の目が一斉に2人に向う…
「離してくれ!」
厳しい声で言うスチュアート…
「え?殿下?」
今までにない冷たい声に戸惑うメイリン。
1人の令息が憤って言う。
「殿下、不敬を承知で申し上げますが、婚約者を前にその態度は無いと思います。」
「ひどいですわ……あんまりです、殿下」
涙ぐむ令嬢達。
スチュアートはメイリンを振り払い、急いでスカーレットを追ったが追い付くことは出来なかった。
メイリンは焦った。
やばい、やばい、一体どういうこと。あのイメチェンも。殿下も怖いし…
なんとかしなくちゃ。
メイリンと距離を取りたいスチュアートだが、国王から護衛も頼まれている為に離れるわけには行かない。食堂にも側近2人とメイリンの4人で向かう。
レオンは昨日バイオレットに相当に叱られたらしく、1人距離を取ろうとしている。
その時、前方からスカーレット、バイオレット、オランジュの3人が歩いて来るのが見えた。
なにげなく、でも素早くメイリンはスカーレットに向かって足を速める。
スカーレットは自分に向かってくるメイリンを見て、不思議な感覚に囚われた。
夏の暑い日、土ぼこりの中、白と黒の模様のボールを蹴りながら走っていると、向こうからすごい勢いで、そのボールを取ろうとしてくる者がいる。絶対に取られてはいけない。かわす!
ボディフェイント。身体を右に行くふりをしながら、ぱっと左に動く。よし!かわせた…
するとちょっと離れたところにメイリンが転がっていた。
「スカーレット様、ひどいですぅ」
「いや、スカーレットには触れていないが…」
「え?でも、私に足をかけましたよね…」
「いや、そんなことはなかった。むしろぶつかりそうだったのだが、うまく避けたものだ…」
「メイリン様、大丈夫ですか?よく転ばれるのでご注意なさったほうがよろしくてよ。」
「…………………」
男女7人が集まっているところで転んだメイリン。これは人目をひいた。メイリンの自作自演が完全に暴露された。
メイリンは焦る。こんなはずじゃない。こんどはメイリンのペンケースが無くなった。
「スカーレット様、酷いです…」
また嘘泣きである。
もう、負けない。聖女様の御技があるから。
「メイリン様、いつもいつも、私に……何か証拠はございますの?殿下とあなたが仲良くなさるのは私、もうなんとも思っておりませんのよ…私があなたのペンケースを隠す理由もありませんのに……」
スカーレットも泣く。そして涙目で近くの令息を見上げる。
「どう思われます?」
「し、証拠がないのにスカーレット嬢のせいにするのはおかしいと俺も思う。」
頬を少し赤らめながらもじもじと言う令息。この令息は、奇しくも、以前メイリンを抱きかかえる様にして、スカーレット達に睨みをきかせた子爵令息である。
可愛く泣けば、こちらにつくのね。チョロいわ……え?チョロいって?スカーレットは思わず小首をかしげる。
「私もそう思いますわ。」
近くにいた令嬢達も味方してくれる。
黙りこむメイリン。周囲も徐々にメイリンの異常さに気づき始める。噂も全てメイリンが広めたのではないか…と。
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