聖女の御技を使いましょう

turarin

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6.卒業パーティー

 パーティーの日がやって来た。スチュアートも側近2人も、エスコートは断られた。と言うか、返事も無かった。
 月の煌々と明るい夜であったが、3人の心は真っ暗だ。だが、誰一人として諦めてはいない。

 下位の貴族からの入場になるので、皇族は1番最後である。スチュアートは仕方なくエスコートすることになったメイリンのドレスを見て驚く。まるっきりスチュアートの色を纏っていた。エスコートすることが最初から決まっていたかのように。
「そのドレスはどうしたのだ?」
「お義父様が準備してくださいました。」

 男爵の企みが手に取るようにわかった。今さらどうすることもできない。こういう貴族や、令嬢達とスカーレットはずっと戦ってきたのだな。


 腕を組んだスチュアートとメイリン、その後ろに側近2人が続いた。スチュアートの色を纏ったメイリンに、会場はどよめいた。あからさまであった。

 スチュアートは冷や汗をかきながら、黙ってスカーレットを探した。彼女もまた、黒と赤を纏ったドレスを着ていた。ほっとした。
 が、彼女の隣には護衛騎士のリアンが、彼女の色を纏って付き添っている。
 どういうことだ?!

 国王と王妃の入場となる。女性はカーテシーを男性は頭をさげてむかえる。
「頭を上げよ。今日はめでたい卒業の日である。心ゆくまで楽しむが良い。」
 音楽が流れ、パーティーの始まりをを告げた。

 スチュアートは急いでスカーレットの前に向かった。メイリンを振りほどけず、一緒についてくるが、それどころでは無い。

「スカーレット、」
 言いかけると、突然スカーレットがよく通る大きな声で言った。
「分かりました。婚約破棄、しかとうけたまわりました。聖女候補様を大切になさってください。」

 そして、顔を覆って泣いた。リアンがそっと抱きしめ、背中をさすった。その後彼女を抱きかかえるようにして言った。
「スカーレット嬢は体調を崩されたようです。お前、失礼致します。」
 よろよろと、やっとのことで歩くスカーレットを、リアンはしっかりと支え、退出した。


 周囲の貴族達は息を呑んだ。こんなところで婚約破棄を告げるのか、なんと残酷な……
 真っ青になるスチュアートと、喜色満面のメイリンである。
「ま、待て、わ、私はそんなことは言っていない!」
「スチュアート様、メイリン嬉しいです。」
 腕を絡め、ついでに、いつものように胸まで押しつける。

  
「国王陛下」
 レジェンド公爵の大きな声が響く。 ホールが一瞬で静寂に包まれる。

「今までの、わが娘と、わが公爵家の長年に渡る王家への献身の見返りがこれですか?到底受け入れることはできません。」

「待て、婚約破棄はわしも初耳じゃ。どういうことだ、スチュアート。お前はその聖女候補を娶る気でおるのか?」

「私、スチュアート様をお慕いしています。」
「不敬であるぞ!」
 慌てて駆け付けた養父のフール男爵が言う。

「婚約破棄なぞ考えておりません!誤解です!」
 必死に叫ぶスチュアート。

「では、その姿は何でありましょう?」
 胸ごと押し付けるメイリンにピッタリくっついているスチュアートである。
「は、離せ!」
「嫌です。」
 いちゃついているようにしか見えない2人。

「これほどまでにわが娘が侮辱され、黙っていることはできません。わが公爵家は、このイディオット王国を離れ、隣国のスマート帝国へと参ります。先祖代々お世話になりました。もう陛下にお仕えすることは一生ございません。失礼致します。」
 踵を返し、立ち去る公爵と公爵夫人。


「待て!待て!公爵!」
 国王は立ち上がって叫ぶが、あっという間に姿を消す2人。

 貴族達は息を呑んだ。王国一の領土、財力、軍事力をほこる公爵家が、帝国へ行ってしまったら、この国はどうなるのだ?。自分達も帝国へと下ったほうが良いのでは?この事態を招いたフール男爵も真っ青である。

「スチュアート、おまえは廃嫡とする。」
 やっとのことで国王は口を開いた。後継等と言っている場合では無い。自分の代で国が滅んでしまうかもしれない。まさかこんなことになるとは……この後どうやって国を治めていくのか、考えも及ばない。


 メイリンのみ、何もわかっていない。
「スチュアート様、はいちゃくってなあに?」
「……………………」
























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