浮気者には天罰を

turarin

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前編

公爵家のリリアンは、いつもぼうっとしている。薄茶の巻き毛にバイオレットの瞳の、小柄な可愛らしい見た目であったが、なぜだか、いつもぼんやりと、うっとりとしたような表情を浮かべている。

優しい性格で、おっとりとして、学園の成績もいい彼女は、男女ともに人気があって、「ぼんやりさん」と、愛を込めて呼ばれていた。

そんな彼女が、婚約をした。周囲は、ぼんやりさん、大丈夫かなあと心配したが、それは杞憂であった。侯爵家嫡男のロバートは金髪碧眼で見目麗しく、頭脳明晰。文武両道の優しい男性であった。次期侯爵であるから当然と言えば当然である。

ぼんやりさんのリリアンも、まず、彼の見た目に惹かれ、知的なおしゃべりに惹かれ、そして細やかにエスコートしてくれる優しさに、すっかり心を奪われてしまった。
奇しくも、学園のクラスもSクラスで同級であった。なぜ今まで彼のことが目に入らなかったのかと不思議に思うリリアンであった。

それからは夢のように幸せな日々が続いた。学園でも、ほとんど行動を共にし、観劇や、パーティーなどもエスコートされて参加した。卒業したら、すぐ結婚式を挙げる予定で、少しずつ準備が始まっていた。

そんなある日、幼なじみの皇女エレナが
「リリアンは仮面舞踏会とか行ったことないでしょ?」
と、言ってきた。
「え?だって、それ、お相手がいない方が参加するものではなくて?」
「そうと決まったはものではなくてよ。人間観察よ。仮面をつけると普段は見られない人の姿がみられるのよ。ちょっと驚くわ。」
「怖くないの?」
「ええ、大丈夫よ。護衛騎士か、お兄様にエスコートしてもらって何度か参加したわ。私も、あなたも、卒業したら、すぐ結婚でしょ?今しかできない人生経験よ。」
 
「ええ?!皇太子様も参加されたことがあるのね。」
「そうよ。思いがけない方もいらっしゃる時があるわ。来週の舞踏会、一緒に行きましょうよ。」
ちょっと破天荒な皇女エレナに誘われて断り切れず参加することになった。
ロバートには、以前から、その日は予定があると言われていたので、兄にエスコートを頼んだ。

初めての仮面舞踏会に、家族は反対したが、妹を溺愛する兄のトーマスがエスコートするというので何とか落ち着いた。だいたい皇女の誘いなど断われるはずがない。

ドキドキしながら会場に着く。確かに仮面をつけるだけで妙な解放感がある。エレナが手を振る。今日は皇太子マークのエスコートである。マーク、エレナ、トーマス、リリアンの4人は幼なじみ。知った顔に会いホッとするリリアン。

会場は少し薄暗く、あちこちで男女が愛を囁き始めていた。これも人間観察ね、ときょろきょろするリリアン。
感想 2

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