「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

文字の大きさ
84 / 234
神界編 第4章 二人の天使~エルフィンとルカ

第11話 美しい星空の下、ふたりは秘密を打ち明た。

しおりを挟む
 星空を見上げながら、エルフィンはハンネスに言った。
「そんなに多くはないけれど、シャンバラの最後の大神官ユダさまとは、何回か、会ったことがある」

 満開に広がる星空は、いつになく美しかった。
「ちょうど祖父が亡くなり、王位を継いだ父上が今の統治神<シ>との戦いに敗れ、敗走したころだ。母上は私と弟を連れて、なぜだか将軍家を出たんだ。その時、母を助けてくれたのがシャンバラの大神官ユダさまだった」

「父上と母上はあまり仲が良くなかった。と言いうより、母上が父上を嫌っていた。
 そのせいで父上は、僕を嫌っているのだと思っていたけれど、たぶん父上は、本能的に感じていたんだろうな。僕が父上の子供でないことを・・・。
 父上は僕にはつらくあたったけれど、弟のルカには優しかったから・・・」

 ハンネスはエルフィンの複雑な胸中を思い、何も言えなかった。

「僕を拉致したものたちは、僕が将軍家の血を引く最後の正当な後継者だと思っていたようだ。だから僕を探し、捕まえて拉致した。でも本当は、弟ルカこそが、彼らが捜していた後継者だったのにね。少女のなりをしていたルカを彼らは見向きもしなかった」

 慰めようにも、慰める言葉が無かった。
 エルフィンの父親はたぶんユダさまで、ユダさまはたぶんそれを知らなかった可能性が高かった。

「母上がユダさまを見つめるまなざしは悲しげではあったけれど、幸せそうでもあったから、子供心に、母上はこの人を本当に好きなんだ、と感じていた」

 エルフィンはハンネスに、今まで隠していた心の内をすべて明かした。

「ユダさまは僕にもとても優しかったけれど、僕がユダさまの子供だとは、思っていないような感じだった」

「ユダさまは、たぶん知らなったと思う」

 ハンネスはエルフィンに思ったとおりを伝えた。
 そしてハンネスもエルフィンにある秘密を打ち明けた。

「実は、私もお前に話していなかったことがある。
 私の両親のことだ。私の本当の両親は私が生れてすぐに死んでいたのだ」

 エルフィンはハンネスの告白に驚いた。

「父親はシャンバラの武官だったから、身寄りのない私を哀れんだジャド師が、私を引取り育てたのだ」

 ふたりはそれ以上、お互いに何も言わなかったが、言わずともその心は手に取るように良くわかった。
 ふたりは寝転がったまま、互いの手をいつしか握っていた。
 握った手から、相手の思いが、黙っていても伝わってくるかのようだった。
 ふたりは魂が共鳴するのを感じていた。 


「もう少し休んだら、行くぞ、エルフィン。
 早く境界に、たどりつかなければならない」
 ハンネスはそう言うと、起き上がり、エルフィンを見た。

 本当は病み上がりのエルフィンを、もっと休ませてあげたいのだが、状況を考えるとそうも行かない。そろそろ総統が、エルフィンががいないことに気づくころだった。

「もうすでに追手が放たれたかもしれない。急ごう・・・」

 地球へ続く、ワープの入り口までは、まだかなりの距離があった。エルフィンは大きな傷を負い、回復したばかりだった。体の傷は消えていたが、病み上がりに変わりはなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

処理中です...