「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

文字の大きさ
223 / 234
ソラリス&地球編 第2章 鷹は舞い降りた

第9話 エロスの化身と化したシヴァ

しおりを挟む
 そこは誰でも入れる場所ではなかった。
 しかしグランドマスターであるクベーラは、そこへ入る権利を持っていた。
 そしてクベーラは、変わり果てた愛するシヴァの姿を見た。

 中にはひとり先客がいて、シヴァの側らで、呆けたように薄気味悪い笑みを浮かべて変わり果てたシヴァをじっと見つめていた。
 やがて男はクベーラに気づき、嬉しそうにクックと笑いながら近づいてきた。

「美しいだろう? 生と死の舞を踊るシヴァも美しかったが、このエロスの化身と化したシヴァは、もっと美しい・・・」

 男は美しく憐れなシヴァを、楽しむかのように見入っていた。
 そして恥ずかしげも無く、
「この宇宙一の美術品を見て、君は何も感じないのか?」
と、驚いたかのように言った。

 そして男は笑いながらクベーラにこうも言った。
「そうだな、お前はシヴァと交わったことがないからな。
 罪人になったシヴァは、それは最高のごちそうだった。
 異世界への生け贄として差し出さなければならなくて、とても残念だったよ。

 でも異世界からの使いも、シヴァをとても気に入ってくれてね、毎日のように、シヴァを愛でにくる。
 死んでるように見えるが、あれで死んではいないのだ。
 その魂が異次元にあるから、死んでいるように見えるがね。

 シヴァはこの世とあの世を結ぶものであり、そして結界でもある。
 ほら、始まった。異世界からの侵入者をその体に受け止め、異世界のものがこちらの世界へ侵入しないように、押し返している」
と男は狂人のような目をして、小刻みに震え始めたシヴァの体を見つめながら言った。

 目には見えないのだが、だれかがそこにいて、シヴァを蹂躙していた。
 そして見えない異世界のものと交わるたびに、シヴァの体は不思議な色と波動に包まれ、この世をこえたエロスの化身へと変わって行くようだった。

 エロスの化身と化したシヴァは少し動くだけでも悩ましく美しかった。しかしそれは無理矢理、エロスの舞をおどらされているのと同じだった。 

 クベーラはそのシヴァの姿を見て、心が張り裂けそうだった。
 そして何度も助けけようとしたのだが、そのたびに何かにはじき飛ばされ、近寄ることさえ出来ないのだった。
 クベーラは泣きながら、愛するシヴァの不幸を見ていることしか出来なかった。
 
 そのようなクベーラを見ていて、ルドラ将軍は、幼い子供を叱るように言った。
「くやしいだろう。だったらその悔しさを忘れるな。お前の幼さが、お前の未熟さが、結局は、シヴァをあのような不幸に追い込んだのだ。
 お前はシヴァのためにも、この不幸な世界を変える新しきリーダー、そしてもっと強いリーダーにならなければ駄目だ」

 クベーラは、悲しみと悔し涙の中で、必ずシヴァをその不幸から解放すると、堅く心のなかで誓っていた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

処理中です...