66 / 99
3、
奮励②
しおりを挟む
「悟?!」
「どうしたの?!」
僕が席に駆け寄ると、悟はニカッと歯茎が見えるほど口角を上げた。
「俺、秋大の父ちゃんぶん殴ってやったよ!!」
「「はぁ?!」」
「……自慢出来る出来事では無さそうですが?」
「まぁ聞けよ、優等生。」
「その呼び方やめていただけますか?」
僕達は周りの子に椅子を借りて、悟と秋大の机に寄り付いた。
「で?ぶん殴ったやつがなんでフルボッコ喰らってんだよ。」
「聞きたいか俺の武勇伝!」
「は?」
「そこはノリで返せって。」
「あ?ベストテンもねぇだろ。」
「っす。」
悠一に視線だけで押されて悟は昨日の出来事を話し始めた。内容としてはこうだ。
僕達が言い争った日、帰り道が同じだった悟と秋大。
悟は僕達の言い争いをとどめる方法として、クッキーに詳しい人、イコール洋菓子作れる人、イコールパティシエをしている秋大の父に直談判に行くと決めて、秋大にアポを取った。
次の日、悟が顔を出すと仁王立ちで待ち構えていた秋大の父、秋大は奥でペコペコと頭を下げているだけだったらしい。
そして状況を話す前に断固拒否を喰らい……。
「うっかり先に手を挙げてしまったと……。」
「ちょっと待てコラ!大事なところ端折るんじゃぁねぇ!!」
「何か?こうして事情聴取してるじゃないですか。」
透はそう言って悟の顔の上から小さな懐中電灯を照らした。
「これも!人を悪人扱いすんな!」
「はいはい、『アレルゲンフリーなんていらない、だから秋大の食い物にも卵を塗りつけてやったんだ。』と言われたんですね。分かってますよちゃんと。」
「だろ?!俺悪くねぇっての!」
「いや……でも手を上げるのはちょっと……。」
僕がつぶやくと悟の視線がギロッと向いた。
慌てて目を逸らすと、悟が鼻息を吐いた。
しかし、その中で悠一が軽く舌打ちをして声を上げた。
「いーや!それはお前が悪い。」
「はぁあ?!」
「だってこうしてお前食らってんじゃねぇか!しかもKO?!そこは負けずに食らいつけよ。」
気にする所そこなの?!
「無茶言うなよ、あの腕の太さやばかったんだかんな?」
「そんな可愛く言ったって許さないんだかんな!!」
悟の言葉に、秋大はいつもの調子が戻ってきたのか、拳を頬につけた。
え……この流れ嫌な予感……僕は参加しない!
「〇〇 ✕~んな。」
「……え?!」
すると聞こえるはずがないと思っていた方向からボソッと声が聞こえた。
みんなもそれを聞き逃さなかったのか、一点に視線を集中した。
「……透……そういう系か。」
「ッいけませんか?!いいじゃないですか可愛らしいんですから!!」
透が顔を真っ赤にしたところで、時間切れのチャイムがなった。
「どうしたの?!」
僕が席に駆け寄ると、悟はニカッと歯茎が見えるほど口角を上げた。
「俺、秋大の父ちゃんぶん殴ってやったよ!!」
「「はぁ?!」」
「……自慢出来る出来事では無さそうですが?」
「まぁ聞けよ、優等生。」
「その呼び方やめていただけますか?」
僕達は周りの子に椅子を借りて、悟と秋大の机に寄り付いた。
「で?ぶん殴ったやつがなんでフルボッコ喰らってんだよ。」
「聞きたいか俺の武勇伝!」
「は?」
「そこはノリで返せって。」
「あ?ベストテンもねぇだろ。」
「っす。」
悠一に視線だけで押されて悟は昨日の出来事を話し始めた。内容としてはこうだ。
僕達が言い争った日、帰り道が同じだった悟と秋大。
悟は僕達の言い争いをとどめる方法として、クッキーに詳しい人、イコール洋菓子作れる人、イコールパティシエをしている秋大の父に直談判に行くと決めて、秋大にアポを取った。
次の日、悟が顔を出すと仁王立ちで待ち構えていた秋大の父、秋大は奥でペコペコと頭を下げているだけだったらしい。
そして状況を話す前に断固拒否を喰らい……。
「うっかり先に手を挙げてしまったと……。」
「ちょっと待てコラ!大事なところ端折るんじゃぁねぇ!!」
「何か?こうして事情聴取してるじゃないですか。」
透はそう言って悟の顔の上から小さな懐中電灯を照らした。
「これも!人を悪人扱いすんな!」
「はいはい、『アレルゲンフリーなんていらない、だから秋大の食い物にも卵を塗りつけてやったんだ。』と言われたんですね。分かってますよちゃんと。」
「だろ?!俺悪くねぇっての!」
「いや……でも手を上げるのはちょっと……。」
僕がつぶやくと悟の視線がギロッと向いた。
慌てて目を逸らすと、悟が鼻息を吐いた。
しかし、その中で悠一が軽く舌打ちをして声を上げた。
「いーや!それはお前が悪い。」
「はぁあ?!」
「だってこうしてお前食らってんじゃねぇか!しかもKO?!そこは負けずに食らいつけよ。」
気にする所そこなの?!
「無茶言うなよ、あの腕の太さやばかったんだかんな?」
「そんな可愛く言ったって許さないんだかんな!!」
悟の言葉に、秋大はいつもの調子が戻ってきたのか、拳を頬につけた。
え……この流れ嫌な予感……僕は参加しない!
「〇〇 ✕~んな。」
「……え?!」
すると聞こえるはずがないと思っていた方向からボソッと声が聞こえた。
みんなもそれを聞き逃さなかったのか、一点に視線を集中した。
「……透……そういう系か。」
「ッいけませんか?!いいじゃないですか可愛らしいんですから!!」
透が顔を真っ赤にしたところで、時間切れのチャイムがなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる