音の無い世界

いとま

文字の大きさ
上 下
1 / 1

本文

しおりを挟む

「声をなくしたら僕じゃなくなる」

大好きなバンドの大好きな唄の歌詞。
今の僕は声は出せるけど
その吐き出した音で
自分が壊れてしまいそうで
躊躇ってしまう。

音を出せないときに気付く。
こんなに不安になって
こんなに辛いもんなんだって
出せる音はあるのに
出したくない。出口がない迷路みたいに
終わりがなく感じる。
それがこんなに悲しいなんて。

思いもしなかった。

音の無い世界
気付いたら自分だけの世界。
音の無い世界
気付いたらひとりぼっちの世界。

孤独を感じた時に不安という闇に飲まれる。
誰にも頼っていけないと思った時に
孤独を感じる。
目で見て、耳で聞いて、手で触って
心で触れる。そんな当たり前にしてきた大好きなことを全て閉じ込めてしまった。

近いうちにはこの状態が戻っていて
この時に思ったことなんて、笑って誤魔化すんだろう。今までそうしてきたから。
その時には自分を褒めて欲しい。
よく頑張ったね。
恐怖に打ち勝ってくれてありがとうって。

胸にそっと手を添えて
生きてることを実感する。

何気ない日だけど
今日も生きていけた素晴らしい日。

何気ない日だけど
自分を大切にできた素晴らしい日。

それはきっといい日だよ。

怖くて出来なかった音を出すことも
段々できて、気が付けば
色んな音を惹き付けてくる。

君はそういう素敵な音を持ってるんだよ。
君の周りに集まる様々な音は
素敵な音の人達ばっかりで
集まって、合わさって、大きな力になる。
だから大丈夫。

時には後ろを振り返ることも大事。
自分が乗り越えてきた記憶であり
歴史を確かめるために。

自分の音を出せた時は
みんなに「ごめんね」
じゃなくて
「ありがとう」
って伝えてあげてね。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...