18 / 25
18日目
訃報
しおりを挟む体と恨みを引きづって向かうべき場所へと進む。なんと言われようと、やるべき事を
義務のように血管を駆け回る。
今日は風が強かった、桶屋が儲かるのは
こういう日だろう。しかし風が吹かずとも
人は死んだ。先日会ったばかりの仲間の国の
兵器や兵士達に殺された。何故だ、何故我が国なのか。真珠湾の攻撃をした時に勇姿を見せたはず。神風に消えた英雄たちもいたのに
どうしてこうなる。犬死なのは分かる、天皇には従わない俺だが、無念に死んで行った日本人のことには誇りに思う。
そんなことを空を見上げ思いふけていると
米国の車が砂埃をあげてこちらへ向かってきた。酷く慌てた様子で白黒の写真を見せてきた。そこには先日会ったばかりの青い目の友人が映っていた。相変わらず米国の言葉で
身振り手振りで何かを伝えてきた。
あぁ、そうか。彼は死んだのか。
コメカミに指を、まるで鉄砲のように
形作って弾いた。つまり、誰かに撃たれて死んだと。そう感じ取った。
そしてその仲間の仲間が
「Thank you.」と次々に話し
握手をされた。感謝されたようだ。
何もしていないのに。何故、何故。
いい人ばかりが死にゆく。唇を噛み締めた。
これは死神と呼ばれる日までの記録。
死を慈しむカミサマのお話。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる