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背徳の洗礼 二
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「ふむ。おまえはたしか、ウラジミール……だったかな?」
「そうだ、ウラジミール=ガヤだ! すぐに大使館に連絡しろ!」
彼の言うとおり、母国ではめぐまれた家庭に生まれ育ったのだろう。白いシャツから伸びる首は少年らしくほっそりとしている。だが目元はきつそうで、いかにも気位がたかそうだ。
富裕層の子弟らしく、すべて自分の思いどおりになるものだと信じて疑ってこなかったのだろう。今までは。
「こんなことをして、ただですむと思うなよ……、ああっ!」
黒い光が空を切っていた。
ハサピスが鞭をふるったのだ。命令したのはソロモンだ。
「い、痛い!」
ウラジミールは打たれた右腕をシャツの上を、もう片方の手でおさえ、信じられないものを見たようにソロモンと警備兵を見た。
「いいか、ここではおまえたちの祖国での家名や家柄なんぞ、なんの意味もない。おまえたちはここでは皆ただの奴隷なのじゃ。忘れるでないぞ、おまえたちはこの島では……、この館のなかでは、家畜とおなじなのだ」
アレクサンダーは怒りに胸が焦げそうだった。ウラジミールのためではなく、自身の名誉のためにだ。だが唇を噛みしめて、堪えた。
ウラジミールは悔しさに涙ぐんでいるが、打たれたのが相当衝撃だったようで、それ以上はなにも言えず、青い目を潤ませて震えている。
そんなウラジミールを見るソロモンの目は濁った愉楽に光っている。
「よし。決めた。今日は、お前にしよう」
そう言うソロモンの口は笑っているが、目は笑っていない。アレクサンダーは、このソロモンという男が不気味な魔術師のように思えてきた。
「マヌエル、こやつを連れていけ」
いつから広間にいたのか、ソロモンに呼ばれて進みでてきたのは、若い男だった。
「はい。ソロモン様」
すらりとした身体に藍色の長衣をまとっており、胸元には花形の留金が金色に光っている。館のなかでは上位の召使になるのだろう。
「そうだ、ウラジミール=ガヤだ! すぐに大使館に連絡しろ!」
彼の言うとおり、母国ではめぐまれた家庭に生まれ育ったのだろう。白いシャツから伸びる首は少年らしくほっそりとしている。だが目元はきつそうで、いかにも気位がたかそうだ。
富裕層の子弟らしく、すべて自分の思いどおりになるものだと信じて疑ってこなかったのだろう。今までは。
「こんなことをして、ただですむと思うなよ……、ああっ!」
黒い光が空を切っていた。
ハサピスが鞭をふるったのだ。命令したのはソロモンだ。
「い、痛い!」
ウラジミールは打たれた右腕をシャツの上を、もう片方の手でおさえ、信じられないものを見たようにソロモンと警備兵を見た。
「いいか、ここではおまえたちの祖国での家名や家柄なんぞ、なんの意味もない。おまえたちはここでは皆ただの奴隷なのじゃ。忘れるでないぞ、おまえたちはこの島では……、この館のなかでは、家畜とおなじなのだ」
アレクサンダーは怒りに胸が焦げそうだった。ウラジミールのためではなく、自身の名誉のためにだ。だが唇を噛みしめて、堪えた。
ウラジミールは悔しさに涙ぐんでいるが、打たれたのが相当衝撃だったようで、それ以上はなにも言えず、青い目を潤ませて震えている。
そんなウラジミールを見るソロモンの目は濁った愉楽に光っている。
「よし。決めた。今日は、お前にしよう」
そう言うソロモンの口は笑っているが、目は笑っていない。アレクサンダーは、このソロモンという男が不気味な魔術師のように思えてきた。
「マヌエル、こやつを連れていけ」
いつから広間にいたのか、ソロモンに呼ばれて進みでてきたのは、若い男だった。
「はい。ソロモン様」
すらりとした身体に藍色の長衣をまとっており、胸元には花形の留金が金色に光っている。館のなかでは上位の召使になるのだろう。
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