紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

文字の大きさ
65 / 298

魔婦の訓育 四

しおりを挟む
「あっ……」
 痛みよりも、もどかしい刺激を感じてしまう自分に、アレクサンダーは悔しい。
「高貴な軍人様の写真となれば、さぞ高値で売れるであろうのう。おまえの同僚たちや社交界での知り合いなら、喜んで大枚はたいてくれであろう」
 ピロテスは、アレクサンダーの立場を知っているのだ。
 このひどい拉致や監禁は偶発的なものではなく、組織的に仕組まれていたものだということをアレクサンダーはあらためて実感した。
 彼らは、アレクサンダー=フォン=モールという人間を知りつくした上で、彼を誘拐し、異常な施術をすることで肉体を意図的に変成させ、この手酷い凌辱をあたえているのだ。ただ行き当たりばったりで、見栄えの良い裕福な青年を狙ったわけではないのだ。
「おまえが娼婦として客をとることになれば、男たちは競って大金を払うであろうのぅ。まぁ、そのまえに殿下が賞味なされるが。そして、殿下の前に出すまえに、まずは妾が味わってやろう。調教師の特権じゃのぅ」
「だ、誰に頼まれのだ……?」
 今のアレクサンダーにとって敵の首魁は殿下と呼ばれるレキウスだが、彼一人だけの企みとは思えない。遠い島に住む彼がなぜアレクサンダーに目をつけたのか。ヴルブナたちもからんでいるのか。あのときの状況を考えると、おそらくそうだろう。
「ほほほほほ。罪な男じゃな。おまえ、かなりの人間に恨まれているようじゃぞ」
 アレクサンダーは燃える肉体をもてあましながらも、かなりの人間というのが、誰なのか考えてみた。
「まぁ、それは良い。もはやおまえにはどうしようもないことじゃ。これからは、ここで妾の指導のもと、一日もはやく娼婦として成長することだけを考えれば良いのじゃ」
「写真を撮りますか?」
 背後から響くマヌエルの言葉に、アレクサンダーはぞっとした。
「そうじゃな。撮っておくか。あまりこの奴隷が我が儘を言うようでは、その写真を祖国の知り合いたちに送りつけてやろう」
「や、やめろ!」
 アレクサンダーはぞっとした。
「ほほほほ。嘘じゃ」
 だが、次につづいた言葉はけっしてアレクサンダーを安心させるものではなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...