紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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落花検分 三

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 やる気など毛頭ないが、アレクサンダーの知性と合理性が、ここでこれ以上この狂人を怒らせることは損なだけだと知らせてくる。
 アレクサンダーは必死に我慢して、纏っている衣の帯紐をほどき、屈辱をおさえて、潔く肩をあわらわにしたが、それもピロテスは気に入らないようだ。
「そうではない、そんなに早く脱いでは興醒めじゃ! おまえ、男として、そんな脱ぎ方をする女に欲望がつのるか? 初々しく、おずおずと脱ぐのじゃ」
 くだらん、と思いつつも、アレクサンダーは指示されたとおり再び衣をまとい、今度はゆっくりと脱ぐ。
 白々とした昼間の室に、アレクサンダーの白く引き締まった肌が、ゆっくりとあらわになる。
「ふむ。悪くない。そうじゃ、ゆっくり、ゆっくりと、少しずつ朝日がさしのぼるように、花びらが一枚ずつ落ちるようにな。待て、そのまますべて脱ぐでない。腰が見えるところで、身体をよじるのじゃ。恥じ入るように身体を隠そうとするのじゃ」
 アレクサンダーは腹のなかからあふれ出そうになる反感を必死に飲み込み、ピロテスの命じることをしようと努力したが、やはりうまくできない。
 アレクサンダー=フォン=モール少佐にできるわけがないのだ。男の欲を引き出すための脱ぎ方や仕草など。
「ええい! そうでない、と言っておるであろう! なぜわからぬのじゃ? おまえは国ではかなりの秀才だったのであろう? ほれ、そこで腰をひねるのじゃ!」
 そこで、どうしてもアレクサンダーの動きはぎこちなくなり、ともすれば止まってしまう。
「なぜそこで止めるのじゃ、聞いているのか?」
 ピロテスが満足するまで、何回となくやり直しを強制された。
 銃や剣の鍛錬よりはるかに難しく、習得できかねない稽古である。アレクサンダーは額にうっすらと汗を感じた。
 それでもようやくピロテスがどうにか納得できるところまで漕ぎつけた。
 心のうちで安堵のため息を吐いたのは一瞬だった。
 休む間もなくピロテスが次に与えた指示は、アレクサンダーにとって、棍棒で頭を殴られるほどの衝撃的なものだった。
「そこの長椅子に伏せて、尻を上げて見せるがよい」
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