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楽園の密猟者 八
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言ってからヴルブナは片頬をゆがめて笑った。
「高いのは口止め料も入っているせいだがな。くく。そんな顔するなよ。ほら、ヴェールをかぶっているといい」
言うや、面白そうに銀色のヴェールを頭からかぶせてくる。顔を隠すことでたしかにアレクサンダーは少し楽になった。
「うう……」
「歩くのが辛いか? もう少し辛抱しろよ。ほら、行くぞ」
ヴルブナとハサピスに挟まれるようにしてアレクサンダーは石床を歩いていった。無理やり履かされた女もの踵の高いヒールは歩きにくいが、それ以上にアレクサンダーを苦しめるのは別の理由だった。
「ああ、だけどこうして見れば見るほど、本当に美人だな。半分男だなんて信じられねぇ」
ハサピスの惚けたような声を、ヴルブナがさえぎる。
「しっ。聞こえるだろう。まぁ、聞こえたところで誰もなにも言わないだろうがな。それに……たしかに凄い美人だぜ、あんた。そのドレス、似合っているぜ。軍服も似合うが、ドレスもいいな」
アレクサンダーは怒鳴りつけて二人の腕をふり払いたいが、こらえた。いや、こらえるまでもなく、動けない状況なのだ。
連れ込まれ安ホテルの部屋のなかで、先ほど彼らにされたことを思い出すと、恥辱に頬が燃える。
「これを穿け」
ハサピスに背後からおさえつけられたアレクサンダーに投げつけられたのは、どぎつい赤色の布だった。一瞬、意味がわからず、とまどったアレクサンダーだが、投げつけられたものがなにかわかると、激怒した。
「誰が穿くか、こんなもの!」
「しょうがないな。ハサピス、しっかりとおさえておけよ」
「了解」
背後からまわされている男の腕が、さらにいっそう力強くアレクサンダーを抑える。
「よ、よせ! はなせ!」
かろうじてまとっていたガウンを捲りあげられる。ヴルブナを蹴りつけようと上げた右足は逆に取られてしまい、大きく上げさせられるかたちになってしまった。
「あっ……! よ、よせ! やめろ、下種!」
「高いのは口止め料も入っているせいだがな。くく。そんな顔するなよ。ほら、ヴェールをかぶっているといい」
言うや、面白そうに銀色のヴェールを頭からかぶせてくる。顔を隠すことでたしかにアレクサンダーは少し楽になった。
「うう……」
「歩くのが辛いか? もう少し辛抱しろよ。ほら、行くぞ」
ヴルブナとハサピスに挟まれるようにしてアレクサンダーは石床を歩いていった。無理やり履かされた女もの踵の高いヒールは歩きにくいが、それ以上にアレクサンダーを苦しめるのは別の理由だった。
「ああ、だけどこうして見れば見るほど、本当に美人だな。半分男だなんて信じられねぇ」
ハサピスの惚けたような声を、ヴルブナがさえぎる。
「しっ。聞こえるだろう。まぁ、聞こえたところで誰もなにも言わないだろうがな。それに……たしかに凄い美人だぜ、あんた。そのドレス、似合っているぜ。軍服も似合うが、ドレスもいいな」
アレクサンダーは怒鳴りつけて二人の腕をふり払いたいが、こらえた。いや、こらえるまでもなく、動けない状況なのだ。
連れ込まれ安ホテルの部屋のなかで、先ほど彼らにされたことを思い出すと、恥辱に頬が燃える。
「これを穿け」
ハサピスに背後からおさえつけられたアレクサンダーに投げつけられたのは、どぎつい赤色の布だった。一瞬、意味がわからず、とまどったアレクサンダーだが、投げつけられたものがなにかわかると、激怒した。
「誰が穿くか、こんなもの!」
「しょうがないな。ハサピス、しっかりとおさえておけよ」
「了解」
背後からまわされている男の腕が、さらにいっそう力強くアレクサンダーを抑える。
「よ、よせ! はなせ!」
かろうじてまとっていたガウンを捲りあげられる。ヴルブナを蹴りつけようと上げた右足は逆に取られてしまい、大きく上げさせられるかたちになってしまった。
「あっ……! よ、よせ! やめろ、下種!」
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