紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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終末の夜へと 一

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「俺はここで退場とするよ」
 狂気めいた三人の交合を見せつけられたハサピスは、あっさりと言い、安宿に取りに行ってきた荷物を見せつけた。
「これ以上付き合うと、俺の方が頭おかしくなりそうだし……やばくなってきたからな」
 小悪党なりに勘が良い。ヴルブナもそう思っていた。これ以上つきあうと危険だ。いや、すでに危険なのだ。
「それに……俺は触れることはできない……」
 ハサピスの黒い目に、今まで感じたことのない哀愁が一瞬浮かんだ。思えば、ハサピスはヴルブナとともにさんざんアレクサンダーを嬲ったが、とうとう身体のまじわりを持つことはなかった。
 何故だろう、とヴルブナは思う。機会はあったのに、あれほど興奮して、なぜ俺もハサピスもアレクサンダーを直接抱こうとはしなかったのだろう? 
 理由は、二つある。一つは、やはり島の支配者や、彼らの力を恐れているからだ。もう一つの理由は、結局、自分たちはそういう器ではないということだろう。
 アレクサンダー=フォン=モールを抱くというのは、やはり根幹で禁忌であるような気がする。あれほど、辱め、貶め、いたぶったというのに、だ。
「ああっ……、ああっ」
 扉の向こうの寝室からは、アレクサンダーの声が聞こえてくる。
 あれ以来、ほとんど休むことなく三人は交わりつづけている。
「あれを聞かされつづけるのは辛い……。それに、そろそろ本当にやばくないか?」
 ハサピスの目には怯えがちらついた。
 下っ端だけに、強い者のもたらす力には敏感だ。事が起こったとき、まっさきにつぶされるのは下の者だからだ。裏の世界を多少見ているハサピスやヴルブナは、この島の黒い組織の強大さを知っていた。
 だが、ヴルブナが再三進言しても、カールもクルーゲも耳を貸さない。
 それどころか、二人は本気でアレクサンダーを祖国につれかえり、囲う相談をしているのだ。そんなことができるわけはないとヴルブナは思うが、強く口出しすると、二人の機嫌が悪くなってくる。
 今頃、アレクサンダーが消えたことを知った宮殿の者たちはなにをしているだろう。
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