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第22話 学生時代の終わり
卒業式の朝。
サラスティナは、いつもの地味な制服のまま、静かに朝食の席についた。
前夜は久しぶりにリュモン子爵家で過ごし、そのまま泊まったのだ。
食卓には柔らかな陽が射し込み、パンの香ばしい匂いが広がっていた。
「卒業式も、その格好で行くのか?」
父サミエルが苦笑しながら尋ねる。
サラスティナは微笑み、フォークを置いた。
「えぇ。この姿で三年間を過ごしましたもの。最後までこのままで行きますわ。……今宵のパーティーでは、きちんといたしますから。だから、お父様――エスコート、お願い致しますね」
その言葉に、母マリエルが穏やかに頷いた。
「あなた、いいじゃないの。サラが決めたことですもの。……ねぇ、サラ。今日で学園も最後。楽しんできてね」
サラスティナは小さく笑い、「はい」とだけ答えた。
厳かな音楽が講堂に響く。
卒業式の空気は張りつめ、学園での思い出を胸に皆感慨深げだった。
壇上には、王家の血を引くアイザック殿下が立ち、代表として祝辞を述べている。
堂々としたその姿を見つめながら、サラスティナは、過ぎ去った三年間を思い返していた。
首席卒業は二人――アイザック殿下と、もう一人は彼女だった。
控えめな制服の裾を整え、彼女は他の生徒たちの列に静かに立っていた。華やかな者たちの中で、目立たぬように。
けれど、そんな姿こそが、彼女らしかった。
式が終わり、別れを惜しむ声があちこちで上がる。
サラスティナもクラスメートたちと微笑み合い、今宵また会おうと約束を交わしたその時――
「サラスティナ嬢、今宵のエスコートは誰なのだ?」
背後から穏やかな声。振り向けば、アイザック殿下がいた。
「エスコートは父にお願いしております。……今宵、お会いできるかは分かりませんので、お別れのご挨拶をさせてください。三年間、本当にお世話になりました」
彼女は深くカーテシーをして頭を下げた。
アイザックは思わず、彼女の腕を掴んだ。
「別れの挨拶だなんて……そんな言い方、しないでくれ」
その目はどこか、泣き出しそうに歪んでいた。
サラスティナはわずかに笑みを浮かべる。
「ふふ、では――また“縁”があれば、ですわ。殿下」
彼の手をそっと振りほどき、馬車へと向かう後ろ姿は、もう少女ではなく、ひとりの淑女のそれだった。
卒業パーティーの準備は、再びリュモン子爵家で。
ドレスはレーモンドが成人祝いに贈ってくれたもの。
深い青と金が交わるその色は、彼の瞳と彼女の髪を映したようだった。髪はハーフアップにまとめ、髪にブルーアイの花飾りを添える。
鏡の前に立つと、そこに映るのはもう“少女のサラスティナ”ではなかった。
会場の扉を開けた瞬間、賑やかだった音がふっと止まる。ざわめきが、静寂に変わった。
金の髪が光を受け、ドレスの青が夜空のように広がる。
「誰……あの子?」
「卒業生に、あんな綺麗な子いた?」
ひそやかな声があちこちで漏れる。
その中心に、微笑むサラスティナ。
「サラ!? その姿……まさか、おじ様がエスコート!?」
駆け寄ってきたアリスが、目を丸くして叫ぶ。
「ええ。お父様にお願いしたの」
隣でザラスが頭を掻いた。
「おいおい、事件だぞ。あの地味サラが……これは反則だろ」
「ザラス、言うべき言葉があるのではなくて?」
「……お、お綺麗です。サラスティナ様。たいへん……麗しゅうございます」
妙に棒読みな賛辞に、アリスが吹き出す。
「三年間、よくもまあ隠してたわね。サラ、ほんとに誰よりも綺麗わよ。いよいよ明日ね――結果はどうあれ、また遊びましょうね!」
サラスティナは微笑んで頷いた。
その横で、サミエルは娘を見守りながら、どこか誇らしげに目を細めた。
リュモン子爵家は小領ながら国中に名を知られ、誠実と節制を家訓とする家柄だった。
得た富は民に還元され、領地の道は整い、子どもたちの教育も行き届いている。
そんな家の令嬢でありながら、それをひけらかすことなく地味に三年間を過ごしてきた。
人々は、その慎ましさと美貌の調和に、ただ息を呑むしかなかった。
やがて理事長の挨拶が終わり、壇上に呼ばれたのは――サラスティナだった。
「乾杯の音頭を、サラスティナさんにお願いします」
一礼して壇上へ。
彼女は会場を見渡し、ゆっくりと声を発した。
「皆さま、ご卒業おめでとうございます。本日このような場でご挨拶できますこと、心より光栄に存じます。
皆さまの未来に、限りない祝福と希望が満ちますように――乾杯」
グラスが触れ合う音が、鈴のように響いた。
その直後だった。
「サラ!」
会場の端から声が上がる。
見れば、騎士服の男がこちらへ真っ直ぐに歩いてくる。
――レーモンド。
場の空気が凍りつくより早く、彼はサラスティナを抱きしめていた。
「もう!学生生活最後の日なんだから、遠慮してって言ったでしょう!? お仕事はどうしたの!?」
もがく彼女を離さず、彼は真剣な顔で言った。
「嫌だ。こんなに綺麗な格好して、虫がついたらどうするんだ。……サラ、もう帰ろう。マイラス侯爵家に帰ろう?」
眉を下げ、泣き出しそうな声。
サミエルが少し咳払いした。
「レーモンド殿、その辺でお離しなさい。娘も皆の前では恥ずかしかろう」
だがレーモンドは一歩も引かない。
「嫌です! 誰にも渡したくないんです!」
サラスティナは深くため息をつき、父に向かって言った。
「お父様、今宵はこのままレイと帰りますわ。こうなってしまっては説得の方が大変ですもの」
レーモンドの腕を軽く叩きながら、苦笑する。
「レイ、行きましょう」
「……ごめんね。サラの学生生活最後の日だから我慢してたんだ。でも、ドレス姿見たら、もう無理だった」
「分かってるわ。さ、帰りましょう」
二人はそのまま、手を取り合って会場を後にした。
残された会場は、まるで時間が止まったように静まり返る。
王太子の近衛騎士であり、見目麗しく、独身貴族の理想とまで言われたレーモンドが――
あんなにも露骨に、少女に恋焦がれている。
その光景に、卒業生たちは口を開けたまま固まっていた。
「……マイラス侯爵家に帰る? どういうこと?」
「まさか……もう、そういう関係なの?」
ざわつく声が広がる前に、サミエルは静かに席を立った。
「さて、娘も連れ帰られたことだし、わたしも失礼しようかな」
そう呟いて、背を向けた。
アリスは全てを知っていた。けれど、質問攻めにされても、話せる事はなく黙っていた。
ザラスの腕を引いてテラスへ向かう途中、そっと息を吐いた。
「……ほんと、サラらしい終わり方だわ」
風が夜の花の香りを運び、春の終わりを告げていた。
サラスティナは、いつもの地味な制服のまま、静かに朝食の席についた。
前夜は久しぶりにリュモン子爵家で過ごし、そのまま泊まったのだ。
食卓には柔らかな陽が射し込み、パンの香ばしい匂いが広がっていた。
「卒業式も、その格好で行くのか?」
父サミエルが苦笑しながら尋ねる。
サラスティナは微笑み、フォークを置いた。
「えぇ。この姿で三年間を過ごしましたもの。最後までこのままで行きますわ。……今宵のパーティーでは、きちんといたしますから。だから、お父様――エスコート、お願い致しますね」
その言葉に、母マリエルが穏やかに頷いた。
「あなた、いいじゃないの。サラが決めたことですもの。……ねぇ、サラ。今日で学園も最後。楽しんできてね」
サラスティナは小さく笑い、「はい」とだけ答えた。
厳かな音楽が講堂に響く。
卒業式の空気は張りつめ、学園での思い出を胸に皆感慨深げだった。
壇上には、王家の血を引くアイザック殿下が立ち、代表として祝辞を述べている。
堂々としたその姿を見つめながら、サラスティナは、過ぎ去った三年間を思い返していた。
首席卒業は二人――アイザック殿下と、もう一人は彼女だった。
控えめな制服の裾を整え、彼女は他の生徒たちの列に静かに立っていた。華やかな者たちの中で、目立たぬように。
けれど、そんな姿こそが、彼女らしかった。
式が終わり、別れを惜しむ声があちこちで上がる。
サラスティナもクラスメートたちと微笑み合い、今宵また会おうと約束を交わしたその時――
「サラスティナ嬢、今宵のエスコートは誰なのだ?」
背後から穏やかな声。振り向けば、アイザック殿下がいた。
「エスコートは父にお願いしております。……今宵、お会いできるかは分かりませんので、お別れのご挨拶をさせてください。三年間、本当にお世話になりました」
彼女は深くカーテシーをして頭を下げた。
アイザックは思わず、彼女の腕を掴んだ。
「別れの挨拶だなんて……そんな言い方、しないでくれ」
その目はどこか、泣き出しそうに歪んでいた。
サラスティナはわずかに笑みを浮かべる。
「ふふ、では――また“縁”があれば、ですわ。殿下」
彼の手をそっと振りほどき、馬車へと向かう後ろ姿は、もう少女ではなく、ひとりの淑女のそれだった。
卒業パーティーの準備は、再びリュモン子爵家で。
ドレスはレーモンドが成人祝いに贈ってくれたもの。
深い青と金が交わるその色は、彼の瞳と彼女の髪を映したようだった。髪はハーフアップにまとめ、髪にブルーアイの花飾りを添える。
鏡の前に立つと、そこに映るのはもう“少女のサラスティナ”ではなかった。
会場の扉を開けた瞬間、賑やかだった音がふっと止まる。ざわめきが、静寂に変わった。
金の髪が光を受け、ドレスの青が夜空のように広がる。
「誰……あの子?」
「卒業生に、あんな綺麗な子いた?」
ひそやかな声があちこちで漏れる。
その中心に、微笑むサラスティナ。
「サラ!? その姿……まさか、おじ様がエスコート!?」
駆け寄ってきたアリスが、目を丸くして叫ぶ。
「ええ。お父様にお願いしたの」
隣でザラスが頭を掻いた。
「おいおい、事件だぞ。あの地味サラが……これは反則だろ」
「ザラス、言うべき言葉があるのではなくて?」
「……お、お綺麗です。サラスティナ様。たいへん……麗しゅうございます」
妙に棒読みな賛辞に、アリスが吹き出す。
「三年間、よくもまあ隠してたわね。サラ、ほんとに誰よりも綺麗わよ。いよいよ明日ね――結果はどうあれ、また遊びましょうね!」
サラスティナは微笑んで頷いた。
その横で、サミエルは娘を見守りながら、どこか誇らしげに目を細めた。
リュモン子爵家は小領ながら国中に名を知られ、誠実と節制を家訓とする家柄だった。
得た富は民に還元され、領地の道は整い、子どもたちの教育も行き届いている。
そんな家の令嬢でありながら、それをひけらかすことなく地味に三年間を過ごしてきた。
人々は、その慎ましさと美貌の調和に、ただ息を呑むしかなかった。
やがて理事長の挨拶が終わり、壇上に呼ばれたのは――サラスティナだった。
「乾杯の音頭を、サラスティナさんにお願いします」
一礼して壇上へ。
彼女は会場を見渡し、ゆっくりと声を発した。
「皆さま、ご卒業おめでとうございます。本日このような場でご挨拶できますこと、心より光栄に存じます。
皆さまの未来に、限りない祝福と希望が満ちますように――乾杯」
グラスが触れ合う音が、鈴のように響いた。
その直後だった。
「サラ!」
会場の端から声が上がる。
見れば、騎士服の男がこちらへ真っ直ぐに歩いてくる。
――レーモンド。
場の空気が凍りつくより早く、彼はサラスティナを抱きしめていた。
「もう!学生生活最後の日なんだから、遠慮してって言ったでしょう!? お仕事はどうしたの!?」
もがく彼女を離さず、彼は真剣な顔で言った。
「嫌だ。こんなに綺麗な格好して、虫がついたらどうするんだ。……サラ、もう帰ろう。マイラス侯爵家に帰ろう?」
眉を下げ、泣き出しそうな声。
サミエルが少し咳払いした。
「レーモンド殿、その辺でお離しなさい。娘も皆の前では恥ずかしかろう」
だがレーモンドは一歩も引かない。
「嫌です! 誰にも渡したくないんです!」
サラスティナは深くため息をつき、父に向かって言った。
「お父様、今宵はこのままレイと帰りますわ。こうなってしまっては説得の方が大変ですもの」
レーモンドの腕を軽く叩きながら、苦笑する。
「レイ、行きましょう」
「……ごめんね。サラの学生生活最後の日だから我慢してたんだ。でも、ドレス姿見たら、もう無理だった」
「分かってるわ。さ、帰りましょう」
二人はそのまま、手を取り合って会場を後にした。
残された会場は、まるで時間が止まったように静まり返る。
王太子の近衛騎士であり、見目麗しく、独身貴族の理想とまで言われたレーモンドが――
あんなにも露骨に、少女に恋焦がれている。
その光景に、卒業生たちは口を開けたまま固まっていた。
「……マイラス侯爵家に帰る? どういうこと?」
「まさか……もう、そういう関係なの?」
ざわつく声が広がる前に、サミエルは静かに席を立った。
「さて、娘も連れ帰られたことだし、わたしも失礼しようかな」
そう呟いて、背を向けた。
アリスは全てを知っていた。けれど、質問攻めにされても、話せる事はなく黙っていた。
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