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しおりを挟むスーパーの前でこんにちわと挨拶されどうも~と言いながら私が通り過ぎたのは
相手が長話で有名な人だったからだ。大して興味がない話を永遠と聞かされるの
は精神衛生上よろしくないという事は誰でも知っているはずなのに、どうやらあ
の人にはまだ情報が届いていないらしい。
私はすぐに籠を取って野菜売り場を眺めた。
ゴボウにレンコン、さいつまいもと食物繊維の多い根菜ものを手に取って籠へと
入れて行く。どうやらバナナなんてのもいいらしいし、乳製品もかかせない。
納豆とかもいいので籠へと入れ、ささっと買い物を済ませて家へ帰った。
長居なんてしてはいられないのだ。
家に帰ればさっそく夕食の準備をする。
もう何を作るかは決めているので調理するだけだ。
ゴボウとニンジンを千切りにしてごま油をひいたフライパンで炒め、後は合わせ
た調味料を入れて煮詰めれば出来上がりである。
とりあえず山ほど作っておくのがいいのだ。
あれば文句はいいつつも食べる事はもう知っているから、それからお風呂を確認
してちゃんとお湯が溜っているかを確認したら旦那が帰って来た。
「お帰り~、さっさとお風呂に入ってね~ 」
仕事から帰ってきた旦那に指示をしてあげてから夕食を並べる。
並べ終われば風呂場へ行って脱ぎ散らかした下着を拾って洗濯機へと投げ込むが
その前にパンツだけはチェックする。
「異常なし」
そして私はスイッチを入れた。
★★★★★★★★★★★★
ムシャムシャと食べている旦那を見ながら「それはお前の為に作ったんだから
たんとお食べ」と心の中でつぶやく。あえてそれを言わないのは言うと嫌がって
食べないからだ。まったくもって困った旦那である。別にいいではないかとは
思うが機嫌が悪くなると面倒なので何も言わない。
切れ痔になったぐらいで何をそんなにとは思うがまあいい。
こうして今日も旦那は私の掌の上で転がされている事も知らずに生きている。
可愛い奴だ。
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