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しおりを挟むその顔が無理だった。
冬なのに真っ黒に日焼けしているとか意味が分からないし、その所為で余計に
歯の白さが際立つ。どう考えても自分の歯ではないその歯がただただ不気味に
見えたのだ。
そもそもその髪型も無理なのだ。
その刈り上げ方とオイルにまみれた髪に清潔感なんてものを感じる奴らの気が知
れない。どんなセンスをしていればその髪型を発注出来るのだろうか?
確かに助けてくれた事には感謝をしてはいるが……
あのしつこく付きまとって来た男達もこいつもどこか似た雰囲気がしないでも
ない。だとするとこれはただのマッチポンプ、仕組まれていた事ではないのかと
疑わしくなって来た。
嗚呼、最悪だ。
どうして私がこんな目にあわないといけないのか。
なんだかもう全てが気持ち悪く見えて来てしまう。
その一挙手一投足が私の身を震わすのだ。
嗚呼、もう何も頭に入って来ない。
寧ろここまで来たのなら私はどうすればこの男に好感を持つのかを考えてみる
事にした。
ざっと一瞥してみたが容姿からは何も見当たらない。
「あっ! 」
そして私は思いつく。
この男がホモなら、私はきっと許せるのではないだろうか?
そして私は納得する。
このタイプの男はみんなホモだったのかと。
だから私はこんなにも嫌悪感を感じていたのだ。
私をカモフラージュに使おうとしている事に気持ち悪さを感じていたのだ。
そんな事などせずに堂々としていればいいのに、私は別にホモが嫌いな訳では
ないのだから。
それならそうと言えばいい。
堂々と男を誘えばいいのに、そんな事をしているから誰も相手をしてくれない
のだ。だからホモって面倒臭い。
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