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しおりを挟む結局一年間、私はずっと片思いだった。
それは決して悪い事では無くてとてもいい思い出でもあるのだ。
そもそもだ、あの状況の中で告白なんて事が出来る訳もないし、そんな勇気が
私にあったのならもっと違った未来があったに違いない。
あのクラスは特別だった。
全てが彼を中心に回っていた。
彼はとても社交的で誰にでも優しいから彼を嫌う人なんてクラスには居なかった
し、彼がリーダーになる事をみんなが望んだのだ。
そしてそんな彼に告白する事は禁じられた。
そんな事をしてクラスの雰囲気を悪くしたりしないようにする為だった。
彼を困らす事を私達は望んではいなかったから、誰もそのルールに文句を言う人
は居なかった。
『彼と楽しく過ごす事が出来るだけでいい』
それが私達の総意だったのだ。
だからみんなが平等に彼と話を出来たし、彼もいつだって私達に優しかったから
私達に不満なんて何もなかった。ただこの日々がずっと続けばいいと、そう願っ
ていたのだ。
でもそんな永遠なんてものはなくって、私達は二年生になり、クラスが変わった。
「俺と付き合わないか? 」
その突然の告白に私がOKを出してしまったのはきっとこの気持ちから目を逸らし
たかったからなのかもしれない。だって私は別に正嗣の事なんて何とも思っては
いなかったのだから。
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