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しおりを挟む部屋の中が光に満たされる。
でもそれは一瞬の出来事で、そしてその光が消えればそこには女が居た。
「魔界の方から来ました、デルツピアです! 」
その女は美人である。
大きな瞳に魅惑的な唇と整った顔立ちはいかにもだ。
身体も出る所は出て、引き締まる所は引き締まっていた。
一般的にそんな女性とお近づきになれる男など一握り。
そしてそんな女性とまぐわえるの者などさらに一握り。
そんなチャンスを手にしたヒロシゲは言う。
「チェンジだ! 」
その言葉の意味が分からなかったのか女が聞き返して来た。
「え? 今、何て? 」
聞き返された事に対してヒロシゲは眉を寄せた。
客の言う事を聞き逃すなど一体どんな教育を受けたのだと思う。
でもここで怒った所でどうなる訳でもないのだ。
「チャンジだ! 」
だからヒロシゲはもう一度言った。
今度は聞き取り安かったはずである。
「嘘でしょ? 私が? 」
でも女は帰る気配がない。
自分の今置かれている状況が全く理解出来ないでいるようだった。
でもヒロシゲの答えは変わらないのだ。
「チャンジだ! 」
「嘘でしょ? こんなに良い女を抱けるのよ? 本当にいいの?
ほらほら、よく見て見なさいよ? ねえ? 」
女がいくらアピールして来ようともヒロシゲには響かない。
ヒロシゲにとってそれは何の意味も無いのだ。
「分かったわ、チェンジでいいのね。私でダメならもう全員ダメだと思うけどね」
女はそう言い捨てて魔法陣の中へ入れば光が溢れて来る。
「あ、そうだ。アンタの好みってどんなのよ? 」
女にとってそれは大して興味のない質問だった。
「羊顔の女だ」
でもその答えで納得がいった。
「ああ、だから私だったのか。そう言う事なら早く言いなさいよ。
顔は変えなくてもよかったのよね? 」
女の顔が羊に変わっていく。
「イヤッホーイ! 」
ヒロシゲはその瞬間に全裸になり、女に飛びついた。
でも残念な事に魔法陣は既に起動しており、女はもういない。
そしてまた光が部屋を満たし、消える。
「魔界の方から来ました、ルミルンです! 」
彼女がまた来てくれたのかと思ったが、違う女が来た。
チェンジを選択したのはヒロシゲ自身である。
「君は羊顔になれるのか? 」
同じ失敗はしまいとヒロシゲは聞いた。
「え? 私、水牛だけど? 」
その美女を見てヒロシゲは言う。
「チェンジだ! 」
全裸待機していた男がそんな事を言うなどと思いもしない女がヒロシゲに
聞き返したのは当然と言えば当然な事だった。
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