手負いですが恋愛してみせます ~ 痛がり2 ~

白い靴下の猫

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32 証明するのは簡単だ

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マッドは端末をもって、部屋をでていった。
あかりは冷めてしまったお茶を入れなおして、シューバから少し離れたところに置き、シューバを抱きしめようと手を伸ばす。

シューバはその手をくぐるようにして、あかりを抱きしめた。
「しゃべりにくい、わね。顔も見えないし。いまのあなたの状態が、わからないじゃない。この格好でしばらくいるなら、シューバがなにかしゃべって」
あかりの注文は今日も遠慮ない。

あかり本人は、シューバとちゃんとした会話が成り立つのか、子どもに返ってしまったような、あるいは心を病んでしまったような、そんなしゃべり方のままなのかが気になって仕方ないだけなのだが。

「そばにいてくれたのだな」
シューバにとって、今あかりが腕の中にいるのは奇跡だ。
レノに乗っ取られかけていたシューバなんて、危険極まりない。あかりは怖かったはずだ。3年前を思い出して。

シューバが腕を狭めても、あかりは、もぞもぞ、ぷはっ、と顔をあげてきて、ハキハキしゃべる。
「そばもそば、ここ2週間近くつきっきりよ!」
シューバが目を見開く。
なんか、あかりのしゃべり方が強気だ。
3年、いや、もっと前。クルラを連れてくる前、シューバから引いて行こうとする前のような。
「そう、か。醜態を、みせた」
「さすがに、10年ごしの仕込みとは思わないわよ、やむなし。こんなもんをまとわりつかせられてよく狂わなかったね。シューバは今も昔もえらかった」
抱きしめられたままで、あかりが額をこつんこつんとシューバの胸にあててくる。

あかりの声は、昔にもどったかのように優しい。
恋人だといいながら、シューバを子ども扱いしていた昔。
まるで、シューバのせいで傷を負うどころか拉致など起こっていなかった昔。
そのころに戻って、シューバの汚さを、忘れてしまったかのようだ。

あかりに切り捨てられた時の恐怖がぶり返す。
このまま去って行こうとするなら、抱きしめ、歯を立て、喰いちぎって、胃袋の中に収めてしまいたいとすら、思う。

「私は・・・狂っている、な」
自分が、周囲が、ホゴラシュが、あかりにしたことを知って、捨てられても、恨まれても、どれだけ責められても仕方がないと、覚悟したはずなのに。
あかりに好きだと言われてからもなお、怖くて、怖くて。

「ええ?ここしばらくと比べたらあなたのしゃべり方、格段にまともよ?」
あかりの強さと輝きをいっぱいに詰め込んだ目が、何の確執もないように、シューバの表面を滑る。

このまま、シューバとの間を何も無かったことにされる位なら。
あかりが仲間や気安く頼れる男たちと過ごすのを、敵認定された遠いポジションからただ見ていなければならないなら。
あかりからぶつけられる恨みで、焼け落ちてしまいたかった。

「3年前、私の側近のせいでキュニにさらわれた時、何があった?」
ホゴラシュも、自分も、消えてしまえばいい。そう思って聞いたのに。
あかりはまるで、失敗した料理を食べられてしまったような軽い気まずさの混ざる声で返してきた。
「げ、だれ経由で聞いた?多分、色々盛られてるから、もう少し落ち着いた時にでも・・」
「何があったんだ!・・あやまらせても、くれないつもりか!」

お前のせいだと、せめて生の憎しみと言葉をぶつけて来て。
抱きしめていた腕から力が抜けると、あかりは鼻にしわを寄せて、シューバの腕から出てきた。

「拉致られて、暴力振るわれたから、腹いせに派閥いっこ潰してやった。私に触れたクズがいたことは否定しないけど、そっこーで情けない死に様をさらさせてやった。」

あかりが、シューバの両頬に手のひらをあてて顔を覗き込んで続ける。
「えらいでしょ?私は、『私は悪くない』って思っているのよ?お説教なら聞かないし、シューバが謝るってなんで?どちらかというと褒めてほしいくらいなのに」

あかりの今の関心は、シューバの母親関連のトラウマをひっかかないことだ。過去の自分に与えられたダメージと、母親をだぶらせないようにすること。

あかりは、4年前「お付き合い」をはじめた頃のシューバを覚えている。
母親というイメージへの異常な渇望と抑圧。シューバがラノンに同化せず正気を保つために、どうしても手放せなかった希少で儚いお守り。それが母親の生存で、彼のその部分は柔らかすぎた。無遠慮に触れたらシューバが壊れてしまうほど剝き出しで、痛々しかったのだ。

洗脳になど使われていい場所ではなかった。
とげとげになった意識で覗いてはダメだ。

「あかりの過去」でも覗いていたほうがマシ。だって私は倒れないから。
怒れるほうがマシ。気がまぎれるから。

だから。あかりに触れた男がいたかどうかなんていう二番煎じの情報程度でシューバが満足するなら、喜んでネタに出来てしまう心境だ。

「・・・今回の人質狩りでやっと側近を疑った。あいつらは、私のそばで、何度もあかりを売って。私は、あかりに悲鳴をあげさせて、それを、責めてっ」

そう解釈されるのはまずいなぁ、とばかりに、あかりが気まずげな顔になった。

「腹立てるのすら悔しくて、ホワイト・プログラム使って忘れてやったの。でも、そのせいで、シューバとの記憶も揺らいで。だから、ごめん。シューバの方が文句言っていい側です」

あかりがシューバを覗き込む目は、嫌なことなど忘れてしまえとそそのかすかのようだ。
なぜ、そんな風に、私を気遣う。

「三年前の、肩と首のケガは、そのせいで、ついたのだろう?」
叫んだ、だろうか。
「うん」

「悲鳴を、あげたか?」
泣いた、だろうか。
「まぁね」

「私に・・・なにも言わずに去った理由を、きいてもいいか?」
恨んだ、だろうか。
「あいつらの思うツボにはまるのが嫌だった。ごめん」

思うツボ?あかりを汚し、シューバから去らせることか。それとも、あかりが他の男と通じたとシューバに知らせて揺さぶることか。
それならどちらも、シューバが、かなえさせてしまった。

自分の言った言葉を覚えている。
『キュニに行くたびに聞かされた。あんたがどう喘ぐかとか、どんなふうに男をねだるかとか・・・キュニの男は良かったのか?後腐れがない男と遊びたかったか?』

「私を、疎んだ、ろうな。恥じることもなく、酷いことをして、酷いことを言うのに、相手を壊すまで手放さない。私は父親の劣化版だ」

あかりの『ごめん』は、何にかかっていたのだろう。この先を一緒にすごす気がないことだろうか。それとも今、うそをついていること?

「全然、違う。あいつらの思うツボは、私とシューバを断絶させて未来永劫離しておくことだけど、私は帰って来たし、今もシューバが好き。シューバも私が好きなら、元通り。あと、父親はモテない、シューバはモテモテ。全然似てない。」
やさしいあかり。暗闇の出口。私はきっと、目を潰しても足を砕いても、あかりに向かってしまう。脳がなくても光に向かってしまうラン藻のよう。

「私の記憶も、あかりの好きに触っていい。母親を覚えている責任すら、私にはないそうだ。私のどの記憶を消しても、何も考えられないゴミにしてもいい」

あかりがぎょっとしたように答える。
「私にシューバを損壊する趣味は無いけど?!」

シューバは目を伏せたまま、あかりの頬に手を伸ばす。
「あかりが私を目障りでも、私は生きている限りとまれない。目障りなら、あかりを、忘れさせていい。あの、悲鳴しか聞こえない暗闇に、還れというなら還る」

シューバが繰り返すと、あかりの声がすこしとがった。
「なによそれ。私を忘れて、この手でクルラちゃんの頭を撫でたいとか?」
あかりはふくれっ面で、自分の頬の上にあるシューバの手を押さえて止める。

シューバはしばらくぼやっとしていたが、あかりから手を離した。

「そうじゃないのを証明するのは簡単、だな」

そういうと。
シューバは、机の上に右手を開いて置き、左手でお茶の入ったままのマグカップをもって振り上げ、何の溜めもなく振り下ろす。

「ちょっ」
あかりは慌てて自分の両手でシューバの右手を覆った。

かろうじて少し横にずらされたマグカップが、机にあたってはじけ飛んだ。
心臓がバクバクいって、動けないあかりをシューバが無造作にどけようとする。

「び、び、び、びっくりした・・・自分の手をマグカップで潰す気?!まるで普通のシューバみたいなしゃべり方で油断させといて、なにしてくれるかな」

「あかり、落下する鈍器のまえに体を出してはだめだ。危ない」

「何言ってんの!危ないのはシューバでしょうが!ホゴラシュが誇る脳みそ、どこに落としてきた?!やっぱり私から抱っこしとくべきだった!のんきに抱っこされてちゃ、おちおち会話もできない!」

そう言って、あかりがシューバを抱きなおし、シューバの体から力が抜けた。

「なぜ、1秒を惜しまなかったのだろうな。監禁したり、なじったり、薬を打ったり、触れていられたはずの貴重な時間を無駄にして。私はとっくの昔に狂っていた」

今となっては。自分のせいで悲鳴を上げ、傷を負ったあかりを知った今となっては。
あの時あかりに何を求めていたのかさえ、思い出せないのに。
この暖かさに触れられる時間とひきかえにできる、何があると思ったのだろう。

「あー、ミギとペギがじゃれたみたいなもんでしょうが。私は気にしてないわよ」

あかりは言葉を止めて、シューバの頬を両手ではさみ、唇に一秒に満たないようなキスを数回。お返し、期待してますが?と書かれた目をして、唇の1センチ手前でシューバを誘った。

シューバは動けないまま、自分の目が苦しげに細まったのがわかる。

「ちぇ」

あかりは、そう声に出すと、ちょっとだけ舌を出して、シューバの下唇をゆっくりつついた。
シューバの顔が少し上を向き、唇がわずかに開く。

あかりは顔を傾けて、シューバの上唇を、軽く自分の唇で挟んだ。
すこししかはさめないから、すぐにぷるんと逃げる。
がんばる、にげる。がんばる、にげる。

我慢、できなかった。下唇に目標を変えようとすこし引いたあかりの唇を追いかけて押し入った。

再会の時みたいに、薬から覚めかけてた時みたいに。
噛みつくような、舌を砕くような。
乾き死に寸前のからだに水がしみこんでいくように、甘くて暖かい何かが、シューバの体を満たす。もっと欲しい、もっと。

「どうしたら、このままいられる」
唇が腫れるんじゃないないかと言うほどキスをしてから、シューバはうめくように聞いた。
あかりは、意外そうな顔をして、少し首をかしげる。

「どうって、特別何もなくても、一緒にいよう?」
「むりだ、何もないなんて、怖くて止まっていられない」
温かくて、すがってしまいたくなる声。そのくせ、急にいなくなった声。


「回遊魚体質!?えーっと、婚約とかしてみる?」
「約束なんてもろいものに縋って生きていける気がしない。」
私はきっとそこから一歩動けない。

「うー、ね、寝る?年齢差ほどリードする自信はないけどっ。妄想産業界に棲み始めてそろそろ15年、なんとかなる・・・かな?」

うそつき。いや、あかりが何かをごまかしていると、うそをついているとわかるのに、あの甘くて暖かい何かが惜しくて、渇き死にが怖くて、見ないふりをする自分がうそつきだ。

「きっと、ばちがあたって、心臓が、潰れる」
「心臓大事!」

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