忘れられない僕と

つきとあん

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ぼくは忘れられなくなった

いつも通りの朝

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朝7時に起床するのもはじめは大変だっかけど、さすがに10年も働くとなれるもんだなと少し感心しながらリビングに向かう。リビングには最愛の久美子がまだ赤ちゃんの優を負ぶって料理していた。
「おはよう。いい匂いだね。」
「おはよう。そう?いつも洋食だけど、今日は和食にしてみた。」
「めっちゃいいね、和食うれしいよ。着替えてくるね」
と言って優のぽっぺにチューだけして自分の部屋に急いだ。我ながらこの家を買えたことをいまだに誇りに思っている。都会じゃないから買うことができた一軒家。まあ、あと30年は働き続けないといけないけど、優と久美子と暮らすことを考えると妥当だと思う。久美子とは就職した会社の先輩の姪で、会社のBBQ大会で知り合った。同い年がこの町にいなかった久美子にとって僕は良き友人になるのはすごく当たり前のことだったし、僕がとてもやさしく明るい久美子を好きになることも当たり前なことだった。出会ってから1年後にはもう結婚していた。結婚して優が生まれてからもであったころと変わらない久美子のことは今でも大好きだし、向こうもそう思ってくれているだろう。やっぱり自分は運がいいみたいだ。
「そういえば今日は東京に行くんだっけ?」
「そう、今日は東京に出張。明日の昼頃こっち帰ってくるよ。」
「パパ、お土産、絶対勝ってきてね!仮面ライダーのお菓子!」
といつの間にか起きてご飯を食べている長男の健が言った。健はもう5歳になるからよくしゃべる。おしゃべりなのは僕よりも久美子に似たんだろう。
「うん、わかったよ。買ってくるね」
ご飯を食べ終えて大きめの荷物を持って家を出た。
「行ってきます」
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