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第1章 転移したパーティ
第2話 転移した先
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とある世界の丘の上。
勇者達6名は魔王の使った魔法陣、ディメンションホールにより飛ばされ気を失っていた。
「う、うっ……」
初めに意識を取り戻したのは勇者であるアルバニオンだった。
「ここは何処だ!」
周りを見廻し、何処だか状況判断を始める。
そうしてる間に、起き上がって来たのがパラディンのランフォードだった。
「イテテッ、なんなんだ」
「起きたかランフォード」
アルバニオンはランフォードに声をかける。
「アルバニオン、ここはいったい何処なんだ?」
「わからない、俺も見たことが無い世界だ」
そんな話をしていると今度はフェンサーのビオネッタが起き上がる。
「痛~い、もう最低~ あの魔王今度会ったらボッコボコにしてやるわ!」
「よう、元気か?」
ランフォードが目が覚めたビオネッタに挨拶をする。
「元気じゃ無いわよ、何よ~ ここ?」
次に起き上がって来たのはウィザードのパトリシアとプリーストのミネルヴァだった。
「いた~い、服が汚れちゃったじゃない、最悪よ」
「パトリシア? 今は服よりこの状況を心配した方がいいわ」
起き上がり早々、服の心配するパトリシアとそれに突っ込みを入れるミネルヴァが居た。
「皆んな、起きた様だな」
リーダーであるアルバニオンが6名の生存を確かめる。
「おい、1人いないぞ!」
「カルタックよ!」
ランフォードとビオネッタが騒ぎ出す。
心配になりながら辺りを見廻す。
「ぐぅ~ ぐぅ~ ぐぅ~」
シーフであるカルタックは何故か数リード先で寝ていた。
「おい、こら、カルタック。起き上がれ!」
ランフォードに軽い蹴りを入れられ、起き上がる
ゴス!
「ンガ! 皆さんおはようございます。朝飯ですか?」
「何寝ぼけていやがるんだ、起きやがれ!」
ランフォードに怒され、目を覚ます。
「あれ? ここ何処ですか?」
「知らん! 今、その事でアルバニオンと話をしてる所だ。さっさと来い!」
そうランフォードは言い、カルタックをアルバニオンの所へ連れて行く。
「これで全員いるな! 聞いてくれ、俺達は魔王ザベルドゥーガの魔法陣で何処かの世界に飛ばされてしまった」
「ハイ!」
「なんだ、パトリシア」
パトリシアは挙手してアルバニオンに質問をする。
「なんで異世界ってわかるの?」
「それはだなぁ~ 向こう方向を見てくれ」
全員がアルバニオンの指差す方向を向く。
「あの遠く見える森林だが、あれらの樹々を俺達の世界では存在をしてない樹々なんだ」
「お前程、旅して来た男がか?」
ランフォードが驚く。
「ああっ、俺は10年以上仲間集めに、そして魔王城を探す為に旅をして来た。だが最果てに行ってもこんな樹は存在していなかった」
「へぇ~ そんなに珍しい植物なのねぇ~」
ミネルヴァも興味を持ち、会話に参加する。
「それで、これからどうするの?」
今度はビオネッタが聞いて来た。
「まずは今、現状を知るために各自の持ち物と体調を知りたい。ミネルヴァ、『メディカルケア』で皆んなの状態を調べてくれ」
「わかったわ」
詠唱呪文を唱え始めるが何かがおかしい?
「あれ? なんかおかしいわ! 魔力が貯まらない」
『なんだって?』
皆んなが驚く。
「あれ? あれ? 本当に魔力が集まらないの!」
「そんな馬鹿な事があるかよ、魔力切れか何かだろ?」
ランフォードはミネルヴァがたまに『うっかり』な事をするので、不安ながらに指摘をする。
「本当に、本当に、集まらないの」
「じゃ~ MPポーションを飲んでみなよ」
今度はカルタックが助言をする。
「そうね、そうするわ」
ミネルヴァはMPポーションを出そうと空間ストレージを開こうとするが開かない。
「えっ? あれ? 開かない……」
「また、また~ ミネルヴァたらすぐそう言う冗談をするんだから~」
パトリシアはいつもの冗談と受け取っていた。
「嘘じゃないの、皆んなも確かめてみて!」
ミネルヴァは真面目な顔で仲間達に言う。
全員が『どれどれ』と各々空間ストレージを開こうとするが開かない。
「おい、これやばいぞ! 本当に開かないぞ」
1番大声でランフォードが叫んだ。
その時、上空から何やら怪しい鳥らしき姿がこちらに向かってやって来る。
「おい、何かが飛来してくるぞ!」
目のいい、シーフのカルタックが全員に注意を促す。
「皆んな伏せろ!」
アルバニオンの声と共に全員が伏せる。
大きさ1.8リードもする飛来竜は、叫んでいたランフォードに襲い掛かるが、伏せて居た為に1度飛び去る。
「うんなろ~ ワイバーンかよ」
身を伏せて居たランフォードは対抗しようと起き上がり、いつもの様に攻撃体制をとる。
「おい、辞めろ! あれはワイバーンではない。それにここは魔法が使えないんだぞ!」
「ならスキルを使うまでよ!」
アルバニオンの忠告を無視し、ランフォードは戦う気が満々だった。
獲物を逃した翼竜は再び戻って来てランフォードを襲う。
『シールドバッシュ』
ランフォードお得意のスタン攻撃なのだが、発動はせずに盾ごと飛ばされてしまう。
「ぐあー!」
「ランフォード! おい、救出に行くぞ。カルタック! あいつを飛び道具で追い払え。ビオネッタは俺と一緒にランフォードの救出に向かう」
『OK! 了解!』
3人は伏せていた状態から身を起こし各々の行動をとる。
翼竜は再再度、倒れたランフォードを捕獲する為に遅い掛かる。
「アイツの肉は不味いからこれでも喰らいな!」
そう言って小刀を翼竜に投げつける。
「ギャオー」
小刀は向かってきた翼竜の胸元に刺さり、叫びにながら逃げて行った。
アルバニオンとビオネッタはその隙にランフォードの所に向かい、救出をする。
「おい、ランフォード。しっかりしろ!」
返事が無いランフォードをそのままにする訳にはいかず、体の大きいランフォードを近場の物陰に引きずり隠れる。
「ねぇ~ ランフォード起きなさいよ~ ランフォード!」
ビオネッタが声を掛けても返事がなかった。
アルバニオンは周りを見廻すと丁度いい洞窟がある事に気づく。
「よし、あの洞窟に逃げ込むぞ!」
パーティ6名は洞窟に入りランフォードの意識回復を待つ事にした。
「カルタック! 洞窟の奥に入って安全かどうか確かめてくれ、それと洞窟の外周りにトラップも仕掛けてくれ」
「わかった」
「他の皆んなはランフォードの意識回復に専念してくれ」
「アルバニオンはどうするのよ?」
ビオネッタがアルバニオンに尋ねる。
「こんな所で皆んなして居ても仕方が無い、俺は外回りを調べて来る。もし何かあったらビオネッタ、お前が指揮をしてくれ」
「わかったわ、ただ魔法もスキルも使えないのだから無理はしないで」
「わかっている」
アルバニオンはそう言い残して洞窟から出て行った。
「ミネルヴァ! パトリシア! ランフォードの状態はどう?」
「ただの脳震盪みたい、打ち身はあるけど鎧のお陰でそんなに酷い状態では無いわ」
プリーストであるミネルヴァがそう答える。
「そう。パトリシア! 今いる全員の持ち物を集めて何が使えるか調べて」
「うん、わかった」
ビオネッタの敏速な指示で全員が行動に移る。
数十バルディ後、カルタックは松明を持ち、洞窟奥から帰って来る。
「特に問題は無し、奥で様も足せるぜ。あれ? アルバニオンは?」
「外の状態を調べに行ったわ」
「ふ~ん、無事である事を祈るよ」
軽口を叩いてカルタックは今度は洞窟の出入り口周辺に行き、敵の侵入を防ぐトラップを仕掛けて帰って来た。
「ねぇ、カルタック? 今度はパトリシアと一緒に持ち物整理お願いするわ」
「へい、へい、人使いが荒い事で」
そう言ってパトリシアの所に行き、持ち物整理を手伝う。
「手伝うよ」
『どさっ!』 カルタックは大きなリュックをパトリシアの目の前に置く。
「うん、ありがとう。 えっ! えっ~? 貴方そのリュック何処から持って来たの?」
「ん? 転移されかけてる時に、空間ストレージを開いて出しといた。何があるかわからないからね」
「抜け目無いわね~」
パトリシアは呆れていた。
「それにしても、あ~あ~ ここで空間ストレージが使えればマジックコテージを使って少しは落ち着けたのになぁ~ 嫌になっちゃうわ」
「開かない物はしょうがない、今ある物で何とかするしかね」
パトリシアとカルタックは話しながら持ち物を整理する。
「本当ならさ~ 魔王を倒して、その後に王都に凱旋して王様から沢山お金を貰って、美味しいもの食べて、貴金属買って、お化粧して、綺麗な服着て、いい男に口説かれて最高の幸せを送るはずなのに、今はこれよ~ ガッカリだわ~」
「欲丸出しじゃないか」
「夢と言いなさいよ」
欲望に近い事を言うパトリシアをカルタックはドン引きしていた。
「貴方だって魔王倒したら何かしたい事あるんじゃないの?」
「俺は……。ただ生きれればいい」
カルタックはそう答えた。
「ふ~ん、夢がないのね」
そんな話をしながら持ち物の整理が終了する。
「こんなもんかな」
「持ち物整理できたかしら?」
ビオネッタが状況を聞きにくる。
「食料は簡易食料で数モット持つと思う。ポーションとMPポーションとかあるけど使えるかな?」
「一応、持って行きましょ。飲料水代わりにはなると思うわ」
ビオネッタはそう答えた。
「ミネルヴァ! ランフォードの具合はどう?」
今度はミネルヴァとランフォードの状態を確認する。
「意識は回復したわ、でも打ち身と打撲してるからもう少し休ませた方がいいわね」
「そう、わかったわ。取り敢えずアルバニオンが帰って来るまで食事と身体を休ませましょ」
ランフォード以外の4人は食事を摂り始める。
「干し肉を主食にポーションを飲料水にして、薬草が野菜代わりで食べるなんて私、初めてだわ!」
パトリシアは食事と言えない食事が目の前に置かれ、驚く。
「日持ちの持つ簡易食料なの、我慢してパトリシア」
ビオネッタはパトリシアを否める。
食事をした後、出入り口に見張りを1人置き、交代で身体を休め数時間経つがアルバニオンは帰って来なかった。
「遅いわね、アルバニオン……」
ミネルヴァが出入り口の見張りをしている時に、そう呟やいた。
第3話へと続く
勇者達6名は魔王の使った魔法陣、ディメンションホールにより飛ばされ気を失っていた。
「う、うっ……」
初めに意識を取り戻したのは勇者であるアルバニオンだった。
「ここは何処だ!」
周りを見廻し、何処だか状況判断を始める。
そうしてる間に、起き上がって来たのがパラディンのランフォードだった。
「イテテッ、なんなんだ」
「起きたかランフォード」
アルバニオンはランフォードに声をかける。
「アルバニオン、ここはいったい何処なんだ?」
「わからない、俺も見たことが無い世界だ」
そんな話をしていると今度はフェンサーのビオネッタが起き上がる。
「痛~い、もう最低~ あの魔王今度会ったらボッコボコにしてやるわ!」
「よう、元気か?」
ランフォードが目が覚めたビオネッタに挨拶をする。
「元気じゃ無いわよ、何よ~ ここ?」
次に起き上がって来たのはウィザードのパトリシアとプリーストのミネルヴァだった。
「いた~い、服が汚れちゃったじゃない、最悪よ」
「パトリシア? 今は服よりこの状況を心配した方がいいわ」
起き上がり早々、服の心配するパトリシアとそれに突っ込みを入れるミネルヴァが居た。
「皆んな、起きた様だな」
リーダーであるアルバニオンが6名の生存を確かめる。
「おい、1人いないぞ!」
「カルタックよ!」
ランフォードとビオネッタが騒ぎ出す。
心配になりながら辺りを見廻す。
「ぐぅ~ ぐぅ~ ぐぅ~」
シーフであるカルタックは何故か数リード先で寝ていた。
「おい、こら、カルタック。起き上がれ!」
ランフォードに軽い蹴りを入れられ、起き上がる
ゴス!
「ンガ! 皆さんおはようございます。朝飯ですか?」
「何寝ぼけていやがるんだ、起きやがれ!」
ランフォードに怒され、目を覚ます。
「あれ? ここ何処ですか?」
「知らん! 今、その事でアルバニオンと話をしてる所だ。さっさと来い!」
そうランフォードは言い、カルタックをアルバニオンの所へ連れて行く。
「これで全員いるな! 聞いてくれ、俺達は魔王ザベルドゥーガの魔法陣で何処かの世界に飛ばされてしまった」
「ハイ!」
「なんだ、パトリシア」
パトリシアは挙手してアルバニオンに質問をする。
「なんで異世界ってわかるの?」
「それはだなぁ~ 向こう方向を見てくれ」
全員がアルバニオンの指差す方向を向く。
「あの遠く見える森林だが、あれらの樹々を俺達の世界では存在をしてない樹々なんだ」
「お前程、旅して来た男がか?」
ランフォードが驚く。
「ああっ、俺は10年以上仲間集めに、そして魔王城を探す為に旅をして来た。だが最果てに行ってもこんな樹は存在していなかった」
「へぇ~ そんなに珍しい植物なのねぇ~」
ミネルヴァも興味を持ち、会話に参加する。
「それで、これからどうするの?」
今度はビオネッタが聞いて来た。
「まずは今、現状を知るために各自の持ち物と体調を知りたい。ミネルヴァ、『メディカルケア』で皆んなの状態を調べてくれ」
「わかったわ」
詠唱呪文を唱え始めるが何かがおかしい?
「あれ? なんかおかしいわ! 魔力が貯まらない」
『なんだって?』
皆んなが驚く。
「あれ? あれ? 本当に魔力が集まらないの!」
「そんな馬鹿な事があるかよ、魔力切れか何かだろ?」
ランフォードはミネルヴァがたまに『うっかり』な事をするので、不安ながらに指摘をする。
「本当に、本当に、集まらないの」
「じゃ~ MPポーションを飲んでみなよ」
今度はカルタックが助言をする。
「そうね、そうするわ」
ミネルヴァはMPポーションを出そうと空間ストレージを開こうとするが開かない。
「えっ? あれ? 開かない……」
「また、また~ ミネルヴァたらすぐそう言う冗談をするんだから~」
パトリシアはいつもの冗談と受け取っていた。
「嘘じゃないの、皆んなも確かめてみて!」
ミネルヴァは真面目な顔で仲間達に言う。
全員が『どれどれ』と各々空間ストレージを開こうとするが開かない。
「おい、これやばいぞ! 本当に開かないぞ」
1番大声でランフォードが叫んだ。
その時、上空から何やら怪しい鳥らしき姿がこちらに向かってやって来る。
「おい、何かが飛来してくるぞ!」
目のいい、シーフのカルタックが全員に注意を促す。
「皆んな伏せろ!」
アルバニオンの声と共に全員が伏せる。
大きさ1.8リードもする飛来竜は、叫んでいたランフォードに襲い掛かるが、伏せて居た為に1度飛び去る。
「うんなろ~ ワイバーンかよ」
身を伏せて居たランフォードは対抗しようと起き上がり、いつもの様に攻撃体制をとる。
「おい、辞めろ! あれはワイバーンではない。それにここは魔法が使えないんだぞ!」
「ならスキルを使うまでよ!」
アルバニオンの忠告を無視し、ランフォードは戦う気が満々だった。
獲物を逃した翼竜は再び戻って来てランフォードを襲う。
『シールドバッシュ』
ランフォードお得意のスタン攻撃なのだが、発動はせずに盾ごと飛ばされてしまう。
「ぐあー!」
「ランフォード! おい、救出に行くぞ。カルタック! あいつを飛び道具で追い払え。ビオネッタは俺と一緒にランフォードの救出に向かう」
『OK! 了解!』
3人は伏せていた状態から身を起こし各々の行動をとる。
翼竜は再再度、倒れたランフォードを捕獲する為に遅い掛かる。
「アイツの肉は不味いからこれでも喰らいな!」
そう言って小刀を翼竜に投げつける。
「ギャオー」
小刀は向かってきた翼竜の胸元に刺さり、叫びにながら逃げて行った。
アルバニオンとビオネッタはその隙にランフォードの所に向かい、救出をする。
「おい、ランフォード。しっかりしろ!」
返事が無いランフォードをそのままにする訳にはいかず、体の大きいランフォードを近場の物陰に引きずり隠れる。
「ねぇ~ ランフォード起きなさいよ~ ランフォード!」
ビオネッタが声を掛けても返事がなかった。
アルバニオンは周りを見廻すと丁度いい洞窟がある事に気づく。
「よし、あの洞窟に逃げ込むぞ!」
パーティ6名は洞窟に入りランフォードの意識回復を待つ事にした。
「カルタック! 洞窟の奥に入って安全かどうか確かめてくれ、それと洞窟の外周りにトラップも仕掛けてくれ」
「わかった」
「他の皆んなはランフォードの意識回復に専念してくれ」
「アルバニオンはどうするのよ?」
ビオネッタがアルバニオンに尋ねる。
「こんな所で皆んなして居ても仕方が無い、俺は外回りを調べて来る。もし何かあったらビオネッタ、お前が指揮をしてくれ」
「わかったわ、ただ魔法もスキルも使えないのだから無理はしないで」
「わかっている」
アルバニオンはそう言い残して洞窟から出て行った。
「ミネルヴァ! パトリシア! ランフォードの状態はどう?」
「ただの脳震盪みたい、打ち身はあるけど鎧のお陰でそんなに酷い状態では無いわ」
プリーストであるミネルヴァがそう答える。
「そう。パトリシア! 今いる全員の持ち物を集めて何が使えるか調べて」
「うん、わかった」
ビオネッタの敏速な指示で全員が行動に移る。
数十バルディ後、カルタックは松明を持ち、洞窟奥から帰って来る。
「特に問題は無し、奥で様も足せるぜ。あれ? アルバニオンは?」
「外の状態を調べに行ったわ」
「ふ~ん、無事である事を祈るよ」
軽口を叩いてカルタックは今度は洞窟の出入り口周辺に行き、敵の侵入を防ぐトラップを仕掛けて帰って来た。
「ねぇ、カルタック? 今度はパトリシアと一緒に持ち物整理お願いするわ」
「へい、へい、人使いが荒い事で」
そう言ってパトリシアの所に行き、持ち物整理を手伝う。
「手伝うよ」
『どさっ!』 カルタックは大きなリュックをパトリシアの目の前に置く。
「うん、ありがとう。 えっ! えっ~? 貴方そのリュック何処から持って来たの?」
「ん? 転移されかけてる時に、空間ストレージを開いて出しといた。何があるかわからないからね」
「抜け目無いわね~」
パトリシアは呆れていた。
「それにしても、あ~あ~ ここで空間ストレージが使えればマジックコテージを使って少しは落ち着けたのになぁ~ 嫌になっちゃうわ」
「開かない物はしょうがない、今ある物で何とかするしかね」
パトリシアとカルタックは話しながら持ち物を整理する。
「本当ならさ~ 魔王を倒して、その後に王都に凱旋して王様から沢山お金を貰って、美味しいもの食べて、貴金属買って、お化粧して、綺麗な服着て、いい男に口説かれて最高の幸せを送るはずなのに、今はこれよ~ ガッカリだわ~」
「欲丸出しじゃないか」
「夢と言いなさいよ」
欲望に近い事を言うパトリシアをカルタックはドン引きしていた。
「貴方だって魔王倒したら何かしたい事あるんじゃないの?」
「俺は……。ただ生きれればいい」
カルタックはそう答えた。
「ふ~ん、夢がないのね」
そんな話をしながら持ち物の整理が終了する。
「こんなもんかな」
「持ち物整理できたかしら?」
ビオネッタが状況を聞きにくる。
「食料は簡易食料で数モット持つと思う。ポーションとMPポーションとかあるけど使えるかな?」
「一応、持って行きましょ。飲料水代わりにはなると思うわ」
ビオネッタはそう答えた。
「ミネルヴァ! ランフォードの具合はどう?」
今度はミネルヴァとランフォードの状態を確認する。
「意識は回復したわ、でも打ち身と打撲してるからもう少し休ませた方がいいわね」
「そう、わかったわ。取り敢えずアルバニオンが帰って来るまで食事と身体を休ませましょ」
ランフォード以外の4人は食事を摂り始める。
「干し肉を主食にポーションを飲料水にして、薬草が野菜代わりで食べるなんて私、初めてだわ!」
パトリシアは食事と言えない食事が目の前に置かれ、驚く。
「日持ちの持つ簡易食料なの、我慢してパトリシア」
ビオネッタはパトリシアを否める。
食事をした後、出入り口に見張りを1人置き、交代で身体を休め数時間経つがアルバニオンは帰って来なかった。
「遅いわね、アルバニオン……」
ミネルヴァが出入り口の見張りをしている時に、そう呟やいた。
第3話へと続く
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