駄目な奴でもなんとか生きていこうと思います

アオ

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サヴァリッシュ王国

初訓練

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「あっやっぱりその青似合ってるよ!シヅル」
「ありがと」

今日は待ちに待った初訓練の日。騎士団本部の初訓練の日ということでこれから行うメニューと指導してくださる教官の紹介があった。メニューは持久走や素振り、1週間に一度行われる模擬戦闘等がある。中でも楽しみなのは一ヶ月に一度実施される森へ魔獣の間引きに行く騎士団に同伴できることだ。
僕達が談話していると、青髪の同じ騎士団候補生のひとが話しかけてきた。

「よう、リカーフ。落ちこぼれなのに試験を突破したのか?まあどうやってやったのかは大体予想はつくが。」

リカーフの知り合いかな?にしては嫌な感じだ。なんだろう?リカーフに近づけてはいけない気がする。

「そっちこそ。よく合格したよね。剣あんなに下手なのに。」

リカーフが言うとその人は顔を真っ赤に染め、なにかを言おうとする。

「リカーフ、もう行こう。」

そう言ってリカーフを連れ、その場を急いで離れた。

「味方してくれてありがと。あいつ僕に何かと突っかかってくるんだよね。昔はそんなことなかったんだけど。」
「あたり前だよ。リカーフは僕の…その、大事…だから。」

そう言うと、フワリと花の咲くような顔で笑ってくれた。

素振りの練習の合間に行うペアでの打ち合いをリカーフとやりながら、気になっていた事を聞いてみる。

「そういえば候補生でいられるのっていつまでなんだろ。」
「確か17歳までだった気がする。1年毎に騎士団に正式に入団できるかどうかの試験と騎士団候補生を続けられるかの試験があったよ。」
「えっ17歳!それって18歳になるまでってことだよね」
「たぶん。なんか今関係ある?」
「あるよ!だって僕17歳になったばかりだもん」

そう言うと、一瞬狐につままれてような表情をして大笑いした。

「そんな僕のこと笑わせなくても…。慰めてくれてる?さっきのこと」
「え?えっと慰めたいけど、何も笑わせようとしたわけじゃないよ。」

リカーフが真顔になる。なんか怖い。

「えっ17歳って、もしかして冗談じゃなくてほんと…?」
「うん。見ればわかるでしょ。」 
「ほんと?高く見積もっても14歳ぐらいにしか見えないよ。」

14歳…!?って何年生だ、中学二年生くらい?えっ僕若く見られてる?そんな子供っぽいか?

「14歳じゃなくて17歳ってことはもう成人してる?それをヴァラムフィールド様が知っていたら、こんな男だらけの所帯にいるのを許すわけが…。ってことはヴァラムフィールド様まだお預け食らってるってこと?事実を知らずに。いや、知らないってどういうことだ?番でしょ。いや、あり得ないでしょ。あっでもシヅルのことだし…」

なんだか怖い顔をして一人の世界に入ってしまった。リカーフは何を言ってるんだ?男だらけとかヴァラなんとかってきっとアレフガート様のことだよね。なんだろう。早口すぎて聞き取れない。

「ねぇどうし「そこ!私語は慎め!」」

遠くから教官がさけぶ。僕らに言っていたにちがいない。まずい、静かにやんないと。せっかく合格したのにこんな理由で入って早々追い出されるなんて嫌だ。

「ちゃんとやろ!リカーフ」
「ん…」

しかし、リカーフは心此処にあらずという感じだ。それから中身のない意識がどこかに飛んでいるんじゃないかという程の感じで訓練が終了した。


まだできない居る事を許されているアレフガートさんの屋敷に帰る。入口の荘厳な門をくぐる。いつ見ても大きく芸術的な美しさがある。
騎士団候補生は騎士団本部にある寮を使用することも可能だ。しかし僕はアレフガートさん達に酷く反対されたので諦めた。解せない。
風呂に入り、最早恒例となった彼との食事を終える。自分が借りている部屋に戻り、予想外に疲れた身体を休めるために広いベッドの上に転がった。

「やっぱキツかったな…」
『何がキツかったって?』
「シリル様!」

急に現れたシリル様に驚きつつ、急いで身を起こす。相変わらず神々しい。

『試験突破おめでとう。シヅル。』
「あっありがとうございます。」
『それで騎士団はどお?』
「僕はまだ騎士団候補生ですけど、いい感じだと思います。と、友達もできましたし。」
『友達?』

それから久しぶりに会ったシリル様と互いに近況報告を交わした。

『そういえば伝えるかどうか迷ったんだけど、精霊達が会いたがってたよ。』
「精霊達が…?」
『うん。』
「なんででしょう…」
『寂しいんじゃない?シヅルと会えなくて』
「それじゃあ次の休み、そちらに向かってもいいですか?家の管理を任せっきりで、申し訳ないですし。」

本によると、僕がいた[幻惑の森]には世界でも屈指の多数の珍種がある森とされており、3歩歩けば未だ発見されていない種を発見できるとも述べられていた。
中でも今回欲しいのは特効薬の材料となるヒースの実などだ。森の精霊達にお願いしたら貰えるだろうか。

『なら迎えに行くよ』
「それはちょっと申し訳ない気『迎えに行くよ。僕なら一瞬だしね!』」
「すみません…お願いします。」

辞退しようと思っていたが、何故か食い気味のお迎えの申し出な喜んで応える。遠慮していたとはいえ、助かった。僕が風魔法を駆使して家まで頑張って帰っても時間がかかりすぎる。
次の楽しみができてワクワクしていた僕はリカーフの様子がおかしかった事も頭の片隅へ追いやられてしまい、忘れたまま、眠気に身を任せた。

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