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御狐様に出会う。②
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次の日、私は昨日がん飛ばされたいじめっ子にあのお札を突き出した。
「はい、これでいいでしょ?」
興味深そうにまじまじと見る。結局あの後、私はお札を取り忘れていたことに気づき、気まずい空気の中、札を受け取ったのだった。
やがて、その内の一人が、
「これ、本物?」
と聞いてきたので、
「気になるなら裏明神に行ってくれば?女狐にされても知らないけど。」
と、こっちもがん飛ばしながら言ってみた。すると、ちょっとひるんだ。ついでにもういじめるのはやめろ、とくぎを刺して机に戻ると、
「きよら、かっこいい~!よく裏明神から取ってこれたね?」
「私だったら無理。きよら、頑張ったね。」
萌花と日葵がにこにこしながら撫でてきた。
「うん、まぁこのくらいどうって事ないよ。何も出てこなかったし!」
あえて、神様にあったことは言わないことにしておいた。
「なんかきよら、かっこよくなってる?」
「へ?」
「あ、それ思った!」
…そうだろうか。あまり自覚はなかったが…。
そのまま平穏に事が済んだ…とはいかず、昼休みに事件は起きた。
「きゃああああっ」
事の始まりは女子の悲鳴であった。みんなが教室後方を振り返った。そこには先程のいじめっ子が震えていた。その近くに落ちていたのは、渡したお札だった。
「な、なん…で…。」
私がそのお札を見て…ぞっとした。なかったはずの赤い手形がべったりとついていたからだ。
『この札は剥がしたものに災いをもたらす』
ふと、札を剥がしたときに神様が言った言葉が頭に蘇る。あの時は、ただのいたずらだと思っていた。
(まさか…ね…)
「な、なにこれ…。」
クラスの人たちがざわつきだす。
「き、気持ち悪いよっ…。きよらが渡したとき、なにもなかったよね?」
「う、うん…。」
私たちが青ざめながら話していると、萌花が青ざめつつも冷静に言った。
「…これ、血、じゃない?」
その瞬間、教室中の空気が凍り付いた。
「な、なにそれ、気持ち悪いっ」
「能登原さんが持ってきたんでしょ⁉どうにかしてよ!」
クラスメイトの視線が私に集まる。
「き、きよら…、」
「萌花、いいよ。持ってきたのは私だもん、どうにかしなきゃ。」
「え、大丈夫なの?」
「うん、大丈夫」
私は笑顔を見せる。
(それに…自称神様もいるし)
そんなことを考えていた。…この時は、このお札がどんなに恐ろしいことを招くか、知らなかった。
放課後、私は神社に向かっていた。勿論、札を戻すため。
「…ここの階段を無視して、こっちのわき道を行くんだよね…。」
うろ覚えで行くと、
「…あった!」
階段の上に裏明神の朱色の鳥居が見えた。階段が急で息も上がる。
「あとちょっと…ってうわっ⁉」
足を誰かに掴まれた感覚と共に、階段から落ちる感覚が私を襲った。
(私…死んじゃう…?)
階段に背を打つ…と思いきや、私は温かい何かにふわりと包まれた。
(え…?)
シュル、と衣擦れの音がした。次の瞬間、まばゆい光が差した。
「…あれ?」
気が付くとお堂の前に立っていた。
「大丈夫か?きよら」
聞き覚えのある声がした。
「あ…、自称神様…。」
そう、この神社に祀られた狐の神様だった。
「…自称、だと?」
ぎろ、とこちらを見る。
「…助ける必要はなかったか?」
「わああ、ごめんなさい!」
「…ふふ、冗談だ。だが、これで証明されただろう?僕の言うことが本当だ、ということが。」
腕組してまたお堂の上に座っている。どうやらあれが定位置のようだ。
「ねぇ、このお札なんなの?この手形はなに?本当に災いをもたらすの?」
私が勢いよく攻め入るように言うと、神様はおちつけ、となだめて、
「この札は人間の怨念が詰まっているんだ。」
「…怨念?」
「ああ、『あいつのせいで』、『あいつさえ消えてくれれば』などの人間の汚い感情の塊だ。」
神様は顔をしかめた。
「札を貸してくれないか?」
「あ、うん…。」
渡そうとした瞬間。
―バチバチバチィッ‼
触れようとした神様の手と札の間から火花が散った。
「だ、大丈夫?」
「…このくらいなら赤子でも泣かんだろう。」
そう言い、私の頭を優しく撫でて、
「怖がらせてしまったな。御前は大丈夫か?」
と優しく微笑んだ。不覚にも鼓動が速くなる。
「大丈夫、ちょっと驚いたけど。」
「そうか、良かった。」
神様は私の頭から手を離し、札を見つめた。私も見つめた。
すると、裏明神のお堂の方から、
「…て、助けて…」
掠れた声がした気がした。
「…え?誰…?」
お堂に向くと、なぜだか引っ張られる感覚がした。
「お願い…ここから出して……」
声は続く。
「どうした?」
「これ、戻した方がいいよね…。」
なんだか頭がボーっとする。
「っ、待て!」
神様の声も聞こえず、私は無意識にお堂の前にたった。元の場所にお札を戻そうとすると、
地面から無数の白い手が現れ、私の足首を掴んだ。
「っ、きゃあああああああっ!!!!」
「アイツサエキエレバ…アイツサエキエレバ…」
そう言いながら私の体を地面の方へ引っ張る。体がどんどん地面に沈んでいく。
「嫌だっ…助けて…!神様っ…!」
天へ手を伸ばす。すると、
「―きよらっ」
衣擦れの音がすると同時に、光が差す。
「…マタ、オマエカ…」
気が付くと、白い手は消えていて、私は土にほとんど埋まっていた。
「あ…神様…。」
紺の着物をふわりとなびかせながら、神様は立っていた。
「大丈夫か、きよら…。」
「大丈夫じゃないから呼んだんだよ…。」
私は半泣きだった。初めて、腰が抜けそうになった。これからお化け屋敷入っても、怖がることは絶対にない気がする。神様は私を軽い力ですっと引っ張り出し、地面に立たせた。制服は土まみれだった。
「はぁ…怖かった…。」
「あやつら…まだ懲りていないとはな…。」
神様はお堂に手を置く。そして振り向き、
「ここから先は私が引き受けよう。御前は帰っていいぞ。」
「え…大丈夫なの?」
「大丈夫だ。さぁ、この夜狐様に食べられたくなければ、早く帰れ。」
そう言い、微笑を浮かべた瞬間、桜の花びらが私の視界を埋めた。
「待って、神様…っ」
そうして気が付くと…、
「っ…あれ?」
いつの間にか家の前に立っていた。こうして、私と神様は出会い、普通じゃない日々が始まった。
「はい、これでいいでしょ?」
興味深そうにまじまじと見る。結局あの後、私はお札を取り忘れていたことに気づき、気まずい空気の中、札を受け取ったのだった。
やがて、その内の一人が、
「これ、本物?」
と聞いてきたので、
「気になるなら裏明神に行ってくれば?女狐にされても知らないけど。」
と、こっちもがん飛ばしながら言ってみた。すると、ちょっとひるんだ。ついでにもういじめるのはやめろ、とくぎを刺して机に戻ると、
「きよら、かっこいい~!よく裏明神から取ってこれたね?」
「私だったら無理。きよら、頑張ったね。」
萌花と日葵がにこにこしながら撫でてきた。
「うん、まぁこのくらいどうって事ないよ。何も出てこなかったし!」
あえて、神様にあったことは言わないことにしておいた。
「なんかきよら、かっこよくなってる?」
「へ?」
「あ、それ思った!」
…そうだろうか。あまり自覚はなかったが…。
そのまま平穏に事が済んだ…とはいかず、昼休みに事件は起きた。
「きゃああああっ」
事の始まりは女子の悲鳴であった。みんなが教室後方を振り返った。そこには先程のいじめっ子が震えていた。その近くに落ちていたのは、渡したお札だった。
「な、なん…で…。」
私がそのお札を見て…ぞっとした。なかったはずの赤い手形がべったりとついていたからだ。
『この札は剥がしたものに災いをもたらす』
ふと、札を剥がしたときに神様が言った言葉が頭に蘇る。あの時は、ただのいたずらだと思っていた。
(まさか…ね…)
「な、なにこれ…。」
クラスの人たちがざわつきだす。
「き、気持ち悪いよっ…。きよらが渡したとき、なにもなかったよね?」
「う、うん…。」
私たちが青ざめながら話していると、萌花が青ざめつつも冷静に言った。
「…これ、血、じゃない?」
その瞬間、教室中の空気が凍り付いた。
「な、なにそれ、気持ち悪いっ」
「能登原さんが持ってきたんでしょ⁉どうにかしてよ!」
クラスメイトの視線が私に集まる。
「き、きよら…、」
「萌花、いいよ。持ってきたのは私だもん、どうにかしなきゃ。」
「え、大丈夫なの?」
「うん、大丈夫」
私は笑顔を見せる。
(それに…自称神様もいるし)
そんなことを考えていた。…この時は、このお札がどんなに恐ろしいことを招くか、知らなかった。
放課後、私は神社に向かっていた。勿論、札を戻すため。
「…ここの階段を無視して、こっちのわき道を行くんだよね…。」
うろ覚えで行くと、
「…あった!」
階段の上に裏明神の朱色の鳥居が見えた。階段が急で息も上がる。
「あとちょっと…ってうわっ⁉」
足を誰かに掴まれた感覚と共に、階段から落ちる感覚が私を襲った。
(私…死んじゃう…?)
階段に背を打つ…と思いきや、私は温かい何かにふわりと包まれた。
(え…?)
シュル、と衣擦れの音がした。次の瞬間、まばゆい光が差した。
「…あれ?」
気が付くとお堂の前に立っていた。
「大丈夫か?きよら」
聞き覚えのある声がした。
「あ…、自称神様…。」
そう、この神社に祀られた狐の神様だった。
「…自称、だと?」
ぎろ、とこちらを見る。
「…助ける必要はなかったか?」
「わああ、ごめんなさい!」
「…ふふ、冗談だ。だが、これで証明されただろう?僕の言うことが本当だ、ということが。」
腕組してまたお堂の上に座っている。どうやらあれが定位置のようだ。
「ねぇ、このお札なんなの?この手形はなに?本当に災いをもたらすの?」
私が勢いよく攻め入るように言うと、神様はおちつけ、となだめて、
「この札は人間の怨念が詰まっているんだ。」
「…怨念?」
「ああ、『あいつのせいで』、『あいつさえ消えてくれれば』などの人間の汚い感情の塊だ。」
神様は顔をしかめた。
「札を貸してくれないか?」
「あ、うん…。」
渡そうとした瞬間。
―バチバチバチィッ‼
触れようとした神様の手と札の間から火花が散った。
「だ、大丈夫?」
「…このくらいなら赤子でも泣かんだろう。」
そう言い、私の頭を優しく撫でて、
「怖がらせてしまったな。御前は大丈夫か?」
と優しく微笑んだ。不覚にも鼓動が速くなる。
「大丈夫、ちょっと驚いたけど。」
「そうか、良かった。」
神様は私の頭から手を離し、札を見つめた。私も見つめた。
すると、裏明神のお堂の方から、
「…て、助けて…」
掠れた声がした気がした。
「…え?誰…?」
お堂に向くと、なぜだか引っ張られる感覚がした。
「お願い…ここから出して……」
声は続く。
「どうした?」
「これ、戻した方がいいよね…。」
なんだか頭がボーっとする。
「っ、待て!」
神様の声も聞こえず、私は無意識にお堂の前にたった。元の場所にお札を戻そうとすると、
地面から無数の白い手が現れ、私の足首を掴んだ。
「っ、きゃあああああああっ!!!!」
「アイツサエキエレバ…アイツサエキエレバ…」
そう言いながら私の体を地面の方へ引っ張る。体がどんどん地面に沈んでいく。
「嫌だっ…助けて…!神様っ…!」
天へ手を伸ばす。すると、
「―きよらっ」
衣擦れの音がすると同時に、光が差す。
「…マタ、オマエカ…」
気が付くと、白い手は消えていて、私は土にほとんど埋まっていた。
「あ…神様…。」
紺の着物をふわりとなびかせながら、神様は立っていた。
「大丈夫か、きよら…。」
「大丈夫じゃないから呼んだんだよ…。」
私は半泣きだった。初めて、腰が抜けそうになった。これからお化け屋敷入っても、怖がることは絶対にない気がする。神様は私を軽い力ですっと引っ張り出し、地面に立たせた。制服は土まみれだった。
「はぁ…怖かった…。」
「あやつら…まだ懲りていないとはな…。」
神様はお堂に手を置く。そして振り向き、
「ここから先は私が引き受けよう。御前は帰っていいぞ。」
「え…大丈夫なの?」
「大丈夫だ。さぁ、この夜狐様に食べられたくなければ、早く帰れ。」
そう言い、微笑を浮かべた瞬間、桜の花びらが私の視界を埋めた。
「待って、神様…っ」
そうして気が付くと…、
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