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第01話 始まりは、偶然か必然か……勘の導き
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第01話 始まりは、偶然か必然か……勘の導き
街道を一人歩く冒険者の男。共に旅するものは居ない。
ベテランまではいかないもののそれなりの風格と年齢を感じさせる顔つき。
短く切りそろえた茶色の頭をぽりぽりと掻く。
「……いい天気だ」
少し疲れた表情で男が空を見上げる。彼の深緑の瞳に映る碧い空。
抜けるような雲一つない青空、と言いたいが、そこまで爽快ではない、雲がまばらな、ほどほどの青空が広がっていた。
陽光を浴びて、目を細めながら男は大きく息を吐いた。
「次は何処へ行こうか……そういえば、ここからだとアルガルの街が近いか。ひさしぶりにあっちに向かってもいいかもな」
見えるはずもないアルガルの街の方向らしき森の奥に目を向ける。
「……」
少しだけ遠出する依頼を受け、依頼が終わった後、せっかくなので別の街へ向かおうと思い、気ままに歩き出して数日。
そういえば随分と顔を出していなかったな、と昔の仲間の居た街のことを考える。
果たして無事でいるかどうかも怪しいが、思い立ったが吉日である。
冴えない表情で頬をぽりぽり掻きながら、少し年季の入った背嚢を背負いなおす。
「せっかくだから、行こうか」
気合を入れるようにふんっと踏ん張るように強く息を吐いて歩を進める。
街道を進み森に入る。
そんな彼が不穏な気配を感じたのは森の街道に入ってしばらく進んでからだった。
「……」
ちりちりと首筋の後ろに小さな種火が灯ったように何かの予感が走る。
過去にもあったような、何かを知らせるような独特の感覚。
「何だ……」
呟いて辺りの木々を見回す。
魔物の気配ではないが、何らかの動きがあるような物音が聞こえる。
嫌な予感がした。
かすかに吹く風に言葉が乗って彼の耳に届く。
『刀は取……げとけ、上玉だ……危険だか……』
『……てるよ、とりあ……拠点に運……』
断片的に聞こえてくる声。
距離があるせいか、風に乗って聞こえてくる言葉がはっきりとしないが、どうやら人攫いのようである。
風に乗って言葉が聞こえてくるということは風上か、と当たりをつけつつ、相手に気付かれないように、極力音を立てないようにする。
「……」
勝算は……会話していることを考えると、こっちは一人、相手は複数人であることはあきらかだ。
格好つけても仕方ない、勇気と無謀は違うのだ。
「運がなかったと思って諦めてくれ……」
そう彼……中年冒険者コンセイは呟いたものの、彼は身体を低くし辺りを窺うようにしながら慎重に移動し始めた。
諦めてくれと呟いたものの、じゃあ見なかったことにして彼がすんなりと立ち去れるかというと、コンセイはそれが出来なかった。
顔をしかめながらも、相手の場所を特定しようと森の中を探索する。
「ったく……」
知ってしまった以上何か出来ることがないか、とつい考えてしまうのが彼だった。
それより何より、嫌な予感……首筋の後ろがちりちりと焦げるような感覚がするというのは今までの経験から関わるべきだということを学んでいた。
「……とはいえ、あきらかに相手は複数人だろうし……どうしたものか」
背負いなおしたばかりの背嚢を下ろして何かないかと中を探る。
取り出したのは、何故買ってしまったのか解らない、怪しげなネコ耳族の商人に勧められた商品。
謎の液体がガラス瓶にコルク栓で封じられている。なおかつうっかり抜けないように麻縄でしっかりと縛られていて、いかにも扱い注意な代物。
「魔物ほいほい、たちまち付近の魔物がそこに向かって押し寄せます。使用はくれぐれもご注意を……って物凄く危険なものな気がするんだが……どうして俺は今これを手にしているのか」
『スタンピードにはならないはずですがにゃ、付近の魔物をまとめて集められるので落とし穴にでも使えば狩り放題……のはずですにゃ』
あきらかに目を泳がせてそう説明する商人。これ絶対失敗作だったんじゃないかと思う。
それにおそらくは臭いをでおびきよせるものだろうから、落とし穴だと中身の臭いが広がらなくて思ったような成果が上がらないと思われるので、説明からして間違っている気がするのだが……。
「これが効いてくれれば、その混乱に乗じて攫われた誰かを助けることが出来るかもしれないな……というか、技量差があろうと三人以上を相手に出来るような腕じゃないしな……」
コンセイは無難に、平和に、危険な仕事はそれほどしないで何とか生き延びてきた冒険者である。
腕に自信のない冒険者が無理して危険な依頼を受けたとしても、大抵、碌な事にはならない……ならないのだ。
臆病者と言われようが、このやり方でコンセイは冒険者として生き延びてこれたのだから、人攫いだろうと見て見ぬ振りでやり過ごすのがいいのだろう、と思う。
「でもまあ……やるだけやってみるか」
背嚢を再び背負いなおすと慎重に追跡を再開する。
気付かれてはいけない。
複数人相手に立ち回れるなどとは彼は考えていない。
『魔物ほいほい』を手にしたまま声の流れてきた方に足音を殺しながら距離を詰めていく。
相手も人を担いで移動しているために移動速度はそれほど上がっていないようだ。
とはいえ、落ち葉のある地面を音を立てないように歩くのは困難である。
風で舞う落ち葉の音かなと相手が思ってくれれば良いのだがと半ば祈りながら、極力不用意な音は立てないように慎重に追跡を続けるコンセイ。
「…………ふぅ」
緊張で息が詰まる。
森の中、移動する人影を捉える事が出来た。
「油断するなよ、コンセイ」
自分を鼓舞するように口の中だけで呟き、さらに距離を詰めつつ、人影を追う。
幸いなことに相手が人攫いを成功させて油断していたためか、尾行に気付かれることはなかった。
やがて集団は森の奥の小さな洞窟に辿り着く。
どうやら、ここを拠点にしているようである。
「……さて、何人いるのやら」
『魔物ほいほい』を握り締めて、洞窟の傍まで慎重に移動する。
おそらく見張りも居ることだろうから、気付かれないように気配を殺しながら動く。
何とか洞窟の様子を窺ったコンセイは息を飲んだ。
「これは……」
洞窟の中には五人以上の人攫いがたむろしていたのである。
攫ってきた人物--どうやら少女らしいが、彼女を降ろして、楽しそうに会話していた。
「見ろよ、この武器、刀? とかいうやつだろう」
少女の腰から武器を抜き取って嬉しそうに掲げる人攫いの一人。
「ってことはこの女、サムライか? 今は眠っているがそれはやっかいだな。しっかりと躾けられるまでは縄で縛っておくか」
サムライの者は戦闘力が高いことで有名である。
数は多くないが、冒険者ギルドでも噂になる程度に彼らの強さというのは理解されていた。
人攫いが警戒するのも無理はない。
「裸に剥いてから縛ろうぜ」
相手が女性、少女ということもあり、下種な提案がなされる。
「……それもいいが、肌を傷つけて商品価値を下げるのも不味い。とりあえず服の上から逃げられないように縛っとけ」
リーダーらしき男は、提案を受けようかどうか思案して、却下する。
おそらくサムライが女性で若いということもあって、そこまでの脅威にならないと判断したのだろう。
「あいよー」
そういって、侍少女は身体を縄でぐるぐると縛られる。
強い薬を嗅がされたのか、雑な手つきにも関わらず一向に起きる気配はなかった。
「うひょー、服の上からでもおっぱいのやわからかさはなかなかなものだって解るぜ。こりゃ今夜が楽しみだ」
縄で縛っていた男は途中で役得とばかり意識のない侍少女の胸を揉んで喜びの声を上げていた。
「余計なことはすんな、どうせあとでさんざん堪能するんだろう」
「まあ、そうだけどよー、ちょっとだけ味見だよ味見」
胸を揉む仕草をたしなめてきた男にしてみせて笑う役得男。
「……」
まだ攫われた少女は無事なようだが、今夜のうちから色々よからぬことになるようだ。
肌に傷がついたら不味いということから、薬漬けにして快楽で溺れさせて売ったりするのかもしれない。
「五人以上相手に勝ち目はないよな……」
コンセイは洞窟を窺っていたが、そっと離れた。
「となると、これが効くか効かないか、だけだな」
コンセイは洞窟の入り口からちょっと離れた風上のところで、『魔物ほいほい』が入っていた瓶の縄を解いて、コルク蓋を抜いて辺りに中身をぶちまけた。
何ともいえない臭いが広がる。
「……ともかく移動しよう」
臭いにつられて魔物が来るという話だったので、いつまでもここに留まっている訳にもいかない。
コンセイは、洞窟から距離を取って大回りをしつつ、反対側へ向かった。
多少の物音は気にしないで一刻も早く移動しないと。
女商人はこうも言っていたのだ。
『即効性ですから、気をつけたほうがいいですにゃ。うっかり開けたらただちにその場から立ち去ることをお勧めしますにゃ……たぶん』
実際の効果は仕入れの際に確かめなかったので、どこまでか解らないと、商人としていい加減な感じだが……効いてくれと祈るような気持ちで森に身を隠しつつぐるりと移動する。
『魔物ほいほい』をぶちまけたところから洞窟を挟んで反対側にコンセイは移動すると気配を殺して身を潜めた。
効果のほどはいかに、と思っていたが、予想以上に反応は早かった。
地揺れのような細かな振動が、身を伏せているコンセイに伝わってくる。
「……おいおい……」
気付かれてしまう危険性だってあるのに思わず声が漏れる。
風下から土煙を巻き上げる勢いで魔物たちが襲来してきていた。
街道を一人歩く冒険者の男。共に旅するものは居ない。
ベテランまではいかないもののそれなりの風格と年齢を感じさせる顔つき。
短く切りそろえた茶色の頭をぽりぽりと掻く。
「……いい天気だ」
少し疲れた表情で男が空を見上げる。彼の深緑の瞳に映る碧い空。
抜けるような雲一つない青空、と言いたいが、そこまで爽快ではない、雲がまばらな、ほどほどの青空が広がっていた。
陽光を浴びて、目を細めながら男は大きく息を吐いた。
「次は何処へ行こうか……そういえば、ここからだとアルガルの街が近いか。ひさしぶりにあっちに向かってもいいかもな」
見えるはずもないアルガルの街の方向らしき森の奥に目を向ける。
「……」
少しだけ遠出する依頼を受け、依頼が終わった後、せっかくなので別の街へ向かおうと思い、気ままに歩き出して数日。
そういえば随分と顔を出していなかったな、と昔の仲間の居た街のことを考える。
果たして無事でいるかどうかも怪しいが、思い立ったが吉日である。
冴えない表情で頬をぽりぽり掻きながら、少し年季の入った背嚢を背負いなおす。
「せっかくだから、行こうか」
気合を入れるようにふんっと踏ん張るように強く息を吐いて歩を進める。
街道を進み森に入る。
そんな彼が不穏な気配を感じたのは森の街道に入ってしばらく進んでからだった。
「……」
ちりちりと首筋の後ろに小さな種火が灯ったように何かの予感が走る。
過去にもあったような、何かを知らせるような独特の感覚。
「何だ……」
呟いて辺りの木々を見回す。
魔物の気配ではないが、何らかの動きがあるような物音が聞こえる。
嫌な予感がした。
かすかに吹く風に言葉が乗って彼の耳に届く。
『刀は取……げとけ、上玉だ……危険だか……』
『……てるよ、とりあ……拠点に運……』
断片的に聞こえてくる声。
距離があるせいか、風に乗って聞こえてくる言葉がはっきりとしないが、どうやら人攫いのようである。
風に乗って言葉が聞こえてくるということは風上か、と当たりをつけつつ、相手に気付かれないように、極力音を立てないようにする。
「……」
勝算は……会話していることを考えると、こっちは一人、相手は複数人であることはあきらかだ。
格好つけても仕方ない、勇気と無謀は違うのだ。
「運がなかったと思って諦めてくれ……」
そう彼……中年冒険者コンセイは呟いたものの、彼は身体を低くし辺りを窺うようにしながら慎重に移動し始めた。
諦めてくれと呟いたものの、じゃあ見なかったことにして彼がすんなりと立ち去れるかというと、コンセイはそれが出来なかった。
顔をしかめながらも、相手の場所を特定しようと森の中を探索する。
「ったく……」
知ってしまった以上何か出来ることがないか、とつい考えてしまうのが彼だった。
それより何より、嫌な予感……首筋の後ろがちりちりと焦げるような感覚がするというのは今までの経験から関わるべきだということを学んでいた。
「……とはいえ、あきらかに相手は複数人だろうし……どうしたものか」
背負いなおしたばかりの背嚢を下ろして何かないかと中を探る。
取り出したのは、何故買ってしまったのか解らない、怪しげなネコ耳族の商人に勧められた商品。
謎の液体がガラス瓶にコルク栓で封じられている。なおかつうっかり抜けないように麻縄でしっかりと縛られていて、いかにも扱い注意な代物。
「魔物ほいほい、たちまち付近の魔物がそこに向かって押し寄せます。使用はくれぐれもご注意を……って物凄く危険なものな気がするんだが……どうして俺は今これを手にしているのか」
『スタンピードにはならないはずですがにゃ、付近の魔物をまとめて集められるので落とし穴にでも使えば狩り放題……のはずですにゃ』
あきらかに目を泳がせてそう説明する商人。これ絶対失敗作だったんじゃないかと思う。
それにおそらくは臭いをでおびきよせるものだろうから、落とし穴だと中身の臭いが広がらなくて思ったような成果が上がらないと思われるので、説明からして間違っている気がするのだが……。
「これが効いてくれれば、その混乱に乗じて攫われた誰かを助けることが出来るかもしれないな……というか、技量差があろうと三人以上を相手に出来るような腕じゃないしな……」
コンセイは無難に、平和に、危険な仕事はそれほどしないで何とか生き延びてきた冒険者である。
腕に自信のない冒険者が無理して危険な依頼を受けたとしても、大抵、碌な事にはならない……ならないのだ。
臆病者と言われようが、このやり方でコンセイは冒険者として生き延びてこれたのだから、人攫いだろうと見て見ぬ振りでやり過ごすのがいいのだろう、と思う。
「でもまあ……やるだけやってみるか」
背嚢を再び背負いなおすと慎重に追跡を再開する。
気付かれてはいけない。
複数人相手に立ち回れるなどとは彼は考えていない。
『魔物ほいほい』を手にしたまま声の流れてきた方に足音を殺しながら距離を詰めていく。
相手も人を担いで移動しているために移動速度はそれほど上がっていないようだ。
とはいえ、落ち葉のある地面を音を立てないように歩くのは困難である。
風で舞う落ち葉の音かなと相手が思ってくれれば良いのだがと半ば祈りながら、極力不用意な音は立てないように慎重に追跡を続けるコンセイ。
「…………ふぅ」
緊張で息が詰まる。
森の中、移動する人影を捉える事が出来た。
「油断するなよ、コンセイ」
自分を鼓舞するように口の中だけで呟き、さらに距離を詰めつつ、人影を追う。
幸いなことに相手が人攫いを成功させて油断していたためか、尾行に気付かれることはなかった。
やがて集団は森の奥の小さな洞窟に辿り着く。
どうやら、ここを拠点にしているようである。
「……さて、何人いるのやら」
『魔物ほいほい』を握り締めて、洞窟の傍まで慎重に移動する。
おそらく見張りも居ることだろうから、気付かれないように気配を殺しながら動く。
何とか洞窟の様子を窺ったコンセイは息を飲んだ。
「これは……」
洞窟の中には五人以上の人攫いがたむろしていたのである。
攫ってきた人物--どうやら少女らしいが、彼女を降ろして、楽しそうに会話していた。
「見ろよ、この武器、刀? とかいうやつだろう」
少女の腰から武器を抜き取って嬉しそうに掲げる人攫いの一人。
「ってことはこの女、サムライか? 今は眠っているがそれはやっかいだな。しっかりと躾けられるまでは縄で縛っておくか」
サムライの者は戦闘力が高いことで有名である。
数は多くないが、冒険者ギルドでも噂になる程度に彼らの強さというのは理解されていた。
人攫いが警戒するのも無理はない。
「裸に剥いてから縛ろうぜ」
相手が女性、少女ということもあり、下種な提案がなされる。
「……それもいいが、肌を傷つけて商品価値を下げるのも不味い。とりあえず服の上から逃げられないように縛っとけ」
リーダーらしき男は、提案を受けようかどうか思案して、却下する。
おそらくサムライが女性で若いということもあって、そこまでの脅威にならないと判断したのだろう。
「あいよー」
そういって、侍少女は身体を縄でぐるぐると縛られる。
強い薬を嗅がされたのか、雑な手つきにも関わらず一向に起きる気配はなかった。
「うひょー、服の上からでもおっぱいのやわからかさはなかなかなものだって解るぜ。こりゃ今夜が楽しみだ」
縄で縛っていた男は途中で役得とばかり意識のない侍少女の胸を揉んで喜びの声を上げていた。
「余計なことはすんな、どうせあとでさんざん堪能するんだろう」
「まあ、そうだけどよー、ちょっとだけ味見だよ味見」
胸を揉む仕草をたしなめてきた男にしてみせて笑う役得男。
「……」
まだ攫われた少女は無事なようだが、今夜のうちから色々よからぬことになるようだ。
肌に傷がついたら不味いということから、薬漬けにして快楽で溺れさせて売ったりするのかもしれない。
「五人以上相手に勝ち目はないよな……」
コンセイは洞窟を窺っていたが、そっと離れた。
「となると、これが効くか効かないか、だけだな」
コンセイは洞窟の入り口からちょっと離れた風上のところで、『魔物ほいほい』が入っていた瓶の縄を解いて、コルク蓋を抜いて辺りに中身をぶちまけた。
何ともいえない臭いが広がる。
「……ともかく移動しよう」
臭いにつられて魔物が来るという話だったので、いつまでもここに留まっている訳にもいかない。
コンセイは、洞窟から距離を取って大回りをしつつ、反対側へ向かった。
多少の物音は気にしないで一刻も早く移動しないと。
女商人はこうも言っていたのだ。
『即効性ですから、気をつけたほうがいいですにゃ。うっかり開けたらただちにその場から立ち去ることをお勧めしますにゃ……たぶん』
実際の効果は仕入れの際に確かめなかったので、どこまでか解らないと、商人としていい加減な感じだが……効いてくれと祈るような気持ちで森に身を隠しつつぐるりと移動する。
『魔物ほいほい』をぶちまけたところから洞窟を挟んで反対側にコンセイは移動すると気配を殺して身を潜めた。
効果のほどはいかに、と思っていたが、予想以上に反応は早かった。
地揺れのような細かな振動が、身を伏せているコンセイに伝わってくる。
「……おいおい……」
気付かれてしまう危険性だってあるのに思わず声が漏れる。
風下から土煙を巻き上げる勢いで魔物たちが襲来してきていた。
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