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第肆刷 一歩後ろ
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芥川と出会い、不思議な体験をした翌日。
僕はいつも通りに学校へと登校していた。
昨日の出来事はきっと何か悪い夢で実際には何もなかった。そう信じているのだが、どうにも昨日の記憶が新鮮で、未だに五感はあの出来事を事実であると訴えかけている。
そして今日もただ一人。ぼーっとしながら小説を読んでいた。
そして、朝礼開始を告げる振鈴が鳴るとほぼ同時に担任教師が教室に入ってきた。
「お前ら全員いるな。今日はみんなに大切な知らせがある」
軽く出欠確認をした後に先生がそう切り出した。
「それじゃあ入ってくれ」
その言葉に教室がわく。「転校生か!」「女子だと嬉しいな」といった声があちらこちらから聞こえてくる。
「静かに!彼女は坂口 真琴。これからこのクラスの一員となる。それじゃあ自己紹介を」
先生の隣に立つのは低身長の物静かそうな女子というよりも女の子といった表現のほうがよく似合いそうな人だった。
「坂口真琴です。趣味は小説を読むことです。いろんなものに興味があるので、気軽に話しかけてください。」
ショートカットにきれいな笑顔が映える。
クラス中からひそひとと話し声が聞こえてくる。
「それじゃあ、坂口の席は…津田の隣だな。まあ、みんな仲良くしてあげてくれ。それじゃあ以上で朝礼を終わる。日直、挨拶を」
「きりーつ。きおつけー。やすめー。れい」
「「「ありがとうございました」」」
朝礼が終わり、1限の準備時間になる。
転校生が来れば起きるテンプレ行事として、転校生への質問攻めが行われるわけだが、当然それは僕たちのクラスでも発生した。
ただ隣に座っているだけ。それだけなのだが、隣がうるさいとどうにも本に集中できない。
非常に迷惑だ。
1限の開始を告げる本鈴が鳴り隣の騒音も落ち着いた。
すると、今度は騒音の中心にあった坂口が僕に話しかけてくる。
「貴方が綾人君だよ?」
「そうだけど?」
「じゃあ。昨日、美緒ちゃんに会った?」
「美緒?」
「あれ?芥川美緒。会ってない?」
一瞬誰のことかと思ったが、その特徴的な名字を聞いた瞬間やっと誰のことか気が付いた。
「ああ。あったが?」
「よかった。っていうことは美緒ちゃんからいろいろきいてるよね?」
「待て待て。話が飛びすぎだ。まず君は何者なんだ?」
「あ!ごめんごめん自己紹介がまだだったね。あたしは坂口真琴。名字でわかると思うけど、坂口安吾の孫だよ」
「坂口安吾ってあの『白痴』で有名な小説家か?」
「そそ。その坂口安吾であってるよ。で、本題だけど、君の曽祖父が太宰治って話は本当?」
「ああ。そうだ」
「じゃあ、君もリテラリストなんだよね?」
どうやら僕は面倒ごとに巻き込まれるのが得意らしい。こんなことなら自分だけ引っ越さずにあの書斎で一生を終えたほうがましだったかもしれない。
しかし、昨日起きたことが事実だというのなら、僕は立派なリテラリストとやらになったことになる。
「そうだ」
ぼくは否定をすることができなかった。
「じゃあ、美緒ちゃんに言われた通り進めるね」
「言われた通り?」
「うん。まず君の曽祖父について」
「太宰治のことか?」
「そう。彼はね、私たちみたいなリテラリストが所属している組織、綴会から追放されたんだ」
「まて。情報量が多すぎる。一つ一つ詳しく説明してくれないか?」
綴会?追放?なんのことだ?
「ごめんごめん。まず綴会についてね。綴会はリテラリストを集めて、邪言やその他の脅威に抵抗するための組織なの。そして君の曽祖父はその綴会を追放された。これでわかりそう?」
「ある程度流れは読めたが、僕の曽祖父はなぜ追放されたんだ?そしてなぜ僕に今そのことを?」
「君の曽祖父、太宰治はね綴会を裏切り、禁忌を手にした。君はその禁忌について調べる上での鍵なの」
また情報量が増え、急速に僕の脳の容量を奪っていく。
「禁忌?鍵?君は何を言ってるんだ。昨日のことといい、僕の周りには中二病しかいないのか?」
「まあ、それはこれから分かっていく話だから今は気にしないでもいいよ」
そんなことを言われたって納得できるわけがない。僕の身には何が起こているというのだ?
「あと、今日の放課後。校門の前で待ってて。ついてきてほしいところがあるから」
「は?」
その後、坂口が僕に話しかけてくることはなかった。1日中、休み時間になれば隣が騒がしくなり、とても小説どころの騒ぎではなくなる。それが1日中続いた。
終礼が終わり、1限の時に言われたことを思い出した僕は一応、校門の前で待つことにした。
「あれ、君のほうが先に来るなんてね雫君」
校門の前では見慣れた影が立っていた。芥川美緒。僕をこの摩訶不思議な世界へと連れ込んだ張本人だ。
「ここで待つことを選択したってことは真琴はうまいことやったっぽいね」
「うまいことやったかどうかは知らないが、僕はここで待つことを選んだ。ただそれだけだ」
「へいへい。そうですかそうですか。素直になればいいのに」
数分待つと、坂口が小走りでこちらへやってきた。
「待たせちゃってごめん!」
「別にいいよ。それより、3人揃ったわけだし行こうか」
「行くってどこにだ?」
「まあ、気にせず気にせず~」
僕は心の中に疑問を抱えながら、2人の一歩後ろを歩くことを選択した。
僕はいつも通りに学校へと登校していた。
昨日の出来事はきっと何か悪い夢で実際には何もなかった。そう信じているのだが、どうにも昨日の記憶が新鮮で、未だに五感はあの出来事を事実であると訴えかけている。
そして今日もただ一人。ぼーっとしながら小説を読んでいた。
そして、朝礼開始を告げる振鈴が鳴るとほぼ同時に担任教師が教室に入ってきた。
「お前ら全員いるな。今日はみんなに大切な知らせがある」
軽く出欠確認をした後に先生がそう切り出した。
「それじゃあ入ってくれ」
その言葉に教室がわく。「転校生か!」「女子だと嬉しいな」といった声があちらこちらから聞こえてくる。
「静かに!彼女は坂口 真琴。これからこのクラスの一員となる。それじゃあ自己紹介を」
先生の隣に立つのは低身長の物静かそうな女子というよりも女の子といった表現のほうがよく似合いそうな人だった。
「坂口真琴です。趣味は小説を読むことです。いろんなものに興味があるので、気軽に話しかけてください。」
ショートカットにきれいな笑顔が映える。
クラス中からひそひとと話し声が聞こえてくる。
「それじゃあ、坂口の席は…津田の隣だな。まあ、みんな仲良くしてあげてくれ。それじゃあ以上で朝礼を終わる。日直、挨拶を」
「きりーつ。きおつけー。やすめー。れい」
「「「ありがとうございました」」」
朝礼が終わり、1限の準備時間になる。
転校生が来れば起きるテンプレ行事として、転校生への質問攻めが行われるわけだが、当然それは僕たちのクラスでも発生した。
ただ隣に座っているだけ。それだけなのだが、隣がうるさいとどうにも本に集中できない。
非常に迷惑だ。
1限の開始を告げる本鈴が鳴り隣の騒音も落ち着いた。
すると、今度は騒音の中心にあった坂口が僕に話しかけてくる。
「貴方が綾人君だよ?」
「そうだけど?」
「じゃあ。昨日、美緒ちゃんに会った?」
「美緒?」
「あれ?芥川美緒。会ってない?」
一瞬誰のことかと思ったが、その特徴的な名字を聞いた瞬間やっと誰のことか気が付いた。
「ああ。あったが?」
「よかった。っていうことは美緒ちゃんからいろいろきいてるよね?」
「待て待て。話が飛びすぎだ。まず君は何者なんだ?」
「あ!ごめんごめん自己紹介がまだだったね。あたしは坂口真琴。名字でわかると思うけど、坂口安吾の孫だよ」
「坂口安吾ってあの『白痴』で有名な小説家か?」
「そそ。その坂口安吾であってるよ。で、本題だけど、君の曽祖父が太宰治って話は本当?」
「ああ。そうだ」
「じゃあ、君もリテラリストなんだよね?」
どうやら僕は面倒ごとに巻き込まれるのが得意らしい。こんなことなら自分だけ引っ越さずにあの書斎で一生を終えたほうがましだったかもしれない。
しかし、昨日起きたことが事実だというのなら、僕は立派なリテラリストとやらになったことになる。
「そうだ」
ぼくは否定をすることができなかった。
「じゃあ、美緒ちゃんに言われた通り進めるね」
「言われた通り?」
「うん。まず君の曽祖父について」
「太宰治のことか?」
「そう。彼はね、私たちみたいなリテラリストが所属している組織、綴会から追放されたんだ」
「まて。情報量が多すぎる。一つ一つ詳しく説明してくれないか?」
綴会?追放?なんのことだ?
「ごめんごめん。まず綴会についてね。綴会はリテラリストを集めて、邪言やその他の脅威に抵抗するための組織なの。そして君の曽祖父はその綴会を追放された。これでわかりそう?」
「ある程度流れは読めたが、僕の曽祖父はなぜ追放されたんだ?そしてなぜ僕に今そのことを?」
「君の曽祖父、太宰治はね綴会を裏切り、禁忌を手にした。君はその禁忌について調べる上での鍵なの」
また情報量が増え、急速に僕の脳の容量を奪っていく。
「禁忌?鍵?君は何を言ってるんだ。昨日のことといい、僕の周りには中二病しかいないのか?」
「まあ、それはこれから分かっていく話だから今は気にしないでもいいよ」
そんなことを言われたって納得できるわけがない。僕の身には何が起こているというのだ?
「あと、今日の放課後。校門の前で待ってて。ついてきてほしいところがあるから」
「は?」
その後、坂口が僕に話しかけてくることはなかった。1日中、休み時間になれば隣が騒がしくなり、とても小説どころの騒ぎではなくなる。それが1日中続いた。
終礼が終わり、1限の時に言われたことを思い出した僕は一応、校門の前で待つことにした。
「あれ、君のほうが先に来るなんてね雫君」
校門の前では見慣れた影が立っていた。芥川美緒。僕をこの摩訶不思議な世界へと連れ込んだ張本人だ。
「ここで待つことを選択したってことは真琴はうまいことやったっぽいね」
「うまいことやったかどうかは知らないが、僕はここで待つことを選んだ。ただそれだけだ」
「へいへい。そうですかそうですか。素直になればいいのに」
数分待つと、坂口が小走りでこちらへやってきた。
「待たせちゃってごめん!」
「別にいいよ。それより、3人揃ったわけだし行こうか」
「行くってどこにだ?」
「まあ、気にせず気にせず~」
僕は心の中に疑問を抱えながら、2人の一歩後ろを歩くことを選択した。
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