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プロローグ
4.「……やめるか?」
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「んんっ、ぁ、だめ、やめぇ……んちゅ、ふぁあ……っ」
熱と唾液を纏った舌が、俺の口の中を動いて、奥に引っ込んでいた舌を強引に引きずり出す。両耳塞がれて、くちゅくちゅと舌が唾液をかき回している音が、脳まで響く。したべろ同士の擦り付けだけじゃなくて、頬の粘膜とか、上顎とかを舐められて、舌で口の中全体を愛撫されている。腹とか首筋とか、口の中だけじゃなくて全身が火照ってきて、
――こいつ、うま、い……――。
それを認めた時には、俺はかくっと腰砕けになってしまって、股の間に差し出されたエルドの腿に支えられることになった。
俺が思わず縋るように彼の両腕にしがみ付く。
Embrace -肉体の存在確認- 攻撃力+10%上昇 MPの共有が可能になります
「ぁ、んっ……」
エルドの腿に、その、ちょっとだけ熱を持った俺のアレがふにゅっ、っと触れて、硬い腿の感触が気持ちよくて、上ずった声が出てしまう。こんな声、出たことない。ばくばくと心臓が跳ねあがる。
なんか画面に出ていたけれど、確認する余裕なんてない。恥ずかしい、死にたい。もうログアウトしたい。消えていなくなりたい。エルドへの威嚇も込めて唸りながら、メニュー画面を開いて、アモルスキルリンク中の為、ログアウトはできませんの表示を見て、泣きたくなる。
なんで俺はただゲームをやるためだけに、初めて会った男とキスをして、股間を腿に擦り付けて女みたいな声出してんだ。
俯いて、エルドの鎧に額を押し付けていると、上から溜息に似た呼吸が落ちてくる。
「A.S.Lは――こういった性的な行為をこなしていくことがバフを受ける条件になる。……分かっただろ。このゲームは、"そういうゲーム"なんだよ」
股から太腿が抜けて、ずるずると俺は光を失った円環に膝をつく。エルドは俺の両腕を支えて、ゆっくりと下ろしながらメインシステムの説明をした。優しくてむかつく。慣れているのが分かる。というか、上手い理由が分かった。俺は頭の上にのせられていたヴェールを下ろして、エルドに顔を見られないようにする。
このゲームをやり込んでいる、ということは、毎回マッチしたプレイヤーと、こういうことを毎日、毎回、しているってことだ。
「……ヤリチン」 「んぐ――否定、は、……しない……」
出来ないだろう。それは、冒険者ランキングが物語っている。
「あぁああぁああぁ~~~成人向けって、グロとか、犯罪許容とかさぁ、そういう方向だと思ってたよ……!」
男とのちゅーで勃起しかけたのも悔しいし恥ずかしいし、未だに中古価格が下がらないのを理由にフルプライスで買ったゲームがリア充か出会い厨のためのゲームだったことがショック過ぎて、俺は頭を抱えて蹲る。
「誰もこのゲームを完全初見プレイしようと思わないって。しかも、説明のあるムービー全スキップしたんだろ? そこで見てりゃ、まだ引き返せたのに……」
ぐさぐさとエルドの言葉が突き刺さる。くそ、こいつ、短剣も装備してやがんのか。でも、今までのキスとか、ハグとか、俺は怒れる立場じゃない。だって、きっと彼は、そういうゲームだと理解しているプレイヤーとこういうコトをするのが今までの当たり前だったろうから、彼の言う通り、ゲームのシステムを理解していなかった自分が悪い。
「……やめるか?」
エルドが立ち上がった気配に、俺は顔を上げる。メニュー画面を表示したようで、虚空を指でタッチしている。ログアウトをするか、ペアを解除するかの画面を出しているのだろう。
「俺は、あんたの目的だった、このゲームのダンジョンや、クエストが好きで続けているのもある。――せっかく、嫌な思いをしてスキルリンクしたんだから、ログアウトする前にチュートリアルダンジョンだけでも一緒にどうだ?」
やめる、という前に、不器用に微笑まれて、ぐぅ、と息がつまってしまう。向こうももしかしたら俺がここまで考えなしで、しかも拒絶が凄かったから嫌だったかもしれないのに。なんだか負けた気分になって、その気持ちのまま落ちるのが癇に障って、俺は立ち上がる。同じ男同士、負けたくない。ローブについた埃を払った。
――一応、確認しよう。
「エルドさんの中身、って、男だよな……?」
「ああ」
良かった……? 女性にキスされて勃起して支えられるのも、それはそれで股間は正直すぎるし、男として惨めな気がした。
「このランダムマッチって、その、同性でもマッチングするんだな……」
俺の言葉に、ぴくりとエルドの眉が動いた。それからアームガードのついた掌を唇に押し当てて、くぐもった声を出す。
「――最初に設定が出来るんだよ……」
流石に反省した。今後、ゲームの仕様はある程度調べてからプレイしよう。
熱と唾液を纏った舌が、俺の口の中を動いて、奥に引っ込んでいた舌を強引に引きずり出す。両耳塞がれて、くちゅくちゅと舌が唾液をかき回している音が、脳まで響く。したべろ同士の擦り付けだけじゃなくて、頬の粘膜とか、上顎とかを舐められて、舌で口の中全体を愛撫されている。腹とか首筋とか、口の中だけじゃなくて全身が火照ってきて、
――こいつ、うま、い……――。
それを認めた時には、俺はかくっと腰砕けになってしまって、股の間に差し出されたエルドの腿に支えられることになった。
俺が思わず縋るように彼の両腕にしがみ付く。
Embrace -肉体の存在確認- 攻撃力+10%上昇 MPの共有が可能になります
「ぁ、んっ……」
エルドの腿に、その、ちょっとだけ熱を持った俺のアレがふにゅっ、っと触れて、硬い腿の感触が気持ちよくて、上ずった声が出てしまう。こんな声、出たことない。ばくばくと心臓が跳ねあがる。
なんか画面に出ていたけれど、確認する余裕なんてない。恥ずかしい、死にたい。もうログアウトしたい。消えていなくなりたい。エルドへの威嚇も込めて唸りながら、メニュー画面を開いて、アモルスキルリンク中の為、ログアウトはできませんの表示を見て、泣きたくなる。
なんで俺はただゲームをやるためだけに、初めて会った男とキスをして、股間を腿に擦り付けて女みたいな声出してんだ。
俯いて、エルドの鎧に額を押し付けていると、上から溜息に似た呼吸が落ちてくる。
「A.S.Lは――こういった性的な行為をこなしていくことがバフを受ける条件になる。……分かっただろ。このゲームは、"そういうゲーム"なんだよ」
股から太腿が抜けて、ずるずると俺は光を失った円環に膝をつく。エルドは俺の両腕を支えて、ゆっくりと下ろしながらメインシステムの説明をした。優しくてむかつく。慣れているのが分かる。というか、上手い理由が分かった。俺は頭の上にのせられていたヴェールを下ろして、エルドに顔を見られないようにする。
このゲームをやり込んでいる、ということは、毎回マッチしたプレイヤーと、こういうことを毎日、毎回、しているってことだ。
「……ヤリチン」 「んぐ――否定、は、……しない……」
出来ないだろう。それは、冒険者ランキングが物語っている。
「あぁああぁああぁ~~~成人向けって、グロとか、犯罪許容とかさぁ、そういう方向だと思ってたよ……!」
男とのちゅーで勃起しかけたのも悔しいし恥ずかしいし、未だに中古価格が下がらないのを理由にフルプライスで買ったゲームがリア充か出会い厨のためのゲームだったことがショック過ぎて、俺は頭を抱えて蹲る。
「誰もこのゲームを完全初見プレイしようと思わないって。しかも、説明のあるムービー全スキップしたんだろ? そこで見てりゃ、まだ引き返せたのに……」
ぐさぐさとエルドの言葉が突き刺さる。くそ、こいつ、短剣も装備してやがんのか。でも、今までのキスとか、ハグとか、俺は怒れる立場じゃない。だって、きっと彼は、そういうゲームだと理解しているプレイヤーとこういうコトをするのが今までの当たり前だったろうから、彼の言う通り、ゲームのシステムを理解していなかった自分が悪い。
「……やめるか?」
エルドが立ち上がった気配に、俺は顔を上げる。メニュー画面を表示したようで、虚空を指でタッチしている。ログアウトをするか、ペアを解除するかの画面を出しているのだろう。
「俺は、あんたの目的だった、このゲームのダンジョンや、クエストが好きで続けているのもある。――せっかく、嫌な思いをしてスキルリンクしたんだから、ログアウトする前にチュートリアルダンジョンだけでも一緒にどうだ?」
やめる、という前に、不器用に微笑まれて、ぐぅ、と息がつまってしまう。向こうももしかしたら俺がここまで考えなしで、しかも拒絶が凄かったから嫌だったかもしれないのに。なんだか負けた気分になって、その気持ちのまま落ちるのが癇に障って、俺は立ち上がる。同じ男同士、負けたくない。ローブについた埃を払った。
――一応、確認しよう。
「エルドさんの中身、って、男だよな……?」
「ああ」
良かった……? 女性にキスされて勃起して支えられるのも、それはそれで股間は正直すぎるし、男として惨めな気がした。
「このランダムマッチって、その、同性でもマッチングするんだな……」
俺の言葉に、ぴくりとエルドの眉が動いた。それからアームガードのついた掌を唇に押し当てて、くぐもった声を出す。
「――最初に設定が出来るんだよ……」
流石に反省した。今後、ゲームの仕様はある程度調べてからプレイしよう。
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