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第二章

嫌な奴だという事は分かった

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 マルティナの名前を聞いた途端、二人とも真顔になった。

「お母さんが、どうかしたのですかあ?」
「どうやら生きているらしい。アルベルトの話ではな」
「本当ですか!?」
「ただし、木の国のウドウ王子に捕えられた。現在は、どこにいるかは分からない。アルベルトはウドウ王子の私邸だと言っているが、それはあくまでも推測だ」
「お願いです! ランドールさん。母を助けて下さい。私なんでもします」
「エリスからもお願いします。マルティナを助けて下さい」
「もちろん、助けるつもりだ」

 二人の顔はパアっと明るくなった。

「しかし、闇雲に木の国に行っても失敗する。確実に助けるには慎重に計画を練る必要がある。二人ともそれは分かるな?」
「はい」「分かります」
「よし。ではマリカの家に着いたら、救出計画を練りたい。そのために情報が欲しい。まず知りたいのだが、ウドウ王子とはどのような人物だ?」

 まずエリスが答えた。

「デブです」

 続いてマリカが答える。

「ブタです」
「禿です」
「二重アゴです」
「スケベです」
「変態です」
「ウザいです」
「キモいです」
「中年です」
「オヤジです」
「エゴイストです」
「人でなしです」
「弱い者イジメが大好きです」
「セクハラ、パワハラが大好きです」
「臭いです」
「脂ぎっています」
「王様からも、王太子様からも疎まれています」
「貴族達からも民衆からも嫌われています」
「でも、強い軍事力を持っています」
「誰も怖くて逆らえません」
「〇〇〇です」
「×××です」

 なんか……えらい言われようだな。少しウドウ王子に同情したくなるが……

 二人の話を総合すると、歳は四十代で太っていて剥げていて、女ぐせが悪いらしい。部下イビリが好きでブラック王子とも呼ばれている。どうやら、国の実権もこいつが握っているようだ。
 
 とりあえず、嫌な奴だという事は分かった。
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