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第四章

ティータイム

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 食事が終わり、ティータイムに入った。

 人間がお茶を飲んでいる間、河童たちが美味しそうに冷やし胡瓜を齧っている。

 しばらくして、俺は茶碗をおくと壁に地図を張り出した。と言っても、その壁も俺の身体なので画鋲なんか刺したくない。壁から出した小さな触手が地図を掴んでいるのだ。

「みんな、お茶を飲みながら見てほしい」

 全員の視線が俺に集まる。俺は地図の一か所を指差す。

「俺たちは、今このあたりにいる」

 続いて木の国の都から少し離れた地点にある湖を指差した。

「夕方にはこの湖に着く。ここをベースにして都に潜入してマルティナを始め、捕えられている人たち救出するというのが今回の作戦だ」

 俺は一同を見回してから、話を続けた。

「作戦としては、ここからの俺の分体とじいさんが都に侵入する。そして、情報を集めて最適の方法で救出する。そして、俺が分体に意識を移している間、本体の方が留守になる。そこで、俺が出かけている間はマリカと河童たちに、本体の警備をしてもらう。何かあれば俺の本体のどこかを叩いてくれ」
「わっかりました」

 マリカが敬礼する。

 それに合わせて、三匹の河童たちも敬礼した。

「「「ワッカリマシタ」」」

 三匹とも人間の言葉が喋れる。だから連れてきたのだ。

「敵が来ても、戦おうとするな。俺の中に入って隠れているんだ。それじゃあ、湖に着くまでは時間があるから、くつろいでいてくれ」
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