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第六章

れっどどらごん7

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「じいさん。何かあったのか?」
「ランドール様。移動要塞の表面に、このような模様を出せますか?」

 じいさんの持っているカードには、六芒星ヘキサグラムが描かれていた。

「ダビテの星か。別に難しいことではないが、どうするのだ?」
「はい。実は……」

 なるほど。ではやってみるか。

 とりあえず、じいさんに言われた通り要塞表面の色彩を操作して、装甲の各所に六芒星ヘキサグラムの模様をいくつか描いてみた。

 作業が終わったその時……

「ランドール! 貴様、私の屋敷で何をした!」
 
 レッドドラゴンが戻ってきた。首に跨った幼女の叫び声が響き渡る。

「何って、拉致被害者の奪還だが」
「拉致被害者だと!? 人聞きの悪い。あの男の子達は、借金の形に連れてきただけだ」
「どっちにしても、悪質な事に変わりはないだろう」
「やかましい! この国では合法だ」

 そういえば、この世界で人身売買は禁止されていなかったな。

「まあ、別にいい。どうせあの男の子達は、私が都に帰った以上は用済みだからな。無駄な事をしたな。ランドール」
「用済みになった後で、殺すかもしれないから保護しておいた」
「そこまで悪どい事はせんわ!」
「どうでもいいが、精気が欲しいならあんな男の子達じゃなくても、ウドウ王子にもらえばいいじゃないか?」
「それができたら、苦労せんわ! ウドウ様は幼女の私は相手するが、大人の姿をした式神は相手してくれんのじゃ! まったく、大人の女の方が絶対いいのに……」
「子供ばかり集めたのは、お前の趣味か?」
「そんなわけあるか! 子供の方が私の思い通りに操れるからだ。私の好みは太った殿方だ」

 デブ専だったのか……まあ、人の趣味にケチをつける気はないが……

「おしゃべりはここまでだ。ランドール。決着をつけてやる。お前が霧の中から出てこないなら、霧を吹き飛ばしてやるまでだ」

 レッドドラゴンは大きく羽ばたき、強風はまき起こした。

 俺の姿を隠していた霧が晴れていく。
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