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 風呂から上がった時、洗濯機はまだ止まっていなかった。

 マイちゃんに着替えがあるのか聞いてみたが、持ってこなかったそうだ。

 着の身着のままで逃げだしてきたのだな。

 とりあえず、汗が引くまでと言ってバスタオルを身体に巻かせた。

 俺も腰にタオルを巻いただけで脱衣所を出る。

 マイちゃんは綺麗な身体をしていたが、よく見ると背中に痣がいくつかあった。

 母親に叩かれたものらしい。

 気になってさつきのDVDを再生してみた。

 やはりそうだ。

 痣のある背中は映さないようにしていた。

 買って来たばかり写真集も見たが、やはり背中を写さないようにしている。

 写真に写るところに傷を付けたら商売にならないからか?

 しかし、感情的になって見境なくなったら、商売など考えないで暴行すると思うが……

 ダメだ。DVをやる奴の考えが分からん。

 感情的になっているのに、なぜ外から見えるところには傷をつけないという冷静さが残っているのだ?

 それだけの冷静さが残っているなら、そもそも我が子に暴力など振るわないではないのか?

「おじさん」

 声の方をふり向くと、身体にバスタオルを巻き付けたマイちゃんが立っていた。

「マイの写真、きれいに撮れている?」
「ああ。もちろんだよ。マイちゃん凄く可愛く撮れている」
「よかった」

 そもそも、可愛く撮れてなかったら写真集にはできないって……

「マイちゃん。冷蔵庫に冷たい飲み物あるから、好きなの飲んでいいよ」
「はあい」

 マイちゃんは冷蔵庫の方へ行った。

 不憫なものだ。家に帰れば、母親に叩かれ、俺みたいな変態のところへしか逃げ込めないなんて……

 俺はPCを立ち上げて、マイちゃんの写真集を出している会社のサイトを出してみた。

 やはり背中が映っている画像はない。

「おじさん」

 ミネナルウォーターのペットボトルを持ってマイちゃんが戻ってきた。

「これもらっていいですか?」

 好きなの飲んでいいって言ったのに……聞かないと怒られるとでも思っているのだろうか?

「もちろんいいけど、それでいいのない? ジュースもあっただろ」
「ジュース飲むと太っちゃって……怒られるから……」
「そうか」

 こんな小さな子にダイエットって……

「おじさん。何を見ているのですか?」

 不意にマイちゃんは、PCの前で胡坐をかいている俺の足の上に座り込んだ。

 おいおい、猫みたいに……

「あ! これ、マイの写真を出している会社のサイト」
「ああ、そうだよ」
「ねえねえ、マイの写真一杯ダウンロードして」
「え?」

 もうかなりダウンロードしたけど……

「ダウンロード数が多いほど誉めてもらえるの」
「そうなの?」

 そういうシステムだったのか……

「でもね。ズルい子がいるんだよ。友達のお兄さんに頼んで、大量のふくあかを使ってダウンロード数を水増しした子が……」

 こんなサイトでも不正副垢がいるのか? 
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