『俺の車に家出少女が隠れていたのだがどうすればいい?』

クラーゲン

文字の大きさ
40 / 42

39

しおりを挟む
 年の頃は三十路みそじ。ぼさぼさの髪を肩まで伸ばし、化粧っ気のない顔に大きな分厚いメガネをかけている。

 こいつ誰だ? いや、状況からしてマイちゃんが連れ込んだのだと思うが……

「ご安心を。怪しい者ではありません」

 いや、十分怪しいだろ。

「私、こういう者です」

 女の差し出した名刺には『写真家 闇雲やみくも 凶子きょうこ』と書いてあった。

「もちろん、これは本名ではありません。仕事柄本名が名乗れないので、ペンネームと思って下さい」
 
 カメラマンにも、ペンネームというのがあるのだろうか?

「闇雲さん? どのようなご要件でしょうか?」

 女はマイちゃんの方をふり向く。

「マイちゃん。この人に私の事はなんて紹介したの?」
「カメラマンのお姉さん」
「なるほど」
 
 女は俺の方を向いた。

「つまり、私がそれです」

 では、彼女がカメラマンのお姉さん?

「あの……ここへは……何のご用で?」
「そう身構えないで下さい。別に、あなたがマイちゃんにやった猥褻わいせつ行為をとがめに来たわけじゃありませんから」
「な! 猥褻行為? 何を聞いたのです?」
「ああ! やっぱりやっていましたか。誤解しない下さいね。マイちゃんは何も言っていませんから。ただ、マイちゃんを匿った男が何もしていないはずはないと思っただけですから。それと、警察に言う気なんかありません。そんな事をしたら、自分達の方が危ないし。それは分かりますね?」

 確かに、あんなDVD作っていたら……

「すでにマイちゃんから聞いてご存じかと思いますが、家の会社ではかなりヤバイDVDを作っています。だからあなたの事を咎める気もありませんし、咎める資格もありません」
「では……なにを……」
「いえね……実はちょっと困った事がありましてね。マイちゃんに聞いていますか? 次はどんなDVDを作るか?」
「まあ、聞いています」
「実はうちの会社、女性しかいないのですよ。以前は男性スタッフもいたのですが、モデルの子に手を出す奴を次々首にしていたら一人もいなくなってしまって」
「はあ……そうなのですか」
「しかし、今回は顧客の要請で、男性も映さなきゃならなくなりました。そこで秘密を厳守できる男性を雇って出演してもらうはずだったのですが、その男性が、逮捕されちゃったのですよね」
「逮捕?」
「ほら。女の子を連れまわした男が逮捕された話、今ニュースでやっているでしょ」

 あ! あいつが、そうだったのか!

「それで、急遽代わりの男優が必要になりましてね」
「それが何か?」
「出ていだけませんか?」
「は? いや、無理です。僕は演技力なんてありませんから」
「いや、大丈夫です。別に演技力なんか期待していません」
「では何を?」

 不意に女は俺の股間を掴んだ。

「ちょっ! 何を……」
「なかなか、良い物を持っていますね」
「なんの……事を」

 女は俺のモノを掴んで放そうとしない。

「これさえ映っていればいいのですよ。顔は映らなくていいです」
「はあ?」
「つまり、これがマイちゃんの中に入る様子を映せれば、それでいいという事です」
「分かった! 事情は分かったから、そこから手を離せ」
「あれえ? 手を離していいのですか? 気持ちいいでしょ?」
「いいから、手を離せ!」

 ようやく女は、俺から離れた。

「まあ、お分かりと思いますけどね。私達の作っている画像は法律に反しています」
「分かっています」
「でも、ロリータを欲する男の心は消せない。だから、大金を投じてでもロリータの画像を手に入れようとする。だから、私達はそういう画像を作る」
「それは分かるが……なんで僕がそれに出演しなきゃならないんです?」
「だからね、これは秘密厳守なのですよ。これが普通に活動している俳優なんか連れて来たら、通報されかねません。だから、通報しないというか……通報できない、なおかつ女の子に乱暴な事はしない男性が必要だという事です」

 確かに俺では通報できない。通報したら俺も逮捕だ。

「もし俺が断ったら?」
「その時は、他の男性を探すしかないですね。ああ! 誤解されているかもしれませんが、うちの会社はヤクザと関わりはありませんから」
「じゃあ、こんなヤバいDVDを、どうやって売りさばいているのです?」
「独自の販売ルートがあるのですよ。どんなルートかは言えませんが。どうです? 引き受けて頂けませんか?」

 ううむ……どうすべきか?

「こんな子供を食い物にするような商売はよくないと思いますか?」

 そりゃあ思うけど……

「正直私もよくないと思いますけどね。マイちゃんをあの母親から守るには、これが一番いいのですよ。もちろん、児相という手もありますが、それが必ずしも良い結果になるとは限りません」

 確かに……

 マイちゃんを見ると、不安そうな目で俺を見つめていた。

 もし俺が断ったら、マイちゃんは毒親から逃げられるところが無くなるのではないのだろうか?

「闇雲さん。一つお聞きしたいのですが?」
「なんでしょう?」
「ギャラは、どのくらいになりますか?」

 そして……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...